父が入院中寂しくないようにと母はジグソーパズルを
していました。

父が亡くなってからも続いていました。

母は私の前では涙を見せませんでした。

父の火葬の時も影に隠れて泣いている背中を見ていました。


父が亡くなっても二人で楽しく生活を送っていました。




そんなある日

夜中寝ているとうめき声が聞こえなんだろと思い
寝ている母を見ると母の様子がおかしかったのです。

母に話しかけると水が欲しいと何とか聞き取れる感じでした。
私はコップに水を入れストローをさし母に飲ませました。

「お母さん様子がおかしいから救急車呼ぼ?」
と言ったのですが
「呼ばなくていいすぐに治る」
と母が言ったので救急車を呼ぶのを諦めました。

母は相変わらず苦しそうにうめき声をあげていて
私は怖くて怖くてどうすればいいのかわからない
でも母は救急車呼ぶなと言ってるしと思って、明日の朝もこの様子だったら呼ぼうそしたら大人の人は起きてるよねと思い耳を塞いで寝ました。



翌朝

母のうめき声が小さくなっていました。
午前7時頃でした。

布団に2ヶ所失禁してました。

これはもうダメだと思い母に「救急車呼ぶから!」
と伝え救急車を呼びました。

呼び終えたあとすぐに母の友達に連絡をしました。
「お母さんが変なの助けて早く来て」
とそれだけを伝え電話を切りました。

近所に住んでる知り合いにも連絡しました。

知り合いは直ぐに駆けつけてくれました。

しばらくすると救急車が到着しました。

救急隊員の人に何があったか説明をして隊員の人達が母の処置をしている様子を自分の部屋から見てました。
手には父と母が買ってくれたぬいぐるみと父の遺影を抱きしめてました。

処置が終わると救急隊員さんが「今からお母さんを病院に運ぶから一緒に行こう」と言われ救急車に乗り病院に行きました。


病院に着くと母はどこかに運ばれ私は看護婦さんにここで待っているようにとイスに座らせました。

しばらく立つと母の母がきました。

二人で待ってると看護婦さんに呼ばれ医師からこう言われました。

「お母さんは脳梗塞と言って頭の血管に塊ができてしまったの、小渕総理わかるかな?あの人と同じ病気なんだ。」と説明されました。

私の母の父も脳梗塞で倒れた事があったので「わかります」と言いました。

すると医師が「一人で救急車呼んでここまで出来たねエラいよ」と先生に言われた瞬間

今まで怖かった思いや不安だった思いが一気にこみ上げてきその場で号泣しました。

先生に「お母さんを助けて下さい、お願いします」
と泣きながら言うと先生は
「わかった、できる事は全部やるね」
と言っていました。


これは父が亡くなってから半年の出来事でした。


それから私は母方の祖父母の家で住むことになりました。