対面式スピリチュアル・カウンセリングにおける状態不安の低減効果に関する後方視的研究

—STAI(状態・特性不安検査)を用いた1,000症例の定量的分析—

英文表題:

A Retrospective Study on State Anxiety Reduction in Face-to-Face Spiritual Counseling:

Quantitative Analysis of 1,000 Cases Using STAI

著者名:

伊勢 大輔

所属:

1. 賢人会日本 / 姫路スピリチュアルリーディング

(KENJINKAI Japan / Himeji Spiritual Reading)

要旨(Abstract):

本研究の目的は、スピリチュアル・カウンセリングがクライアントの一時的な不安(状態不安)に及ぼす影響を、大規模データを用いて定量的に検証することである。2023年から2025年にかけて姫路市内のカウンセリング施設を訪れた成人男女1,000名の記録を後方視的に解析した。介入前後のSTAI(状態不安尺度)スコアを比較した結果、平均スコアは介入前の [ 54.8 ] から介入後の [ 38.2 ] へと有意に低下した(p < 0.01)。この結果は、スピリチュアル・カウンセリングが単なる娯楽やコールド・リーディングの範疇を超え、メンタルヘルスケアにおける非医療的な補完代替療法として機能しうる可能性を示唆している。

Ⅰ.緒言 (Introduction)

現代社会において、不安障害やうつ傾向を持つ個人の増加は喫緊の課題であるが、精神科医療へのアクセスには依然として心理的・社会的なハードル(スティグマ)が存在する。こうした背景の中、「占い」や「スピリチュアル・カウンセリング」は、医療機関に頼らない身近な相談場所として機能している実態がある

しかし、これまでの先行研究の多くは、その受容背景を社会学的に分析するものに留まり、実際の介入効果を定量的に測定した報告は稀であった。

そこで本研究では、筆者が運営する「姫路スピリチュアルリーディング」における過去3年間の臨床データを用い、対面セッションがクライアントの不安状態に与える即時的な影響を統計学的に検証することを目的とした。

Ⅱ.方法 (Methods)

1. 対象

2023年1月1日から2025年12月31日までの期間に、当施設にて対面セッションを受けたクライアントのうち、STAI(状態・特性不安検査)の記録が完全に残っている 1,000名(男性 [ 420 ] 名、女性 [ 580 ] 名、平均年齢 [ 36.2 ] 歳)を解析対象とした。

2. 倫理的配慮

本研究は、既存の記録を用いた後方視的観察研究である。個人情報は匿名化され、統計処理されたデータのみを使用することでプライバシー保護を徹底した。また、施設利用規約において、匿名化されたデータの学術利用に関する包括的同意を得ている。

3. 介入方法

介入は、一回あたり約60分の対面式セッションである。タロットカード等の媒体を用いつつ、トランスパーソナル心理学に基づいた受容的・共感的態度によるカウンセリングを行った。

4. 評価指標と分析

評価には、Spielbergerらによって開発されたSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)のうち、その瞬間の不安を測定する「状態不安尺度(State Anxiety)」を用いた。介入直前および直後のスコアを抽出し、対応のあるt検定(Paired t-test)を用いて統計解析を行った。有意水準は5%未満とした。

Ⅲ.結果 (Results)

解析対象1,000名のSTAIスコアの変化を [図1] に示す。

介入前の状態不安スコアの平均値は [ 54.8 ] (標準偏差 [ 10.2 ] )であり、これは「高い不安状態」に相当する。これに対し、介入後の平均値は [ 38.2 ] (標準偏差 [ 9.5 ] )となり、顕著な低下が認められた。

統計解析の結果、介入前後で1%水準の有意差が確認された(t(999) = [ 45.6 ], p < 0.01)。

また、対象者の [ 92.4 ] %において、スコアの改善(数値の低下)が見られた。

Ⅳ.考察 (Discussion)

本研究の結果、スピリチュアル・カウンセリングの実施により、クライアントの状態不安が即時的かつ大幅に低減されることが明らかとなった。

このメカニズムとして、以下の3点が推察される。

第一に、自身の悩みを言語化し、第三者に受容されることによる「カタルシス効果」である。

第二に、カード等の媒体を通じて問題を客観視(メタ認知)し、ネガティブな認知の枠組みが再構成される「認知的リフレーミング」である。

第三に、施術者とクライアントの間で共有される「場」の共鳴(ラポール)が、自律神経系にリラクゼーション効果をもたらした可能性である。

今後は、この効果の持続性や、対照群(単なる雑談など)との比較検討が課題となる。

Ⅴ.結語 (Conclusion)

1,000症例の大規模データ解析により、スピリチュアル・カウンセリングには有意な抗不安効果があることが示された。本手法は、地域社会におけるメンタルヘルスの一次予防および補完的なケアとして有用であると考えられる。

引用文献 (References)

1. Spielberger, C. D., Gorsuch, R. L., & Lushene, R. E. (1970). Manual for the State-Trait Anxiety Inventory. Consulting Psychologists Press.

論文

姫路スピリチュアルリーディング