NHKの記事には本当にダメなものがあり、その傾向は極めてはっきりしている。

技術系の記事にめっきり弱いのだ。

 

 今回もあらためてあきれてしまった。

ダメ記事はこちらです。

 

 

やがてリンクは切れてしまうと思うので、テキストでコピーしておきます。

 

---ここから(引用)----

タイトル:さらば100万キロのエンジン
2023年6月30日 15時54分

彼の移動手段はすべて車。
鉄道の写真を撮るために全国を駆け巡り、走行距離はついに100万キロを超えた。
この先もずっと乗り続けると約束した相棒だったが、その日は突然やってきた。
地球25周分もの距離を走り切ったエンジンは、製造したメーカーが研究目的に引き取ることになったという。
 

〇16年間乗り続けて100万キロを達成
その持ち主は高松市在住で20年のキャリアがある鉄道カメラマン、坪内政美さん(48)である。


平成9年製で排気量2500ccの日産セドリックに16年間乗り続けている。
幼い頃から刑事ドラマに憧れ、スーツ姿で全国各地へ車で移動して鉄道を撮影する姿はその筋の人たちの間では有名だ。
走行距離が100万キロを超えたのはことし1月だった。
メーカー側も想定していなかったためだろうか。
メーターの表示は99万9999キロを示したまま動かなくなったが、確かに100万キロを達成したとして地元の香川県のディーラーから表彰された。


坪内政美さん
「突然、プロペラ機みたいな音がし始めたんですよ。100万キロを突破してからも順調に走ってくれていたんですけどね、本当はもう満身創痍だったのかな。石川県から香川県までようがんばって帰ってこれたなと思いますよ」
長年、この車を整備してきた整備士の中島明巳さん(62)はエンジンの状態を見てこう提案せざるをえなかった。


整備士 中島明巳さん
「音を聞いてこれはもうエンジン内部だなと思いました。原因を探るにはエンジンを分解してそれからオーバーホールするしかない。しかし、費用的に考えると、中古のエンジンを探してそれを載せ替えるというのが一番現実的ではないかと坪内さんに提案しました」


〇苦渋の決断
16年間、苦楽をともにしたエンジンを手放さなければならない。苦渋の決断以外の何ものでもなかった。
何とかしてこのエンジンを再び動かすことはできないものか。坪内さんは返事に悩み、数日間沈黙したという。
しかしこうも思った。
「心臓部であるエンジンを載せ替えれば、まだまだこの車に乗り続けることはできる」
経年劣化している部分はあるものの、修理を重ねてきた車との絆は深い。
考え抜いた末、ついに100万キロのエンジンに別れを告げることにした。
総走行距離は102万キロであった。


〇作業を託された若手整備士
エンジンカバーを外し、エンジンにつながれたチューブやホースが丁寧に取り外されていく。
メカニックの技術を伝承しようと作業はベテランから整備歴7年の若手に託された。
エンジン交換は経験したことがあるものの、持ち主が並ならぬ愛情を注いだ車であるだけにプレッシャーは大きかったという。
 

整備士 工藤竜典さん(27)
「この時代に製造された車は高級車なので本当にエンジンも強く、走行距離100万キロは本当に当時の技術力のたまものだと思う。もう手に入らない部品もあるので、作業は慎重に行っていきたい」
 

〇100万キロ走ったエンジン どんな状態なのか
そして、ついに100万キロのエンジンの全貌が現れた。


坪内さんも整備工場にいた。
どんな状態なのか、自身の目で見たかったのだという。
その姿は地球25周分を駆け抜けたとは思えないほど汚れもさびもないではないか。
エンジンのバルブを開閉するカムもシャフトもまったく傷みは見られなかった。

 

坪内政美さん
「きれいですね。よく整備してもらっていたとは思いますが、こんなにきれいなんですね。これがずっと私の走りについてきてくれたと思うと感無量です。愛おしいですよ。もうちょっと一緒に走りたかった」
 

〇新しいエンジンを確保せよ
取り外されたエンジンは日産本社が研究のために寄贈してほしいと願い出たという。
「それでは新しいエンジンを提供してくれるのか」と思ったがそうではなかった。
急きょ26年も前の車の同型エンジンを探すことになり、難航が予想された。
古い車は部品の確保が難しいとはよく聞く話だ。
しかし、である。
 

整備士 中島明巳さん
「運良く数週間ほどで、走行距離が7万キロの中古のエンジンが1コ見つかったんです。いろいろ業者をあたってみましたが、こんなに早く見つかるとは思わなかったです」
 

〇エンジン交換完了 はたして…
夏も近づいてきた5月下旬。
新たなエンジンを載せた愛車の引き渡しの日がやってきた。
新しいエンジン
キーを差し込み、セルモーターを回す。
軽やかなエンジン音が響き渡ると坪内さんも「おお」と感嘆の声を上げた。
 

坪内政美さん
「息を吹き返しましたね。すごい静か。エンジンを触っても余計な振動もないし、カタカタという音もしない」
 

〇若手整備士の覚悟
整備士の工藤さんは、載せ替えたエンジンが始動するか不安もあったという。
エンジンと車には相性がある。
小さな部品一つが欠けても、不具合につながることからエンジンの載せ替え作業は細心の注意が必要だ。
オーナーが長距離、長時間寄り添ってきた車だからこそ、その思いに応えようと若き整備士は必死だった。
 

整備士 工藤竜典さん
「一度エンジンを組んで積んだ後に、もし不具合が出たらまた分解しなくてはならない。ゴムやプラスチックの劣化もありましたがもう手に入らないかもしれない貴重な部分だったりするので気を遣いましたね。ここまで作業したので最後の最後までお付き合いする覚悟です」
 

〇本当の相棒だからこそ
一生に一台、ここまで愛せる車に出会えるとは坪内さん自身も想像していなかったという。
整備や修理にかかった費用を考えると、新車をもう一台買うことができたのではなかろうか。

しかし、それでも乗り続けるという車への情愛は、本当の相棒だからこそ抱けるのかもしれない。
 

坪内政美さん
「100万キロのエンジンは、日産本社で次の世代の新しい車を生み出すための研究に使われると聞いています。日本の自動車技術の傑作とも言えるエンジンだと思うので本望です。また、新たなエンジンとともに長いお付き合いをしていきたいですね」
 

------ここまで(引用おわり)-------

 

良くこれを出せたなという正直な感想です。

結局、100万キロ走ったら、エンジンのどこが壊れたんでしょうね。何がダメになったんですかね。

この記事でわかるのは、日産のエンジンって、100万キロはしって壊れましたけど、エンジンも見た目はきれいでしたね、で終わりの記事です。

 

太字にしましたが、何回読んでもあきれますね。

全貌が現れた

のあと2行で終わりです。

しかも意外ときれいで、カムもシャフトも傷みが全くないと書いてあります。

しかしそのあと、なぜかすぐさま新しいエンジンを確保せよ

となるんですが、この流れだと、

 

いやいやいや、だったら乗れんじゃねってなりませんか?

全貌が現れたんですよね? 

変な音してるんですよね?

どこが壊れてたんですか???

何が悪かったんですか??? 

 

 ある人が亡くなったとしますよね、そうしたらまず死因を知りたいわけですよ。病気なのか事故なのか、それ以外なのか。

 車もおんなじですよね。100万キロていねいに、大事に乗った車です。愛情を注いで一緒に人生を共にした車なんですよね。しかし、それでも限界を迎えた。終わりが来た。

 で、坪内さんはできればそのエンジンも修理してそのまんまでその車に乗りたかったんですよね。でもそれがかなわなかったんですよね。

 それはなぜなのか。やはりエンジンという車の心臓にとって、100万キロ走行は限界なのだとしたら、それはなぜなのか。本質的な意味で、エンジンという機械は、どのような原理で動いて、どのような経緯で朽ちていき、最後はどのように終わりを迎えるのか。どんなに丁寧に扱っても、機械には寿命があるのであれば、それはいかなることに起因するのか。それこそが知りたいと思いませんか。むしろ、それがこの記事のテーマではないのですか。それは坪内さんの苦悩と深く関係しているようにも思います。

 

 無論それは技術的な話になります。人でいえば、医学の話です。だからここからは工学の話になるでしょう。

 でもそこが大事なんです。どんなに丁寧に乗っても、いずれ壊れて修理さえもできなくなるというのがエンジンの宿命としたらそれはなぜなのか。

 肝心なところはまったく書いてありません。ダメですね。ここがないとこの記事にはほとんど価値がない。

 

 ま、ここからは一般論ですけども、やはり古い車なので部品がないというのが原因と思われます。部品さえ豊富にあれば修理は容易と思われますが、部品がなければどうしようもありません。あとは費用を無視すればできなくもなかったと思いますが、おそらくエンジンのオーバーホールだけで300万円とかそんな値段になったんでしょうね。それだけでも記事の中に書いてあれば、また違った印象ですが、それも書いてないんですから、まったくイメージがわかないわけですね。

 最後に『整備や修理にかかった費用を考えると、新車をもう一台買うことができたのではなかろうか。』ってかいてありますけど、整備費用ってどこからどの部分のことでしょうね。今回だけの話なのか、それとも10万キロからの整備のことでしょうか。よくわかりませんね。本当に漠然とした話が多くてよくわかりません。記者を悪く言うつもりはないですが、これにOK出したNHKのセンスがNGですね。

  

 さて、このような記事がNHKにはごまんとあります。本当にNHKの記事は技術系、理系に弱すぎる。企画自体はいいんですけどね。(文系に関してはとても高品質と思います。)これまでもNHKスペシャルなんかで理系の番組やるときでも、よくこんなので出せたねというのがあります。なかにはよく調べたね、というのもありますけどね。

 

 NHKには文系の人しか入ってこないのでしょうけど、一般の会社では大学文系ではいって、懸命に勉強して技術者になる人もいますからね。技術系記事を書くには技術系に明るい人がついていないといけません。