こんにちは、ちびまるです。
今回で「ナデシコ」も最終話となりました
ではでは、本編へ
それから数週間後お店にあの彼女(彼)が入ってきました。
「お久~!♪」
「あッ!」
その後ろから30歳台後半の
頭の少し薄い小太りの冴えない
スーツを着たサラリーマン風の男が入ってきました。
「あたしのお友達を借りたいの。紹介しようと思って~♪」
「それは、ありがとうございます。」
何とも異様なふたりです。
ところで、そのサラリーマン風の彼はここまで一緒に来るときは、
恥ずかしくなかったのでしょうか?
以前彼女(彼)を案内してたとき、私の助手席に乗っていました。
そういえば、信号待ちをしてたとき、
他の車からジロジロ見られてたのを思い出しました。
「ところで、どんな物件をお探しですか? 」
「あの~、ムにゅ むニュ・・・・・。」
「は!?」
小声で何を言ってるのかわかりません。
そこの彼女(彼)が割って出てきました。
「彼は~、〇〇会社の課長さんで~、
優しくって~、正直者なのよ~♪」
「そんなこと聞いてないですよ。」
「いや。だからね~、」
「課長さんって言っても~、
ホントは課長代理で上から下から一番辛い立場っ
ていうの~?・・・。わかるでしょ!?」
「全然わかんないですよ!」
「だから~・・・・。」
聞くところによるとどうやらその男性は、
ある大手の某会社の課長代理で、
以前から不仲であった奥さんと昨日、
家を追い出されてしまったらしく行くところがなくって
会社を休んで部屋を探しに来たということです。
「彼はよく私のいるお店に来てくれるお客さんなのよ~♪」
「それで 彼女(彼)を訪ねたってってわけですね。」
「・・・・。」
「ひょっとして・・・?」
彼女(彼)は目をパチクリさせながら
「わかる~? そうなのよ~♪」
やっぱりそうでした。二人は付き合っていたのです。
二人のことが奥さんにばれてしまって、それで追い出されたようです。
“そりゃ そうなるわな!”
今度は、二人で住むための部屋を探しているのです。
幸い彼の肩書きは、大手会社の会社員。
入居審査的には申し分ありません。
何より家賃やら保証金やらと余裕があります。
彼女(彼)のときとは 全然違います。
何も問題なくスムーズに話が進み、段取りよく契約ができました。
ふたりは、まるで(新婚さんいらっしゃ~い!)にでも出てるかのように
ベタベタ、ニコニコしていました。
“・・・・・。”
一応はこれで無事、目的業務を遂行できたということなのですが、
その後、ふたりがどのような生活をしているか、
想像すらできないのは言うまでもありません。
ただ、鍵の引渡しのときに、
机の影に隠れて二人が指を絡ませていたことが、
今でも頭からはなれません。
これから二人にはきっと、幸せな生活が待っているのでしょう。
終
次回からの営業マン奮戦記は「父の背中 」という
とっても切ない物語です
お部屋探しは ホームメイトFC難波西店
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【本編はすべてフィクションであり、登場する人物もすべて架空のものです】