私が、薦めるのは、随分古い邦画ですけど、1968年、
(昭和43年)松竹制作の、「吸血鬼ゴケミドロ」ですね。
当時は、東宝の、ゴジラ・シリーズ、円谷プロの第一作目の
ウルトラマンを始めとして、大映も、ガメラ・大魔神シリーズ、
日活も、大巨獣ガッパ、松竹も、宇宙怪獣ギララを発表する
など、第一次怪獣ブーム真っ只中の頃、封切りになった作品
です。松竹といえば、寅さん映画ですが、怪獣映画じゃなく、
自分なりに、純粋なSF映画を作ろうと思ったんじゃないかな。
本作品は、限られた地域に密閉され、極限状態に陥った
人間たちは、どれだけ、醜く争い合うかというのがテーマですね。
羽田を飛び立った旅客機が、円盤に襲われ、ある岩山に不時着。
生き残ったのは九人と殺人犯の寺岡という男。寺岡は森林に逃げよう
と企てるが、円盤の宇宙人に憑依され、吸血鬼になってしまい、
次々、犠牲者を増やしていきます。九人は不信感と欲望を剝き出しに
して、仲間割れします。同じようなテーマの名作に、1963年(昭和38年)
公開の東宝の「マタンゴ」があります。無人島に、キノコの怪物がうじゃ
うじゃ出てくる映画ですが、本作品はマタンゴを凌いでますね。本作品は
ユーモアだとか博愛精神など皆無。マタンゴ以上のバッド・エンドで
終わります。本作品は、佐藤 肇氏という人が監督であり、現在は推理作家
で著名な、小林久三氏が脚本を書いてますが、とにかく生々しいストーリー
に肝を冷やされます。70年代の日本テレビに、TV三面記事、ウィークエンダー
って番組があり、泉ピン子女史、桂ざこば氏、宮尾すすむ氏とかが出て
ましたけど、再現フィルムのコーナーは、毎回、えげつないアウトローストーリー
の連続で、私は、歯をガチガチ鳴らして見てました。今から考えると、脚本を書き、
監督をしていたのは、同じ人たちだったのだろうか。同じスタッフの映画、見て
みたいです。私の、敬愛するクリエイター(というかヲタク評論家というべきか)、
みうらじゅん氏も、マタンゴ同様、本映画を推してます。