70年代前後のはなしである。ぼくは小学校5年から中学2年

まで学習塾に通わされていた。当時、どこに行ってもニート

感覚のぼくは男子にも女子にも相手にされなかった。

どこの場所でも、体力があり、こわもてタイプのやつはいる

ものであり、そういうやつが頭の整理整頓ついてないやつの

粛清をやるのだろう。

 ところが、ぼくが中学2年の時、半年くらいだったか、何とも

不思議な同級生が入ってきた。学習塾の生徒は殆どぼくと同じ

中学校のやつだったが、かれは別の学校のやつだった。

 かれは、塾にいる間中一言も喋らない。背丈と体はそこそこ。

長髪気味の頭である。眼鏡もかけてない。勉強はまあやって

いたのだろう。謙虚であるがどう見ても被害者タイプのやつで

ある。特筆すべきなのは、こんなにツッコミ処いっぱいのやつ

なのに、男子も女子もかれを軽べつしてるやつは誰もいなかった。

塾の先生もかれを叱ったとかは、ぼくは覚えてない。

かれは、塾のやつとは誰もつき合おうとせず、また塾のやつも

誰も声をかけようとしなかった。ただ本人は奥床しいだけである。

まわりのやつも、かれに何か畏敬の念らしきものを持ってる

ようである。暗いといえば暗いが、こういうキャラはふつう

まわりが何らかのハラスメントをしてくるものではないのか。

かれが、どこの学校なのか訪ねてくるやつもいなかったし、

誰の話題にものぼらなかった。まんがのキャラでいえば、

クレヨンしんちゃんのボーちゃんとでもいうべきか。ぼくも

かれは名まえは当時から覚えてなかった。

 

 あの時の某君、きみは一体誰だったんだい。

 君も、小さい時、家庭とか校内で色々あったのかい。

 

 かれは、在学してる学校では以外に誰とでも仲良くし、成績も

つねに偏差値の平均以上だったのだろう。かれはかれなりに

他の学校のやつと関わりたくない・・と思ってたのかも知れな

いが、傲慢な素振りはなんもないやつだった。

 

 

 なんで、こんなはなしを延々とかくのかというと、一生ACを

克服できず、生涯ウダツの上がらなかったおれ様だ。

いつも孤立しているのになんのハラスメントも受けなかっ

た、摩訶不思議なかれをたまたま想いだしたのだ。