私は不動産賃貸業の社長であり、もう33年も経営している。

 私は、無職で若輩の頃は病気のため、つまらぬ見栄や意地

を張ることしか、もう、頭になかった。大人気ない人達にからか

われ、ただ悔しがってるだけ。「オレもケンカに強くなれんべか

なー」なんて、アホなことばかり考えてました。

 そんな折、私は平成に入る前後あたりから、キリスト教を

解説した新書版をひもとくようになったのですが、どうやら

キリスト教は、世界の諸悪の元凶は、にんげんのエゴイズム

なのだから、その克服法をしきりに説いているらしい。

 「にんげんの運命は、そのひとのこころの想いや行ないが

つくっていく」、というのは、今更子どもだって分かってること

ですが、当時迷える子羊だった私は多いに触発される処が

ありました。弱輩の頃、手前勝手の権化だった私は、「ぼくは

これから、真実のこころを持って人々と接し、毎日じぶんの

義務を黙々と果たしていくんだ」と決意したのでした。

 

 にんげんのエゴイズムとは、いろいろな呼び名がある。

自分勝手、横着、無神経、ちゃらんぽらん、情緒不安定、

いわゆる、見栄や意地を張ることである。じぶん自身の

ストレス・ホルモンをコントロールできないのだ。

こういったものが、戦争暴力虐待詐欺軽蔑差別といった

黒い嵐を蔓延させているのである。

 

 キリスト教は「ひとは、誰もが最初は小自我から始まるのだ、

それを、段々高じてきて小自我をより大我にしてゆくのだ、

人生はそのプロセスの積み重ねであり、財産とかステータス

とかは、その結果として後からついてくるものなのだ・・」

 私は、平成ひとけたの頃は、こういう書籍ばかり読んで

いた。

 私は、いままでいろいろあったが、事実33年も定職を

継続してこれたのだから、むかし、これらの書籍をみっちり

読んだ甲斐があったのだろうか。