私は現在の仕事を数十年やっているが、私は実はまず高校

卒業したら自衛隊に入ることが決まっていたのです。

 

 高校三年生の二学期あたりから、話が少しずつ具体的に

なってきたのです。地元の本部に何度も車で連れてもらって

ました。担当の管理職のかたたちも、私がまだ年少者でした

から何から何まで親切で温和でした。

 しかし、私は三学期が終り春休みを過ごしている時、ふと

したことがきっかけで発症してしまいました。私は入院致し

ました。卒業式も出席しませんでした。卒業書は父が学校

まで取りにゆきました。

 

 自衛隊入隊は数年かかってやがてフェイドアウトしてゆきました。

 

 当時随分面倒見ていただいた方たちに、うしろ足で砂を

掻けることをしてしまったことは、申し訳けなく想ってます。

 しかし、当時の私と自衛隊は所詮住む世界が到底違った。

 常識で考えたって、障害者の私が何がまともに勤務

できるものか。

 私は随分元気がなくなった時、父に遂に病院に連れて

いかれましたが、担当の医師のかたは当時の私より

ひとまわり年齢上のひとでしたが、「これは即刻入院だ、

自衛隊は絶対無理です!!そこは凄い体が頑丈なひと

でさえ、参ってしまうところですよ!!」・・・

 

 私は想うのですが、入隊寸前に発病してしまった

のは、今から考えると、それこそ、天からの、みことのり

だったのだろうか・・・。{君、君の行く処じゃない。まだ君は

一からやりなおす必要があるんだ・・}

ひよっとして自殺行為だったのだろうか・・ 当時のひとたちも

私を何か買い被ってたのだろうか。

 

 私は、ちょっと長いようだけど、四か月で無事退院し、

二度と入院することはありませんでしたが、私はそれから

数年の間、施設に通ったり、私なりにフリーターを転々

とした・・。あいかわらず、ちゃらんぽらん男の私は

随分泣く思いをしたものだ。自衛隊のことは、もう

すっかり忘れていた。

 

 しかし、私は昭和末近く、やっと病気が治り、頭が

スッキリし、今の仕事に就任して今年で実に32年目

である!私は弱輩の頃の免罪符は充分すぎる程

やったし、それまで何処へ行ってもボコボコにやられて

いたのを歯を喰いしばって耐え抜いた私なのだ。長年の

逆境のキャリアを積んだ私なのだ。どうです、恐れ入った

でしょう。私が30年以上定職を継続しているのも当然

すぎるほど当然さ。