平成27年、春頃だった。

某男は地元の某銀行の本店に、自分とこの営業のため

融資のことでゆく用事があったのでした。お昼過ぎに

ロビーのとこで、姉と待ち合わせし、そして担当者と

密室で契約の約束した。すんなりと終わり、男は姉と

担当者に帰りの挨拶をすると、ふたりはエスカレーター

で地上に降り、ロビーで解散した。男はそのあと

自由行動をとり、夕暮れあたり自宅に戻った。

男が玄関に入り、カギを閉めると、「○○ちゃ~~ん」

と男の名まえを呼ぶ声がした。男は「? 姉さん、もう

帰ってきてたのか?」と思った。しかし、部屋はどこいっても

じぶん以外誰もいなかった。男は往来の内気者だから、

たかが空耳を有り難がっている。縁起が良いと思い

こんでるのだ。男は幻聴には罹ったことなかった。

手前勝手なナルチストのかれは、「霊界のおれの母、

祖母、叔母・・ そして悦子さんが、おれにエールを

よこしてくれたのだ」と想い込んでいる。

 

男はとにかく「おれが、もし晩婚にこぎつけたとしたら、

そして娘なんか是非欲しいとこだが、おれはなんだか

分からんが、悦子、と命名したい・・ 」とポヤーンと

考えてた。地味男のかれはキラキラネームなど、イメ

ージ湧かないのである。