「ある自営業を長くやってる初老の男の人は、今日も
仕事全部無事終えて、夕食もとって寝室で1・5グラムの
麦茶コップについで、むかしの楽しい想いでに浸っており
ました。70年(昭和45年)、男の人はまだ小学校高学年
でした。当時のプロレス中継のこと想ってました。
力道山が創設した日本プロレス法人があり、かれが
亡くなったあと、かれのお弟子さんの馬場、猪木という
ひとたちがメインエベンターであり、中堅が大木、坂口、
というひとたち、そして強いのかよわいのか分からない
吉村、セミファイナルは山本、星野。
その年の秋の陣シリーズにA・T・ブッチャーという
ひとが初めて来日しました。前評判はただ怪奇レスラー
としか紹介されてませんでした。しかし凄く強い男でした。
かれは黒人ですが、いままで黒人最強のレスラーと
いえばB・ブラジルという人でしたが、ブラジルをしのぐ
レスラーが現われたと云われました。
そして、ワキもガッチリ固められ、ミスター・アトミック、
プリンス・ピューリン、ゲリー・モンティも凄い実力者でした。
M・アトミックは力道山時代のレスラーであり、力道・・が
鬼籍に入ったのちも何回か来日しましたが、冴えなくなって
ました。しかしこの時のかれは、余程身体の調子が良かった
のか、大活躍。凶器入りの頭突き、ネックブリーカードロップ、
中堅の大木、坂口をシングルで撃破。馬場とも引き分ける。
プリンス・ピューリンも黒人のレスラーですが、キエーッ!と
叫びながら高いジャンプ力のドロップキックが得意。黒い怪鳥と
言われた。
ゲリー・モンティは締まった身体のテクニシャン・レスラー。
傷め技、間接技が光った。
それだけでなく、当時の人気VBに故金原二郎氏司会の
「底ぬけ脱線ゲーム」ってありました。(72年にいったん打ち切り
になったのですが、75年にリメイクされて2代目の司会に
徳光和夫氏が務めたことがありました。)
当番組は時々プロレス特集の企画があり、レスラーが出演
してゲームを競ってたのでした。(この番組は90年代に
マジカル頭脳パワーという番組があり、一コーナーに{マジカル可能?
不可能?}という形でリメイクされたのでした。)
それで、ブッチャーたちが当時出演しました。
ブッチャーさんは、とにかく身体が良い。何やらせても上手い。
例えばゲームのひとつに、長~い平均台がありそれに四つん這い
なって乗っかって尻相撲やるのですが、ブッチャーさん、大木、小鉄と
コロコロ負かしてしまった。
当時の、ひとつの時代の幕開けを少年は見たのでした。
熟年男は、むかしの想いでがいつまでたっても忘れられないのでした。」
完