イスター王国、首都ミルダは、勇者が仲間を集める酒場が
あることで有名です。
世界の数か所には自ら『魔王』を名乗る魔物が勢力を
広げ、人類に圧力をかけています。
魔王を倒す為に、教会で認定された勇者が、今も何組も
世界のどこかで魔物と戦っているのです。
酒場には勇者の仲間となり、魔王退治を夢見る男女が
全世界からやって来ますが、勇者が現れるのは四年に
一度とか、五年に一度と言われていて、いつ会えるのか
分かりません。
365日、酒場に通っていて、偶々一日だけ行かなかった
日に勇者が現れることもあるのです。
さらに勇者の仲間になれるのは、最大四名までなのです。
仲間になる為には、酒場にいる者の中で自分が一番優秀
であると証明せねばなりません。
仲間になれる人数が決められているのは、過去の魔王
討伐のデータから、合計五人のチームが、最も良いと
言われているからなのです。
五人以上のチームになると、仲間割れの可能性が高く
なり、ダンジョンでの機動性が損なわれ、一人を助ける
為に全滅の恐れが増すそうです。
この話は、勇者の仲間にはなれなかったのですが、従者
として勇者を陰から支える大魔王の話なのです。
うンッ。大魔王が、なぜ勇者の味方をして魔王を倒そうと
するのでしょうかね。
……その辺りには事情があるのですが、それは本編を
読んで知って下さい。