緩和ケア⑤　心をささえる

緩和ケアが担う大きな役割は患者様と家族の心を支える事です。

患者様はがんと疑われた時、病名、再発、転移を知った時など、様々な場面で心に負担がかかります。その代表的なものが不安と落ち込みです。

これらは多くの人に見られ、直ちに問題になるというわけではありません。

通常は数日から2週間位で、困難を乗り越えて適応しようとする力が働きます。
しかし、それ以上経過しても辛さが回復せず、日常生活に支障が出るようなら、心のケアなどの対処が必要です。

この状態が長いと患者様の生活の質を低下させるだけでなく、がんの療養への取り組みにも悪い影響が出て、家族のストレスを高めることになります。

家族の誰かががんになることは、他の家族の心にも様々な影響を及ぼします。

患者様の治療がうまくいけば、家族も元気になりますが、治療経過が悪いと家族も気持ちが沈みがちになります。

患者様だけでなく家族の心にも強く影響することを理解して、負担が強いと感じたら、家族の方も心のケアを受ける事が大切です。

カウンセリングは、心の専門家と不安や落ち込みについて話をしていくことが中心になります。
言葉にする事で気持ちが楽になり、整理がついたという経験は、多くの方が持っていると思います。

また、がんと心の状態についての理解を深めることで、心配や辛い気持ちが和らぐこともあります。

心のケアは精神腫瘍科、心療内科、緩和ケアチームの医師のほか、心理士、看護師、ソーシャルワーカーなどにも相談できます。

相談については各地域のがん診療連携拠点病院にある相談支援セン

ターでも対応してもらえます。