乳がんの治療は手術によってがんを取りきることが基本です。


手術は大きく2つに分けて「乳房部分切除術」と「乳房切除術」があります。
術式で術後の生存率に違いはありません。

乳房部分切除術


腫瘍の端から1~2センチ離れたところで乳房を部分的に切除します。
病巣を確実に切除し、患者様が美容的に満足できる乳房を残すことが目的です。
がんの大きさ、位置、乳房の大きさ、本人の希望などを勘案し、主治医とよく相談して決めます。
しこりが大きい場合、術前に薬物療法を行い、腫瘍を小さくしてから手術します。
手術中に切除した組織の切り口のがん細胞の有無を顕微鏡で調べて、確実にがんが切除できているか確認します。
通常、手術後に放射線照射を行い、再発を防ぎます。

乳房切除術


乳がんが広範囲に広がっている場合、複数のしこりが離れた場所に存在する場合、

最初から乳房を全部切除します。


 


乳房再建術


乳房切除術後に患者様自身のお腹、背中などから採取した組織、またシリコンなどインプラントを用いて、新たに乳房を作る手術です
乳頭を作成することもできます。
再建の時期は乳がんの手術と同時に行う場合と数カ月から数年後に行う場合があります。
手術は主に形成外科医が担当します。
現在、保険適応が拡大していますが、内容によっては自費の場合もあります。
再建を希望する場合は主治医とよく相談しましょう。

わきの下のリンパ節郭術


がん細胞はリンパ液の流れにのり周辺のリンパ節に入り込み、転移を起こします
しかし手術前の検査ではリンパ節に転移しているかは正確にはわかりません。
手術前にリンパ節転移が明らかな場合のみ、わきの下のリンパ節郭清を行います。
そのため乳がんの手術ではわきの下のリンパ節郭清を行い、転移の有無を調べて決めます。リンパ節郭清を行うと、手術のあとに腕が上がりにくい、しびれる、むくむといった後遺症が発生する場合があります。
リンパ節のみを取り除くのではなく、周辺の脂肪と一緒に取り除き

ます。