■大腿骨頚部骨折とは?

大腿骨の一部である大腿骨頚部に起きる骨折のことを言います。


私たちの足の付け根には骨盤と大腿骨(太ももの骨)をつなぐ股関節があります。

股関節は球形の大腿骨頭(だいたいこっとう:大腿骨のもっとも上部にある骨)が骨盤にある寛骨臼(かんこつきゅう)
に包み込まれることで安定を保っています。

大腿骨頭のすぐ下にある細くくびれている部分を大腿骨頚部、この部分で起きた骨折を「大腿骨頚部骨折」とよびます。
また大腿骨頚部のすぐ下にある太く出っ張った部分を転子部といい転子部の骨折は大腿骨転子部骨折とよばれ、大腿骨頚部骨折とは区別されます。

■大腿骨頸部骨折の原因

大腿骨頚部骨折を起きやすくする主な原因は骨しょう症です。
骨しょう症とは骨の内部がスカスカになり骨の強度が低下してしまう病気で高齢の女性に多く発症します。

骨粗しょう症で骨の強度が弱くなると、外部から強い衝撃を受けなくても骨折してしまうことがあります。

1998年〜2001年に日本整形外科学会が行った調査によると、大腿骨頚部骨折の受傷原因の第一位は立った高さからの転倒です。骨の強度が弱いために歩行中や立位時の転倒など、比較的小さな外力で大腿骨頚部骨折を発症しているケースが多くを占めています。

さらに、寝たきりの状態にある高齢者などで骨の強度が著しく弱くなっている方の場合、おむつ交換時や就寝時などに大腿骨頚部骨折を発症するケースもあります。

もちろん年齢が若い方の場合でも交通事故や高所からの転落などによって大腿骨頚部骨折を起こすことはあります。

■大腿骨骨折が起きやすい人
大腿骨頚部骨折は骨粗しょう症にかかっている高齢女性が多い。

大腿骨頚部・転子部骨折に関する全国的調査によると、圧倒的に女性の発症が多い。また、同調査による人口1万人当たりの発生率を年齢別にみると、大腿骨頚部骨折の発症は50代以降から徐々にみられはじめ、70代以降から女性を中心に大きく増加しているという結果も出ています。

■大腿骨骨折の症状

通常鼠径部(そけいぶ:足の付け根)に強い痛みが生じ、加えて歩行困難もしくは歩行不能の症状を伴います。

また、痛みの感じ方は骨折の度合いや患者さんの認知機能によっても異なります。骨折時に骨がほとんどずれていない不全骨折とよばれる状態では、痛みは感じても歩行ができてしまう方もいます。

そのため、骨折していることに気が付かないこともあるため、注意が必要です。
また、中等度以上の認知症の患者さんの場合、痛みの症状を訴えない方もおり、
歩行障害などに家族や身の回りの人が気付き大腿骨頚部骨折であるとわかることもあります。

大腿骨頚部骨折は受傷をきっかけに廃用症候群(長期間にわたり安静を保つことで身体能力の低下や認知障害などをもたらすこと)になり、寝たきりとなってしまう方も多くいらっしゃいます。

■大腿骨頸部骨折の治療

寝たきりにならないよう早期の手術が必要

手術後は早めにリハビリを開始し、早期の離症を目指します。

人工関節置換術
大腿骨頭は骨膜からの血行がないため、治癒力が弱いです。転移の大きい骨折、高齢者などではプレート、ピンなどでの治癒が期待できないため、股関節全体を人工関節に置換します。


ピン
転移の少ない骨折では金属製のピンによる固定が行われます。

プレート固定(金属製の板による固定)
骨折の部位によってはプレートを使用します。

ガンマ形髄内釘
骨折の部位により髄内釘を使用します。

■大腿骨頸部骨折の予防
受傷をきっかけに廃用症候群(長期間にわたり安静を保つことで身体能力の低下や認知障害などをもたらすこと)になり、寝たきりとなってしまう方も多くいらっしゃいます。

そのため日頃から予防に努めることは非常に大切です。

大腿骨頚部骨折を防ぐためには「骨粗しょう症の予防や治療」転倒を防ぐ生活」がとても大切です。

カルシウム補給



 

 

 

 

転倒防止