1.【特例措置】オンライン診療からお薬の受け取りまで自宅で可能に
新型コロナウイルスの感染症対策の特例措置の一環として、感染流行期間に限り、一定の条件下のもと、病院、薬局に行かなくても診察、お薬の受け取りが自宅で可能となりました。
2020年4月10日に厚生労働省から特例措置について新たな発表があり、慢性疾患患者だけに限らず、対象疾患を問わず、初診の方まで対象の範囲が拡がることとなりました。これは、来院者、医療従事者の院内での感染リスクを下げるためにも、非常時における異例の対応です。
このことにより、医師が「電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方が医学的に可能である」と判断した場合には、医師の責任下のもとで初診からオンラインでの対応が可能となり、本来、薬局で薬剤師との対面で行わなければならない、お薬の受け取りや服薬指導も同様にオンラインでの対応が可能となります。
参考)新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取り扱いについて(その10)
https://www.mhlw.go.jp/content/000620948.pdf
2.お薬によっては処方できない場合や、処方の日数に上限も
4月10日の発表によると、対応できない特定の疾患の決まりはなく、先述のとおり、医師が「電話や情報通信機器を用いた診療により診断や処方が医学的に可能である」と判断した場合には、医師の責任下のもとでオンラインでの対応、お薬の処方が可能となっています。
但し、痛みのコントロールなどに使用される「麻薬」や、睡眠剤や抗不安薬が該当してくる「向精神薬」については処方できないことに加え、安全管理が必要な医薬品として、抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤なども処方することはできないとされています。
また、診療の際には、過去の診療録、診療情報提供書、地域医療情報連携ネットワーク又は健康診断の結果などによって、患者の基礎疾患の情報を把握・確認した上で診断や処方を行うこととされています。そのため、基礎疾患の情報が把握できない場合には、リスク管理のもと、処方日数は7日間が上限となります。
3.オンライン診療においても被保険証の準備を。
対面で診療を行う場合と比べて、直接的な患者の身元確認を行うことが難しいこともあるため、なりすましの防止や虚偽の申告による処方を防止するために、ご本人確認のためにも被保険者証を必ず医療機関や薬局側が確認をとる作業が必要になります。
そのため、オンライン診療においても、手元に被保険証を必ず準備し、医療機関や薬局が指示する手段で掲示するようにしましょう。
4.オンライン診療からお薬の受け取りまでの流れ
ではどういった流れでオンライン診療からお薬の受け取りまでが行われるかのイメージをお伝えします。実際には、医療機関や薬局によって方法や内容が異なる可能性がありますので確認することをお勧めします。
4-1. 医療機関に確認する
初診の場合や継続的な慢性疾患による通院の場合でも、オンラインによる診療を希望される場合には、まずは、オンラインによる診療、電話や情報通信機器を用いた診療での対応が可能かどうか医療機関に確認するようにしましょう。
確認後、対応が可能ということであれば、今後の流れなど指示を仰ぐようにしましょう。
※今後、厚生労働省のホームページ等で、電話や情報通信機器を用いた診療を実施する医療機関の一覧を公表する予定とのこと
4-2. オンライン診療の実施
患者の基礎疾患の情報を把握や確認した上で、電話や情報通信機器を用いて診療が行われます。
診療内容に応じて、お薬が処方されることがあります。処方せん(備考欄に0410対応と記載される)は、患者が希望する薬局に医療機関からファクシミリなどによって情報が送られます。処方せんの原本は、後日、医療機関から薬局側に送付されます。
4-3. 処方せん情報に基づいて薬局で薬の準備・お届け
薬剤師が、 患者、服薬状況等に関する情報を把握・確認した上で、電話や情報通信機器を用いて服薬指導を適切に行うことが可能と判断した場合には、オンラインによる服薬指導が実施されます。
薬剤師が処方せんの内容に問題ないか判断した上で、薬局で通常どおりお薬の準備を行います。
お薬の確認や準備が出来次第、お手元に確実にお薬が届く方法で薬局からお薬や服用に関する注意書き、説明書などが配送されます。(配送料がかかる可能性があります。)
4-4. オンライン服薬指導の実施
電話や情報通信機器を用いて、薬剤師がお薬の説明や服用に関する注意点などの確認を行います。お薬に関することや病気や体調の変化など、薬剤師に相談がある場合には、このときに合わせて行います。
服薬指導後も、お薬を飲まれていて気になる体調変化があった場合には、相談できます。必要に応じて、薬剤師は処方医師に連絡をとり、緊急対応を行ったり、次回受診時の参考となるような情報を提供します。
※診療やお薬に関する費用の支払い方法については、各医療機関によって異なるため事前に確認するようにしましょう