■レムデシビル

(商品名:ベクルリー)

■レムデシビルは、アメリカに本社のある「ギリアド・サイエンシズ」が、エボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた薬で、新型コロナウイルスの治療にも効果がある可能性が指摘されることから、すでに日本やアメリカなどの各国の医師が、共同で実用化を目指した治験を進めています。

コロナウイルス感染症の重症患者53人を対象に、抗ウイルス薬「レムデシビル」の人道的使用を目的に投与した国際コホート研究を分析した結果、68%の患者で臨床的改善を示したことが医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表された。

同剤は未承認薬で、今回得られた有効性・安全性の結果は限定的なものであることから、レムデシビルの開発を行うギリアド・サイエンシズは、現在実施中の第III相試験で詳細な検討を行う方針。

コホート研究では、レムデシビルの人道的支援を通じて、3月7日以前に同剤を1回以上投与された米国、欧州、カナダ、日本における入院中の新型コロナウイルス重症患者53人を対象に、同剤を静脈内注射した際の有効性・安全性を評価した。患者は全員同ウイルス感染による重度急性呼吸器症状が出ており、3分の2近くは人工呼吸器を使用し、そのうち4例は体外式膜型人工肺(ECMO)を使用していた。全体の約7割が高血圧、糖尿病などの併存症を持つ60歳以上の男性であった。

米医療関連メディアのSTATニュースは治験薬「レムデシビル」を投与された新型コロナウイルス感染症の患者が急回復していると報じた。

STATが医師の発言として報じたところによると、治験に参加した患者はいずれも重い呼吸器系の症状や発熱があったが、治療開始から1週間以内に退院することができたという。

米シカゴ大の感染症専門家、キャスリーン・マレーン博士は「最も良い知らせは、患者の大半がすでに退院したことだ。死亡した患者は2人しかいない」と語っている。

特に重症患者に期待されている。

2020年5月1日、米国が認可したことを受け、厚生労働省は近く、海外での承認などを条件に緊急時に審査手続きを大幅に短縮できる「特例承認」を適用し、薬事承認の手続きに入る。

日本政府は5月2日午後、特例承認が適用されるための政令改正に向けた閣議を持ち回りで開いた。同省は企業側からの申請を受け薬事・食品衛生審議会で意見聴取した上で、早ければ1週間後をめどに承認する見通し。

薬の承認は、国内での治験に基づき通常は1年ほどかけて審査される。政府はレムデシビルについては緊急の使用が必要として、他国の承認に基づき販売を認める医薬品医療機器法の特例承認を適用する方針を表明していた。

厚生労働省は2020年5月7日「レムデシビル」を新型コロナウイルスの治療薬として特例承認した。

国内初の新型コロナウイルス治療薬になった。

補足

エボラ出血熱

患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)に触れることによりエボラウイルスに感染する疾病。

これまでに、アフリカ中央部のコンゴ民主共和国、スーダン、ウガンダ、ガボンやアフリカ西部のギニア、リベリア、シエラレオネ、マリ、ナイジェリア、コートジボワール等で発生している。

症状は発熱、倦怠感、食欲低下、頭痛など。

その後嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状が見られる。

重症例では神経症状、出血症状、血圧低下などが見られ死亡する。
致死率はウイルスによって異なるが、高いものだと80-90%と報告されている。