■アビガン錠


一般名:ファビピラビル は、富山大学医学部教授の白木公康富士フイルムホールディングス傘下の富山化学工業(現:富士フイルム富山化学)が共同研究で開発したRNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤

商品名であるアビガン錠の名前でも呼ばれる。

新型インフルエンザが流行し他の薬が効かないと国が判断した場合に、厚生労働大臣の要請を受けて製造を開始するという特殊な承認となっている

富山化学工業は当初、アビガンがタミフルに代わる新しいインフルエンザ薬として普及し会社の収益源となることを期待していたが、動物実験で胎児に対する催奇形性の可能性が指摘されたため、厚労省による製造販売承認は大幅に遅れたうえに緊急の場合のみ製造可能という条件がついてしまう。

催奇形性の危険があるにもかかわらず承認されたのは、ウイルスを細胞内に閉じ込めて増殖を防ぐ既存のインフルエンザ薬とウイルスの遺伝子複製を阻害して増殖を防ぐアビガンの作用メカニズムが異なり、既存薬に耐性を持ったウイルスが蔓延した場合でも効果を発揮できるとの期待からだった

現在、薬価未収載

新型インフルエンザの流行に備え備蓄編集

厚生労働省は、新型インフルエンザの流行に備えアビガンを現在191万人分備蓄。

■効能効果

新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る。)

■用法・用量

通常、成人にはファビピラビルとして1日目は1回1600mgを1日2回、2日目から5日目は1回600mgを1日2回経口投与する。総投与期間は5日間とすること。


■警告

動物実験において、本剤は初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。


妊娠する可能性のある婦人に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で、投与を開始すること。

また、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後7日間はパートナーと共に極めて有効な避妊法の実施を徹底するよう指導すること。

なお、本剤の投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導すること。




本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、その危険性について十分に説明した上で、投与期間中及び投与終了後7日間まで、性交渉を行う場合は極めて有効な避妊法の実施を徹底(男性は必ずコンドームを着用)するよう指導すること。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせないこと。


                                                                  治療開始に先立ち、患者又はその家族等に有効性及び危険性(胎児への曝露の危険性を含む)を十分に文書にて説明し、文書で同意を得てから投与を開始すること。


                                                                  




     発症後、早めに投与開始する事。


■オルベスコ



神奈川県立足柄上病院は3月2日、吸入ステロイドのシクレソニド(商品名オルベスコ)の投与により症状改善が得られた新型コロナウイルス感染症COVID-19)3例の詳細を日本感染症学会のウェブサイトに掲載。


3例はいずれも胸部CTにてすりガラス影を呈する肺炎像が見られ、入院中に酸素が投与された。


■フサン、フオイパン

急性膵炎(すいえん)の治療薬として国内で長年使われてきた点滴薬剤「ナファモスタット(商品名フサン)」が新型コロナウイルスの感染を阻止する可能性があると、東京大医科学研究所の井上純一郎教授らが発表した。


国内で使われる慢性膵炎治療薬には口から飲む錠剤「カモスタット(同フオイパン)」もあり、ドイツ霊長類センターなどの研究チームが今月、感染阻止作用がある可能性を米科学誌セルで指摘していた。


新型コロナウイルスは球状で、内部に遺伝情報を担うリボ核酸(RNA)がある。表面にあるスパイクたんぱく質を人の気道などの細胞にある受容体たんぱく質「ACE2」に結合させた後、ウイルスの膜と細胞膜を融合させて侵入、感染する。膜融合を起こすには、細胞側のたんぱく質分解酵素「TMPRSS2」にスパイクたんぱく質を切断させる必要があり、ナファモスタットやカモスタットはこの酵素の働きを抑える。


 井上教授らは2016年、中東呼吸器症候群(MERS)のウイルスでナファモスタットが膜融合、感染を阻止すると発表していた。