ワシントン(CNN) 米情報機関当局者は12日、米同時テロの首謀組織、アルカイダの戦闘員らがアフガニスタン、パキスタン国境周辺の拠点を離れ、中東イエメンやアフリカ東部のソマリアへ移動、訓練基地などを設ける動きを示していることを明らかにした。


パキスタンを離れているこれら戦闘員の数は不明。しかし、米軍がパキスタン政府直轄部族地域などでアルカイダ構成員らを標的にしている無人武装偵察機によるミサイル攻撃が成果を得ていることの証拠ともしている。無人機攻撃は昨年以降、激化しこれまで数十回行われている。イエメンやソマリアが今後、アルカイダの「本拠地」になる可能性もあるとしている。


アフガン、パキスタン国境周辺はアルカイダの最高指導者オサマ・ビンラディン容疑者、ナンバー2のザワヒリ容疑者の潜伏地域とされるが、2人がイエメンやソマリアへ移動したのかは不明。


アルカイダは、パキスタンの部族地域や北西辺境州に拠点を築き、アフガンへの越境攻撃などを仕掛けてきた。パキスタン軍は現在、北西辺境州でアルカイダとの共闘も指摘されるイスラム強硬派タリバーン系の掃討作戦を加速している。


ソマリアでは南部を支配下に置くイスラム過激派シャバブが暫定政府軍と戦っているが、米政府はアルカイダが同組織に浸透しているとも見ている。外国人戦闘員の参戦も確認され、最近ではビンラディン容疑者がアフメド暫定大統領政権の打倒を呼び掛ける音声テープがシャバブ内に出回っていることが分かっている。


米情報機関によると、アルカイダは1990年代初期からソマリアに訓練キャンプを設けていた。今回の移動は、これらキャンプの復活とも受け止められている。

ロンドン(CNN) アルツハイマー病による認知障害で、出かけたまま帰り道が分からなくなってしまう患者らへの支援を目的に、はいている人の居場所を追跡できるGPS(全地球測位システム)チップ付きの靴の開発が、米企業で進められている。


小型GPS装置を専門に扱うGTXと、靴メーカーのAetrexが共同開発している。プロジェクトの顧問を務めるジョージメーソン大学のアンドリュー・カール教授は、「患者の命を救うだけでなく、当局の捜索作戦にかかる膨大な費用を節約することができる」と話す。


今年末までに試作品を使った実験が完了し、2010年には発売される見通し。家族らはオンラインで患者の居場所をただちに把握し、リアルタイムで見守ることできる。GTXによれば、価格は200―300ドル前後に設定される予定。さらに月額約20ドル支払えば、靴をはいた人が指定した領域から出たら自動的に警報を発するサービスが利用できるという。


アルツハイマー病患者10人のうち6人は、少なくとも1度は迷子を経験するという。自力で助けを求めないケースが多く、24時間以内に見つからなければ、このうち半数は生命の危険にさらされると、カール教授は強調する。


GPSを身に着けるアイデアはこれまでにも登場し、リストバンドや足首用ブレスレットなどが使われてきた。しかし、かさばったり着け心地が悪かったりしたことから、「靴なら邪魔にならないのではないか」と期待が集まっている。

9日午前9時20分ごろ、栃木県警本部に男の声で「人間をこれから殺しに行く」と110番があった。県警は逆探知で宇都宮市明保野町の市文化会館敷地内にある公衆電話を特定、宇都宮中央署員が駆け付けたが、それらしい男はいなかった。市文化会館で同日予定されていた演歌歌手、島津亜矢さんのコンサートは延期となった。

 同署などによると、公衆電話は建物西側にある電話ボックス内にあり、電話は午前9時18分から約40秒間で切れた。男は具体的な方法などには触れなかったという。

 文化会館から連絡を受けた主催者は「万全を期したい」として、午前11時と午後3時の2回予定されていたコンサートを6月7日に延期した。2回の公演で計約2200人が入場予定だった。【山下俊輔】
「東京都議選(7月12日投票)を衆院選の前の選挙と位置付け、(衆院選の)勢いをつけるために大いに頑張ろう」。自民党の細田博之幹事長=似顔絵=は8日、党本部で開かれた都議選対策本部であいさつし、衆院選は都議選の後との見通しを示した。党首脳の思わぬ選挙発言に、会場はざわついた。

 近くにいた自民党の古賀誠選対委員長が訂正を求めて口をはさむと、細田氏はあわてて「都議選前に衆院選があるかもしれないと微修正します」と付け加えた。出席者からは「細田氏の本音が漏れたのではないか」との声も出た。【田所柳子】
【ワシントン=山田哲朗、ジュネーブ=平本秀樹】新型インフルエンザの感染例が最初に見つかってから3週間以上たつ米国では、ウイルスの毒性が弱いとわかってきたこともあり、冷静な対応が目立っている。

 米政府は国内感染者が20人になった4月26日、「非常事態」を宣言したが、国民に大きな動揺は見られなかった。米ハーバード大が5月8日に発表した電話調査では、「1年以内に家族が感染する懸念はない」と予測した人が61%に上り、米国内の楽観的なムードを反映した。

 米疾病対策センター(CDC)は1日、疑わしい生徒が見つかった学校に14日間の休校を勧告。一時700校が休校したが、ウイルスが「弱毒性」であることがはっきりしたことを受け、休校勧告は6日に撤回され、大半の学校が再開した。

 世界保健機関(WHO)も、国民生活や経済活動を過度に制約する対策を勧めていない。警戒水準については最高の「フェーズ6」への引き上げを検討しているが、渡航制限や国境閉鎖は引き続き行わないよう各国に要請する方針だ。

 シルビ・ブリアン・インフルエンザ対策部長代理は8日、空港での水際対策の限界を指摘。軽症者がほとんどという「実態」に「対策」を合わせるべきだと述べ、「封じ込め」より感染の早期発見、早期治療の方が重要になるとの見解を示した。
【バンコク9日時事】ミャンマーの民主化運動指導者で自宅軟禁中のアウン・サン・スー・チーさんについて、AFP通信は9日、「食事が採れず、血圧も低いなど健康状態が良くない」と伝えた。
 同通信はスー・チーさん率いる野党の国民民主連盟(NLD)の話として、食欲がなく、血圧も低下しており、脱水症状になっているとした。点滴も受けているという。 
【ニューヨーク8日時事】米大リーグのダイヤモンドバックスは8日、成績不振により解任したボブ・メルビン前監督の後任に、球団幹部として選手育成などを担当していたA・J・ヒンチ氏を指名したと発表した。34歳の同氏は現役のメジャー監督としては最年少となる。
 スタンフォード大出身のヒンチ氏は捕手として活躍し、1996年アトランタ五輪に出場。98年にアスレチックスでメジャーデビューを果たし、04年まで現役だった。メジャーでのコーチ経験はない。 
今月2日にがん性リンパ管症のため死去したロック歌手・忌野清志郎さんの告別式が9日午後、東京・青山葬儀所で営まれ、会場には大竹しのぶ、竹中直人、甲本ヒロト、桑田佳祐らおよそ1000名の著名人・関係者が足を運び、そのほか一般のファンは3万5000人が詰め掛けた。(※17時現在)

 会場は“ロック葬”らしく朝から忌野さんの楽曲やプロデュース作品などが大音量で流されており、1990年代半ばに行われたライブで実際に使用されていたウサギのバルーン、2年前の年越しライブで使われたコタツも飾られ、その横にはヒット曲「いけないルージュマジック」などのポスター、さらに再びライブで熱唱することを願っていたファンから贈られた千羽鶴も飾られた。開場を待ちわびるファンは徹夜組を含め早朝から殺到し楽曲に41曲もの自身の楽曲や他のアーティストへの提供曲を流しつづけ、途中では大阪のラジオ局・FM802のキャンペーンソングとして制作され葬儀での出棺時に流された遺作「Oh!RADIO」の忌野が歌うデモテープ版も流された。

 キング・オブ・ロックとの最後の別れをするファンの列は、周辺の青山墓地などの道路を埋め尽くしており、ある運営関係者は弔問の際に渡される忌野さんのポストカードを「約5万枚準備しているが、足りるかどうか判らない…」。現状、受付は午後6時で終了予定だが「会場に来られたら対応します。何とか、終電までには終えれば…」とした。

 12時から始まった関係者向けの式には、およそ1000人が参列。式では最初に昨年2月に開催された『忌野清志郎 完全復活祭』に出演した忌野清志郎&NICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNSらが演奏。参列者を代表しての弔辞には竹中、大竹、甲本が登壇した。

 中学3年生の頃にラジオ番組で楽曲と初めて出会い「何て独特な声の方だろう」とそれ以来、大ファンとなり後に自身の映画監督作品で忌野の音楽監督として起用した竹中は「今日はもの凄いプレッシャーです。いろんな呼び方があるけど、僕にとってはやっぱり清志郎さん。いつも『竹中、出番はないか?』って映画監督やドラマに出ていたらいつも声をかけてくれた。俺は(清志郎さんの)友達。ずっとずっと自慢していいですよね?清志郎さんは、ずっとずっと僕たちのなかで生きている。死んでない」と声を詰まらせながら慰霊に向かって語りかけて、式後報道陣の取材には「優しくていろんなモノに怒りを持っている方。でも優しくて…思い出とかそんなんじゃなくて、ずっとずっとずっと生きています」と話し、以前プレゼントで貰ったというプリズム色の指輪を見せた。

 大竹も「まだ、信じられない。ガンは消えると思っいたから、それで死ぬなんて思っていなかっただけに残念です。(天国から)愛と平和が1日でも早く来るよう、凛としていて下さい。最近は、メールで話すだけでしたが、本当に優しい方でした。これからもずっとファンでい続けますね」と寂しげな表情を見せながら最後の別れを惜み、会場を去る直前には列をなしたファンに向かって「愛し合ってるかい!?」と清志郎の名ゼリフを言い放っていた。

 さらに、革ジャン姿で出席した甲本は「あなたとの思い出にろくなモノはない。でも、今思えば全部冗談だったんだよな? 今日は、ありがとうと言いに来た。でも、この冗談はひどいよ……清志郎さん、ありがとう」と手を力いっぱい振って別れを告げ、同じ自転車の趣味で親交のあった俳優・鶴見辰吾も「忌野さんから『一緒に走ろう!』って言われたが…走れなかった。(ロック葬という)異例の葬儀だったが、清志郎さんの人柄が出ていて素晴らしかったです」と故人との最後の別れを偲んだ。

【主な著名人参列者】
甲本ヒロト、竹中直人、大竹しのぶ、桑田佳祐、永瀬正敏、鶴見辰吾、大友康平、オダギリジョー、BONNIE PINK、ゆず、原由子、Chara、スガシカオ、サンプラザ中野くん、及川光博、糸井重里、宇梶剛士、坂本冬美(順不同)

【会場で流された主な楽曲】
「ロックン・ロール・ショー」「多摩蘭坂」「スローバラード」「い・け・な・いルージュマジック」「サン・トワ・マ・ミー」「パーティをぬけだそう!」(忌野清志郎と篠原涼子)「危ない二人」(竹中直人)「Oh!RADIO」(忌野さんが歌うデモテープ版)
1年前に世界新車販売トップに上り詰めたばかりのトヨタ自動車が09年3月期決算で59年ぶりの最終(当期)赤字に転落したのは、世界的な金融危機に伴う販売激減と円高が主因だ。住宅バブルを背景に消費ブームに沸く北米市場偏重で急成長してきただけに、米金融・経済危機の打撃は予想以上に深かった。6月には創業家の豊田章男副社長(53)がトップに就任、「原点回帰」を旗印に経営立て直しを目指すが、生産能力年産1000万台、従業員32万人の巨艦の再建は並大抵ではない。【坂井隆之、大久保渉】

 「4年前の社長就任以来、世界市場の右肩上がりの成長に乗ってきたが、昨年半ばから経営環境が激変した。足元を固めながらの成長を目指してきたが、課題解決の徹底が十分でなかった」--。6月末退任する渡辺捷昭社長は会見で、歴史的な赤字決算に悔しさをにじませた。

 増収増益を8期続け、08年3月期には売上高で米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き「製造業世界一」になったトヨタ。だが、販売台数を338万台も増やす急成長はひずみを生み、景気悪化時の打撃を増幅するリスクを高めた。

 06年秋稼働した米テキサス工場はその象徴。北米市場の大型ピックアップトラックブームに乗じて、最大排気量5・7リットルの「タンドラ」生産に乗り出したが、ガソリン高と金融危機で販売が激減。昨年8月から3カ月間操業停止し、今も「開店休業状態」(トヨタ関係者)だ。

 「地元採用の非熟練工中心で、日本の工場のようにハイブリッド車(HV)に生産を切り替えられない」(幹部)ため、人件費や維持費など経営の重荷となっている。

 トヨタにとって北米市場は、前期に世界販売の3分の1をたたき出した最大のドル箱。しかし「9割がローン販売」(自動車アナリスト)で、金融危機で新規融資停止や貸し倒れが相次ぐと、販売は冷え込み、損失拡大の温床にさえなった。

 さらにロシア、中東なども資源価格急落などで失速。09年3月期の連結販売台数は前期比134万台減の756万台に激減した。過去5年で海外生産工場を五つ新設するなど拡大主義が裏目に出て、営業利益は約1兆4800億円も吹き飛んだ。

 ◇8000億円コスト削減 エコカー拡充と両面作戦

 歴史的な業績不振に陥ったトヨタは、6月から、創業家出身の豊田章男副社長がトップに就き、巻き返しを図る。「お家芸」のコスト削減で「世界販売が700万台で利益が出る体質」に転換するとともにハイブリッド車などエコカー(環境対応車)拡大で成長を図る“二正面作戦”。

 ただ、これまで拡大一辺倒で伸び切った戦線の再構築は難題。10年3月期のトヨタの世界販売台数が計画どおり650万台なら、04年3月期(672万台)並みの水準に逆戻りする。これに対し、00年以降、生産・人員を急拡大させてきたトヨタは、従業員数が04年比1・2倍、総資産も1・5倍に増え、設備・人員の大幅な過剰は明らかだ。生産能力が1000万台弱もありながら、700万台で黒字化する方策としてトヨタ関係者は「固定費削減に大なたを振るうしかない」(業界筋)と強調する。

 系列企業も巻き込んだ原価低減や、設備投資の絞り込みで、10年3月期は8000億円のコストを浮かし、新車販売106万台減少分を穴埋めする。それでも、円高による為替差損4500億円は補えず、同3月期の営業赤字は8500億円に膨らむ。本来なら、肥大化した設備・雇用削減が不可避だが、トヨタ首脳は「設備や雇用削減には手をつけない」と慎重。それだけにハードルは高い。

 一方、販売面では、50車種超に膨らんだ商品構成を見直すとともに、ハイブリッド車を09年度中に国内外で7車種投入。従来の大型車中心の戦略を見直し、エコカーと小型車に軸足を移す。世界販売でも成長が見込める中国やブラジルなど新興国に焦点を移す。しかし、トヨタのシェアは、中国で5%台、インド・ブラジルで2%台と、独フォルクスワーゲンなどに比べ出遅れている。一方、エコカーはホンダなどが猛追し、安閑とはしていられない。

 再建をかじ取りする豊田次期社長は「過去に縛られず、変革に挑戦する」とするが、先行きは険しい。