僕は予想もしていなかった事態に言葉を失った。
「徹にここだって聞いて...」
明らかに寝不足気味の顔色をした結衣の言葉に、僕は必死に言葉を絞り出して応えた。
「そ、そっか...」
声を発して初めて自分の喉がからからだったことに気が付く。
「ちょっといいかな?」
「もちろん」
僕は結衣の眼を直視することが出来なかった。
「隣、座ってもいい?」
「え?い、いいけどここじゃ暑いから日影に行く?」
「そうしてくれると嬉しい。ありがとう」
僕たちは日影へと移動し、並んで岩場に座った。
隣に結衣がいることで僕の鼓動はますます速くなっていった。
僕らはしばらくの間、黙って遠くに見える海を眺めていた。
何て話しかけたらいいか僕は分からなかったし、結衣も同じような気がした。
昨夜の告白した場面が自然と思い起こされる。
突然の告白。
黙って走り出す結衣。
悲壮感とも喪失感とも取れない感情が再び胸の奥で渦巻く。
一方で、そういえば以前読んだ漫画でこのような告白のシーンがあったなと思考する落ち着いた部分もあった。
少しだけだが断られる覚悟が出来ているせいかもしれない。
どれ位その状態が続いたのか、結衣が「昨日は」と不意に話始めた。
「昨日はごめんね。何も言わずに急に一人で帰っちゃって」
「あ、いや、俺の方こそ突然あんなこと言ってごめん。びっくりしたよね…」
「・・・・・うん」
小さな結衣の返事をきっかけに、再び沈黙が僕らを襲った。
