『 ヨ リ ン デ と ヨ リ ン ゲ ル 』



前回のお話し  「ヨリンデとヨリンゲル 1」




ヨリンゲルは驚きの余り、気を失ってしまいました。

ヨリンデは、驚いたことに歌を歌い始めたのです。



『悲しい、悲しい、悲しいと歌う、

 小鳥は小鳩にお前は死ぬよと歌う。

 悲しいと歌う、かな・・・

 ツイキュート、ツイキュート、ツイキュート』



 ヨリンゲルは、ヨリンデの方を見ました。

ヨリンデは、いつの間にか、

夜鶯(ようぐいす)に、化けていました。

そして、



『ツイキュート、ツイキュート』



 と、鳴いていました。

燃える火のような眼をした梟が一羽、

夜鶯の周りを三度飛んで、三度、



『シュー、フ、フ、フ』



 と、鳴きました。



 ヨリンゲルは、身動きが出来ませんでした。

石のように立ったままで、泣く事も、

話すことも手足を動かす事も出来ませんでした。

やがて日が沈むと、梟は灌木(かんぼく)の中へ飛び込みました。

それと入れ違いに、

背中が曲がった老婆が灌木の中から出てきました

黄色くて、痩せて、目玉は大きく真っ赤で、

曲った鼻の先は、顎までぶら下がっていました。

老婆はブツブツ言いながら、夜鶯を捕まえると、

手の平に乗せて、どこかへ持って行ってしまいました。



 ヨリンゲルは、何も言えませんでした。

そこから歩き出す事も出来ませんでした。

夜鶯は、影も形もありませんでした。

やがて、老婆がまたやって来て、陰気な声で、



『こんにちは、ツァヒェル、

 月が小さい籠を照らしたら、

 とき放しておくれ。

 時間を計ってな。』



 と、ごそごそ言いました。

すると、ヨリンゲルの身体が自由になりました。

ヨリンゲルは老婆の前に膝をついて、

自分の許嫁(いいなずけ)のヨリンデを、

どうか返してくださいと頼みました。



~今日は、これにて~




ここまで読んでくださって、誠にありがとでしたぁ。

おしまいっ。
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