この記事は、穂吉のブログの「2012-12-31 16:00:00」にUPした『日本の神話231. ~第四部 大和朝廷~  =第二二章 清寧(せいねい)天皇=』という記事を再編成してUPしています。



最初のお話し 『日本の神話01』     前回のお話し 『日本の神話230』




この回も、大君、白髪命(しらかのみこと)

清寧天皇(せいねいてんのう))
様の御世で、ご崩御後のお話しです。



意祁命(おけのみこと)様と、袁祁命(をけのみこと)様が、

無事に叔母である、

忍海郎女(おしぬみのいらつめ)様の館へ迎え入れられた頃、

今度は、お二人の皇子様の、

どちらが御即位されるかを決めることとなりました。



この回のお話は、ちょうどその頃と同じ頃のお話しです。



平群(へぐり)に、

志毘臣(しびのおみ)という 若者がおりました。

皇太子のお二人の内の、弟君の袁祁命様が、

歌会のお席にて、

これから求婚をされようと云う美しい女性に

お歌を差し上げようとされていた時、

突如、この志毘臣がやってきて、

その女性の手を取り微笑みました。

この美しい女性は、莵田(うだ)(おびと)の娘で、

名を大魚(おふを)と申しました。

この時、袁祁命様も、急ぎ大魚のお側に寄りました。



すると志毘臣が、



 『大宮の  彼(をと)つ端手(はたで)  隅傾(すみかたぶ)けり

(『皇居の端の方が傾きかけてますよ。』)



と、歌ったのに対し、袁祁命様は、



 『大匠  をぢなみこそ  隅傾(すみかたぶ)けれ

(『大工が上手でないから、傾くのです。』)



そう切り返されました。

すると、また志毘臣は、



 『(おほきみ)の  心を緩(ゆら)み  臣の子の

  八重(やえ)の柴垣(しばがき)  入り立たずあり


(『皇子たちの心が緩んでしまい、臣下への命令も監督も出来ていない。だからこそ頑丈にめぐらせた国の警護も何も出来ない、役立たずな状態なのです。』)



そう切り返されたのです。

すると、袁祁命様はまた、



 『潮瀬(しほせ)の  波折(なを)りを見れば  遊び来る

  鮪(しび)が鮨手(はたで)に  妻立てリ見ゆ


(『(女性の名の大魚にかけてます)魚のお前は八重の柴垣には来れないだろう。幾重にも波が打ち寄せるその合間に、鮪のお前が妻に付き添ってもらって、旗をもってのっそりやってくるのが見えるよ。』)



と、志毘臣に対して歌われたのでした。

とうとう激怒した志毘臣は、



 『(おほきみ)の  王子(みこ)の柴垣

  八節結(やふじま)り  切れむ柴垣  焼けむ柴垣


(『皇子が御世を継ぎ、頑丈に何重にも根回しをした垣根だって、どうせそれはすぐに切れたり、焼けたりして、安泰な世の中なんかにゃ、なりゃしませんよ。』)



と、散々な皮肉を歌ったのです。

また袁祁命様も負けずに、



 『大魚(おふを)よし  鮪突(しびつ)く海人(あま)

  其(し)が疎(あ)れば

  心恋(うらこほ)しけむ  鮪(しび)つく鮪


(『大魚よ、鮪を銛(もり)でつく海人よ、獲物である鮪が遠くに逃げて行ってしまったなら、きっと寂しくなるだろうよ。』)



この様に歌で戦いをされ、朝になったのです。



その翌朝、兄の意祁命様と

弟の袁祁命様は、相談をいたしました。

昨日のお歌での戦いと共に、家人の調べで、

志毘臣には、不穏な動きがあると判明したからです。

昼になると、沢山の者たちが、

志毘臣の館に集まるというのです。



『今ならば、まだ志毘臣も寝ているであろう。

 また、他の者もこの時ならば来てはおらぬであろう。

 今しかない。手遅れになる前に。葬ろうぞ。』



御二柱の皇子様は、

軍勢を集めて、志毘臣の館を取り囲みました。

そして、志毘臣を捕え処刑されたのです。



そして、周りが静かになった時に、

お二人は、どちらが天皇になるか譲り合い、

兄が、



『我らが、まだ志自牟(しじむ)の屋敷で、 

 身分を隠し下働きをしておった頃、

 あなたが勇気をもって、歌を詠い舞を舞わねば、

 われらは、決して天の下に戻ることは無かったであろう。

 あなたの勇気が、今を作ったのです。

 ですから、あなたが天の下を治めなさい。

 私はあなたをお支えいたします。』



そう仰って、

弟の袁祁命様が天の下を治めることとなったのでした。



- 追 記 -

このお歌合戦は、都の方、独特の裏読み?風ですよね。 時々、本音が、ちらほらと隠れています。
裏読みを隠し、本音だけで訳したら、こんな風でしょうか?

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 『お前ら(皇子)が能無しだから、皇室が傾いちゃったじゃないか。皇室は、落ちぶれたよなぁ。

 『はぁ? お前、何言ってんの?お前ら、臣下がサボってるから、こうなったんだろ!

 『お前ら(皇子)が、緩みっぱなしで、命令も何にもしないから、国をどうにかしたくっても、俺らが動けないんだろ!

 『国? 何言ってんのお前? お前の隣に大魚いるしさ、お前ってば魚ジャン。時々、波間に現れては、ヒレが曲がんないようにお前の奥さんに持って貰わないと、何も出来ない、甘ちゃんの鮪ジャン、お前ってばよぉ。

 『お前(皇子)の造る国は どうせ、長く続かないよ~だ。一所懸命、みんなで守っても、その国は直ぐにぶっ壊れちゃうし、焼かれちゃうし、駄目駄目の国作りしか、どーせお前には出来ねーよ!

 『あ~あ、大魚さんよぉ、こんな男だけど、居なくなっちゃったら寂しくなって、泣いちゃうんだろうねぇ。そんなお前は、大魚に釣られる鮪だって、自覚しろよな!この鮪野郎がぁ!


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子供の喧嘩ですね ┐( ̄ヘ ̄)┌
しかし本音は、お互いの腹の中は、こんな感じであろうと思います。
(ただし、これはあくまで穂吉の主観タップリの訳であり、本当はこうでは無いかも知れないので変だったらすいません。あしからずですぅぅ。)




ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

おしまい。
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