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 選手宣誓全文 
 宣誓。東日本大震災から1年。日本は復興の真っ最中です。被災をされた方々の中には苦しくて、心の整理がつかず、今も当時のことや、亡くなられた方を忘れられず、悲しみに暮れている方がたくさんいます。人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。
 しかし日本が一つになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう。日本の底力、絆を。われわれ高校球児ができること。それは全力で戦い抜き、最後まで諦めないことです。今、野球ができることに感謝し、全身全霊で正々堂々とプレーすることを誓います。

◎被災地の思い全国に伝える

 被災者だから言える思いがある。伝えたい言葉がある-。第84回選抜高校野球大会に石巻工(宮城)が21世紀枠で初出場した。甲子園球場で21日行われた開会式で阿部翔人主将(3年)が選手宣誓。「苦難を乗り越えることができれば、その先に大きな幸せが待っていると信じています」。東日本大震災からの復興を願う熱い思いを込めた。

 帽子を脱ぎ、一礼して壇上に上がった阿部主将は、正面を見据え、堂々と大役を果たした。
 2分以上をかけた宣誓の中で、一番伝えたかったメッセージは「日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を」。そんな思いを持って試合に臨みたいという。
 地元・石巻には震災の爪痕がいまだ残っており「被災地の現状や、多くの人たちが苦しみながらも頑張っていることを、全国に伝えたかった」とも語る。
 20日のリハーサルを胃腸炎による発熱で休み、不安もあった。「楽しもうと気持ちを切り替えた。百点満点の出来。満足感ですっきりした」。終了後はホッとした表情だった。
 宣誓文はチームメートから盛り込みたい言葉をホワイトボードに書いてもらい、自分で考えた文章に織り交ぜた。17日に完成し、19日夜にナインを前に3回練習した。松本嘉次監督(44)は「底力、絆…宮城の思いを全て盛り込んだ内容になった」と話す。
 スタンドで見守った阿部主将の父克彦さん(46)は「『答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです』というところに、ぐっと来た。自分の息子じゃないくらい立派に見えた」と涙をぬぐった。

◎「感動、地元の誇り」/石巻

 石巻工の地元・石巻市内の仮設住宅では21日、ナインの雄姿に被災者が盛んに声援を送った。
 約450世帯、約1100人が暮らす石巻市大橋1丁目の仮設大橋団地。住民30人ほどが集会所のテレビの前で開会式を見守った。選手の行進が画面に映ると、拍手が送られた。
 阿部翔人主将の選手宣誓には、全員が静かに聞き入った。「答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらい」と東日本大震災を表現すると、涙ぐむ住民もいた。
 大橋団地自治会の山崎信哉会長(75)は「選手宣誓は堂々と落ち着いていた。内容も被災者の気持ちを理解しており、感動した。地元の誇りなので、試合にも勝ってほしい」と話した。


◎東北勢主将共感と決意

 選抜高校野球大会の開会式に臨んだ東北勢の各校主将は、石巻工の阿部翔人主将の選手宣誓への共感と、自らの決意を口にした。
 花巻東(岩手)の大沢永貴主将は「東北代表として岩手代表として、花巻東だけでなく東北各チームで何か届けられればとすごく思った」と述べた。震災で自分の家族は無事だったというが「まだまだ心に傷が残っている人がいる。地元の皆さんや応援してくれる方を少しでも元気に」と全力プレーを誓った。
 光星学院(青森)の田村龍弘主将は「自分も彼と思いは一緒」と言えば、聖光学院(福島)の氏家颯俊主将は「被災した方々が直々に思いを込めたメッセージで、すごくいい宣誓。自分たちもできる限りのプレーをやろうとあらためて思った」と話した。




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