この数日、ブログを書く気になれませんでした。
人がひとり亡くなったことを(家族でもないのに)、こんなに重く考えたのは久しぶりです。
 

今日、韓国語の授業に行ってきました。
当然、ジョンヒョンの話になります。
 
先生から聞いた、韓国での「うつ病」に対する見解が、驚きだったので、書こうと思います。
 
ちなみに、ウチの先生はバイトで韓国語を教えているのではなく、ちゃんと韓国語教師の資格を持って来日し、以来ずっと教室で教え、日本人と結婚しておられます。
長年、日本に住んでおられますが、もちろん御家族は韓国にいらっしゃるし、政治、経済、社会問題すべてに関心が高いので、絶えず韓国の情勢もチェックされています。
 
 
で、まずは、Twitterにあった、ジョンヒョンのラジオでの、コメント。



 


苦しんでる人に対する、こんな慰めは一番ダメなパターンだと、彼が言ってますよね。

 
「みんな、そうやって生きてる。君だけが辛いんじゃない。」
「そんなことで悩んでる時間と労力を、他に向ければいい。」
「死ぬ気になれば、何だってできる。」
「頑張れ!応援してるから!」
 

こんな話を聞いて、私は彼と同じように、
「それ、いちばん言っちゃいけない事だよね。」と思うし、
ましてや、うつ病の人には絶対に言っちゃいけない言葉だってことは、
たいていの日本人は知ってるんじゃないでしょうか?
 

彼の遺書の中で、医師が同じようなことを彼に言っていたふしがあることも、
「え?そんな医者がいるの?」って驚きました。
「もっと、他の医者にかかることもできただろうに。」って。
日本のファンは、そこも疑問に思ってましたよね。
 

今日、韓国語の先生と話して、その謎が解けました。
 
 
うつ病の患者に対して、
「頑張れ」とか「心が弱いからだ」なんて決して言ってはいけない、
って認識が、韓国では、まだまだ無いんだそうです。
 

心が弱ってる人に対して、周囲の人は皆、上の赤字部分のようなことを言って、励ますのが普通だそうです。
 
先生「たぶん、私がそんな状態になっても、私の両親はそんなふうに励ましたり、叱咤激励すると思います。」って。
 

だから、ジョンヒョンも、「周りの人間は皆同じ事を言って自分を責める」といったニュアンスの事を書いていたのかもしれません。
 

ウチの、お嬢が、このラジオでの彼のコメントを聞いて、
「彼は、多くの人を癒してあげることができた人だったのに、彼を癒してくれる人は居なかったんだね・・・」
って言ってた。
そうなんだろうね・・・。 だから・・・。
 
 

 
あと、もう一つ。
 
 

日本でも、「心療内科」や「パニック障害」なんて言葉が昔は無くて、
「自律神経失調症」なんて言葉で全部済まされていた時代がありました。
内科で処理できないような病は「精神科」に回されて、
「心(ココロ)」ではなく、「精神」に異常があるように思われてた。
 

韓国では、今でも「うつ病」イコール「精神病」で、悪いイメージなんだそうです。
だから、親は自分の子供が「精神病」だと認めたくないし、「うつ病」と診断されたことは、周囲に隠そうとする。
親が心配するし、親に迷惑をかけるから、子供は親に病気を言うことができない。
結果、いちばん身近な人にすら、病気を理解してもらえない。
そんな状況、辛いよね・・・
うつ病が、ココロの病だとか、ココロの風邪とかって認識は無いんだね。
 

うつ病は恥ずかしいことだから、他の医者にも診てもらうってことは、自分が精神病であることを広めるようで、できないんだろうか?
お金もあって、事務所も大きいのに、なんで自分を理解してくれる他の医者を探さなかったんだろうって思ってたけど、そういうことだったのか。
 
 

今回の事で、いろいろ心に引っかかる事があったけど、今日、「うつ病」に対する認識があまりに違うことを教えてもらって、やっと疑問が解けました。
ネット社会で、なんでも調べられる時代なのに、国によって、こんなに認識の違うことがあるんだな~と驚きました。

 
ドラマ「応答せよ1988」を見た時も、「日本がバブルの頃に、韓国こんなんだったの?!」と、めちゃめちゃビックリしましたが、今でも、こんなに時代が違うことがあるんですね。
 
 
彼が書いた詞や、彼が残したコメントを見ていると、傷ついている人を癒す言葉を彼はあんなにも知っていたのに、その言葉を自分に言ってあげられなかったことが残念でなりません。
そして、その言葉を彼にかけてあげる人が居なかったことも残念でなりません。

心の病は、自分のせいではないのに、自分を責め続けて苦しかったよね。
「頑張れ。まだ、やれる。」じゃなくて、
「充分、頑張ってるよ。疲れたら、休んでいいよ。」 
「大丈夫。今のままの貴方でいいんだよ。」って、言ってほしかったんだよね。
ただ、一緒に居て、肩を抱いて頭を撫でてくれる人が居てくれれば・・・
 

私は、SHINeeペンじゃないし、彼のことは名前以外なにも知らなかったけれど、
人として、同じく心療内科に通っていたものとして、本当に悲しくて悔しくて残念です。
「お疲れ様。心の荷を下ろして、あの世で休んで。」ではなく、「この世で救ってあげたかった。平穏な心を取り戻してあげたかった。」と思ってしまいます。
 
 
先生に、「これを機に、韓国でのうつ病への認識が変わるでしょうか?」と尋ねたら、
「すぐには変わらないと思います。日本ではいろいろ言われてますが、韓国の人は、彼の死が周囲の対応が悪かったせいだとは思ってないでしょう。」という答えが返って来ました。
実際、これから、どうなるかは分かりませんが・・・
 

 
以上が、今日、聞いた話と、私が感じた事です。
ウチの先生の話が、イコール韓国社会ではないとは思いますが、そんな一面はあるのでしょうね。
 

私が昔、パニック障害で、心療内科に行った時、真っ先にこう言われました。
「パニック障害は、あなたの心が弱いとかいう問題じゃありません。だから、自分を責めないでください。単なる、脳の誤作動なんです。そして、それは、薬でコントロールできます。」
この言葉に救われたと同時に、涙が出ました。
「私のせいじゃなかったんだ。」
そう言ってもらえただけで、長い苦しみから解放されました。


一つの言葉に救われることがあります。
が、しかし、一つの言葉が刃となり、人の心を殺し、命を奪うこともあります。
 言葉を刃とせず、命を大切にしたいですね。
苦しんで居る人がいれば、周りの人間の優しさで包んであげたいです。