埼玉にも雪が降った。

翌朝は暖かないい天気。

はだかのせんたくというそうな。

そのむかし、貧しくて着るものがないような生活をしていた人も、雪が降ったその明日は快晴になってあったかい日になることを知っていたから、裸になって着物を洗濯したそうな。

残雪の山、快晴のピークで湿気を吸った寝袋をザックから取り出して乾かした日を思い出す。

 

 洗濯されたような朝の光に、今日は職場に行くのをやめて、そこらを歩くことにした。畑の間を通ってコーヒー屋に行って、久しぶりに本屋にも行って、帰りには近所の酒屋で一升瓶を仕入れてから、最後は極楽湯で仕上げという計画。

 

 家を出て、まずは市立図書館の分館で引っかかった。

毎朝手を振っていた庚申塔の白い花を咲かせる木が伐られた。

その由来が気になっていた。

図書館で探すと、教育委員会が書いた資料があった。

1600年代に建てた庚申塔で、ツバキの木があったことから、椿山の庚申塔と呼ばれていたそうだ。

白い花は椿だったのだ。

通りを挟んだ向かいにも祠がある。古い道が交差し、未舗装の藪の方へ歩いていくと展望が開け、畑があり川にかかる橋がある。この上流にゴミ焼き場ができることが少し前に決まり、この辺りの景色も大きく変わってしまうのだろう。

 

 図書館を出て、麦畑へ向かう道には、菜の花が咲いていた。

子連れのお父さんはグラウンドのフェンス越しに、雪が溶けて土がぐちゃぐちゃだからお家に帰ろうと子供にはなしていた。コーヒー屋入口の赤い毛糸編みのおべべをつけた二体の仏像を拝み、角を曲がる。

マルワコーヒーはシャッターが閉まってお休み。

今日は建国記念日であった。最近休日といわれても、なんで休みなのかよくわからなくなっている。

日差しが暑くなってきて、ダウンを脱いだ。

お次はお饅頭屋さんで、桜餅と草餅 こしあんを買う。

あまり積もらなくてよかったですねえとおばちゃんは言う。