相方が家を空けている間、食べることの準備は自分でやることになる。

食いたいものを作ればいいわけで、思い返せば独り身の頃はあれやこれやと好きなようにやっていた。

今よりずっとメニューは豊富だった。

今でも料理は嫌いではないけど、作るものは単調である。

今の寒い時期には鍋。土鍋にあるものを投入し、なくなった分を追加して翌日のものとする。

夏場は炒め物。どの季節も大豆製品にはお世話になり、豆腐、納豆、厚揚げが困った時の頼りである。

 

 土曜日、一人暮らしの母がいる実家へ行った。

まだ自分のことは自分でできているので、たまに顔を出す程度だが、変化を検出するには時間を共有するのが一番と、泊まってもいいように準備をしていった。

 白菜やキャベツなど重い野菜類を買い、車から下ろしていると母が自転車で帰ってきた。朝から昼過ぎまで、病院からヨーカ堂をまわって、やっと帰ってきたという。わたしはコタツのいつもの場所に腰をおろし、母は暑い暑いと汗を拭いている。一応、家の手伝いでもやるかというつもりで来ているのだが、こうなるともう母と長男の固定された関係が稼働し始める。

 昼はカップラーメンを食べてきたといっているのに、母は曲がった腰で台所とコタツを往復する。私の重い腰はますます重くなり、コタツから全く動かなくなる。ダメだこりゃ。

 

 その後は母の一方的な話に相槌だけをうつようになり、早朝から起きていたわたしは目がくっつきそうになっている。目が開いてきた頃、今度は夕飯の準備が始まり、その後は再び相槌と眼が、、、

 布団くらい自分でやるからと言うまもなく、母は二階へ行ってガタガタやっている。

 

 一応、高齢の母を気づかってやってきたはずなのだが、実際はその母の仕事を増やしているだけになっている。これなら初めから、自分のホームで自分のことをやっていた方が良かったのかといつも思うのだが、これも親孝行でよしとしている。