46歳の春、それまで病院で事務職として勤務していた僕は、一念発起!某医療専門学校の言語聴覚学科に入学しました。
言語聴覚士になりたい一心で
起床:朝4時半
帰宅:午後8時
通学:片道2時間半
といった生活を2年間続け、国試に合格することができました。
ここでは、当時の自分を振り返っていきます。
今回のブログ記事は合格発表の時について綴ります。
言語聴覚士国家試験が終わって合格発表まではひと月以上の間が空いていました。
医療関係の各職種国家試験の合格発表は3月の中旬より続々と行われます。
医師、歯科医師を皮切りに、看護師、理学療法士、作業療法士と続き、言語聴覚士は遅い時期の発表でした。
確か、言語聴覚士国家試験の合格発表は3月25日ごろだったと記憶しています。
僕は、国試が終わって帰り道に事故に遭っていました。
自宅から会場まで遠かったこともあり会場近くのホテルに前泊し、自宅からホテルまでの往復は自家用車を使いました。
国試前夜から雪がちらつき、試験当日も断続的に降っていました。
試験を終えての高速道路での帰り道。
温かいコーヒーを飲みたくなって、サービスエリアに入りました。
駐車場の順番待ちで停車していると、前方にいたハイエースが突然、バックしてきました。
クラクションを鳴らしましたが、間に合わず、僕の車と接触してしまったのです。
幸い怪我はなく、事故処理を終え、家にその旨を連絡して、再び帰途につき、なんとか我が家に帰りつきました。
「なんでこんな日に」
とも思いましたが、
「当たった→当選→合格!」
と考えて気持ちを切り替えました。
家に入って先ず、家族に国試受験終了の報告をして、2年に渡り、僕のことをしっかりと支えてくれたことに対して、感謝の気持ちを伝えました。
翌日には、国試の解答速報がネットに上がっていましたので、自己採点を行い160点程度取れていることを確認しました。
合格ラインが120点ですので、ひと安心。
と言いたいところですが、別の不安が生じてきたのです。
・名前や受験番号の書き漏れはなかったか
・解答用紙の縦横を間違ってマークしていないか
・問題の番号を飛ばしたマークをしていないか
といった不安です。
普通に考えると、それまで模試を何度も受けた中でそんなことは一度もありませんでしたし、まずあり得ないことです。
しかし、そうした不安が生まれました。
後でクラスメート達に話を聞くと、彼らも同様の不安を抱えていたようです。
ある緊張状態(合否がわかるまでのドキドキ期)にある時の人間の心理って面白いなと思いました
そして迎えた合格発表。
それは予想外にあっけないものでした。
合格発表日の午後2時にインターネットで合否の確認ができるので、パソコンの前に待機。
「あと10分程度あるな」
とコーヒーを飲んでいると、突然、携帯電話の呼び出し音が!
クラスメートからでした。
「〇〇さん、合格だよ!私も合格したよ!」
「え!なんで!?」
話を聞くと、どうやらインターネットの合格発表が定刻前に上がっていたようなのです。
クラスメートにお礼を言って電話を切った後、パソコンでアクセスして、自分の受験番号を自分の目で確認しました。
僕は、自分の合格がわかった瞬間は、ガッツポーズで飛びあがるくらいに喜ぶだろうと想像していました。
この2年間は、それまでの自分の人生のうちで3本の指に入るくらいに頑張った期間でした。
それだけに、感極まるに違いないと思っていたのです。
ですが、実際の自分は落ち着いていて、喜びよりも安堵感の方が大きかったのです。
そんな自分に、ちょっと拍子抜けしました。
しかし、合格の喜びはその後じわじわと染み入ってきたのです。
それは、炭火のように静かに、漬物のように味わい深く、時間をかけてゆっくりと全身を巡っていきました。