こんにちは、医療職のダイです。




46歳の春、それまで病院に勤務していた僕は、一念発起!某医療専門学校の言語聴覚学科に入学しました。

言語聴覚士になりたい一心で

起床:朝4時半
帰宅:午後8時
通学:片道2時間半

といった生活を2年間続け、国試に合格することができました。

ここでは、当時の自分を振り返っていきます。



今回のブログ記事は、国試受験の時のエピソードについてです。



国試は午前と午後それぞれ150分ずつ、つまり、お昼休みを挟んで午前と午後の2時間半ずつの計5時間で実施されます。

試験開始時間は9時30分。

試験会場は自宅から遠かったので、会場まで歩いて行ける場所にあるホテルに前泊することにしました。

示し合わせていた訳ではありませんが、同じホテルに6人のクラスメートが前泊組として揃いました。

そして、夕食はみんなで集まってささやかな「頑張ろう会」をやりました。

2年間苦楽を共にした仲間との和やかな良い時間が過ごせたと思います。

そして、僕らは翌日に大一番を控えた身、名残惜しくも早々に切り上げて、それぞれの部屋に戻りました。



部屋に戻っても勉強する気にはなれず、テレビを観ながらゆっくりしていると、ドアチャイムが鳴りました。

「はい」

と返事して、覗き穴を覗き込むと

「〇〇さん、わたしです」

とクラスメートの声が。



ドアを開けると、マフラーをぐるぐる巻きにしたAさんが立っていました。

小雪混じりの中、外から帰ってきたばかりの様子で、手にスタバのカップを持っていました。

そして満面の笑みをたたえて、

「お誕生日おめでとうございます」
「明日は頑張りましょうね」

と、僕にスタバのコーヒーを手渡してくれたのです。

ちょっとした感動でした。



ちょうどこの日は僕の48回目の誕生日。

その事を覚えてくれていたAさんは、雪が舞う寒空の下、僕の好物のコーヒーを買ってきてくれたのです。

その気持ちがとってもうれしくて…

僕は、この時のコーヒーの味を一生忘れません。

いまでも、街角でスタバを見かけると、自動的に彼女の顔が思い出され、あの時の心温まる思いが蘇ってくるのです。


翌日は一緒に国試に臨み、彼女も合格しました。

あれから10年以上過ぎました。

これまでも、そしてこれからも、もう彼女に会うことはないと思います。



そんな彼女も既に30代後半…きっと、患者様に寄り添った素晴らしい言語聴覚士なっているはず。

どうか、幸せでありますように。