某年4月吉日、僕は、某医療専門学校の言語聴覚学科に入学しました。
入学直前までは病院に勤務をしていましたが、思うところがあり、一念発起したわけです。
当時の僕は46歳…花のミドルエイジです。
一般的に知力も体力も低下する世代だとも言われていますね。
そんな僕ですが「言語聴覚士になりたい」一心で
起床:朝4時半
帰宅:午後8時
就寝:午後10時半
通学:片道2時間半
といった生活を2年間続けました。
人生で最高に頑張った時期かもしれません。
ブログでは、当時の自分を振り返っていきます。
今回は専門学校での学生の年齢についてのお話です。
僕が入学した学校は、言語聴覚学科の他にも理学療法学科や作業療法学科など、合計5つの学科を有していました。
広い敷地内に、体育館やテニスコート、立派な食堂やラウンジ。
校内では、30代〜40代の学生を見かける事がしばしばありました。
彼らは僕と同じ「職業の軌道修正組」でした。
一般の学校とは違って、幅広い年齢層の学生が在籍するのは専門学校の特徴だとも言えます。
言語聴覚学科以外の学科は3〜4年コースで、入学資格は高卒以上でしたので、新入生の年齢の下限が18歳〜19歳。
一方、言語聴覚学科は2年コースで、入学資格は大卒以上で、年齢の下限が22〜23歳。
40人いた言語聴覚学科のクラスの約4割が大学の新卒者で、残りの6割が既卒者いわゆる社会人経験者でした。
社会人経験者のキャリアは、バラエティに富んでいて、それぞれに背景を抱えて入学してきたのです。
介護職、准看護師、スクールカウンセラー、アナウンサー、工事現場の監督、ソーシャルワーカー、小学校の教師、高校の教師、食品会社…
クラスの世代別人数は、20代>30代>40代の順で多く、男子が3割・女子が7割でした。
そうした事情もあり、言語聴覚学科は他の学科より少しだけアダルトな雰囲気が漂ってました。
他の学科の生徒たちは「おじさんおばさんクラス」と呼んでいたとかいないとか。
そんなアダルトクラスの中では、やはり、僕が長老でした。
担任の先生からは、
「数年前には、成績優秀者で国試に現役合格した60歳の生徒さんがいらっしゃいましたよ」
と励まされました。
クラス内長老の僕の年齢が46歳。
新卒の子が22歳。
ふたわまわりの年の差。
彼らが生まれた時は僕は既に社会人でした。
ある程度予測はしていましたが、ある意味、入学当初のクラスは、僕にとって異次元空間であり、クラスメートは宇宙人的存在でした。
ジェネレーションギャップというやつです。
そんな自分も、時間の経過と共に、みんなと打ち解けて、宇宙人の仲間となりました。
やがて一致団結!
協力し合い、一緒に国家試験合格を目指す戦友のような関係になっていきました。
クラスメートが宇宙人?
いやいや、宇宙人は僕の方だったのかもしれません。
若い彼らと一緒に過ごして、気付かされた事があったのです。
それは…
「僕が感じていたほど年齢の差を彼らは僕に対して意識していなかった」
つまり
「年齢差を過剰に意識していたのは僕の方だった」
ということです。
彼らは、入学当初から自然にフランクに僕に接してくれました。
そんな彼らから、身構えていたのは自分の方だったと気付かされ、少し恥ずかしい思いをしたことをおぼえています。
ましてや「国試合格」といった共通の目標を持って集まった僕らにとって、年齢差は大した問題ではなかったのだと思います。
このクラスでの経験を通して、僕は若い子に対する苦手意識がなくなり、ずっと年下の世代とのコミュニケーションを、上手く取れるようになりました。
これも、2年間の学生生活を通して身につけた「コミュニケーションスキル」と言っても良いかもしれませんね。