僕が大学を卒業してから医療職に就くまでの経歴は以下の通りです。
① コンピュータ会社に就職
② 体外診断薬メーカーへ転職
③ 新規事業に伴う別会社への転職〜退職
④ 紆余曲折の黒歴史
⑤ 病院へ転職
現在は、⑤の病院へ入職後のお話しです。
45歳にして言語聴覚士の専門学校へ入学を決意し、AO入試を経て合格通知を手にしました。
そして、考えねばならなかったのが「お金」と「仕事」の問題でした。
先ずは「お金」のことです。
専門学校に、自家用車⇄電車⇄バスを使い2年間通学した場合の経費はざっと以下のとおりです。
学費・・・・・・・・・300万
バス電車通学定期券・・50万
最寄りの駅の駐車場・・15万
日々の食費や雑費・・・??万
約400万円。
プリウスの上位車種が購入できる額です。
もちろんこれ以外にも目に見えない細々した経費がかかってきます。
貯金を切り崩しながらも日々の生活を切り詰める必要がありました。
僕は若い時にマンションを購入し住んでいました。
先ず、マンションを売りに出し、実家に帰り親と同居する決断をしました。
そして親に自分の決意を話して「一緒に住まわせて欲しい」とお願いしました。
親は「帰ってきなさい」「しっかり頑張りなさい」と言ってくれました。
いまでも親には頭が上がりません。
幸いなことに、売りに出していたマンションが比較的早い時期に売れて、通帳の残高を増やすことができました。
また、女房と話し合って、普段の生活の出費をできるだけ抑えるようにいろいろ見直しました。
Amazonの利用を控える
携帯電話料金プランの見直し
外食を控える
新たに購入する衣類は格安品を選ぶ
電気の節約
食費の節約
趣味(音楽)を控える
床屋や美容室へ行く間隔をあける
図書館を利用する
特別なことはやりませんでしたが、ちょっとしたことを積み重ねて、生活費を抑える努力をしたのです。
そして「仕事」のこと。
2年間全日制の学校へ通学となると、仕事の継続は不可能です。
一旦、職場を離れ…
「2年後に言語聴覚士の資格取得後は病院のリハビリスタッフとして受け入れて欲しい」
といった希望を職場に伝えました。
・なぜ、自分がそう思ったのか
・言語聴覚士として、病院にどう貢献したいのか
を丁寧に話しました。
何度も話し合いました。
そして、僕の希望は受け入れてもらえました。
とてもうれしかったです。
今どき、48歳の新人言語聴覚士を、何処の病院が雇用するというのでしょうか?
もう、感謝しかありませんでした。
資格取得後の自分の受け入れ先(しかも慣れ親しんだ職場)が確保できたことは、とても大きかったといえます。
僕が2年間、国試合格を目指し、学業に専念できる大きな要因となったからです。
病院を去る僕の噂を聴いて、直接激励に来てくれた人、手紙をくれた人、「頑張るように」と文房具を贈ってくれた人…皆さんから様々な反応をいただきました。
あたたかく送ってくれた人たちの中に『苦手だなと思っていた人』が数名いました。
僕を嫌っているだろうと思っていた人が、心から激励してくれたり。
人ってわからないものですね。
逆に、挨拶に行っても知らんふりの人もいましたし「いい歳こいて無謀だよね」などと言ったりする人もいたようです。
既に、国試合格に向けて一直線モードに入っていた自分にとって、そうしたネガティブな意見や噂はまったく気になりませんでした。
自分の人生ですから。
その後、仕事の引き継ぎなどを行い、3月末をもって、長年お世話になった職場をひとまず卒業したのです。
そして、桜の開花と共に、僕は、めでたく専門学校の言語聴覚学科の新入生となりました。
46歳の春です。
「バカボンのパパより5歳も年上だな」
と思ったことを覚えています。