中学三年生の夏休み前に、初めて同級生の女の子を、地元の喫茶Rowaruに呼び出して告白した

前の日に一生懸命考えた話題を、ぎこちないげど、ひたすら話して…

小一時間、話題もなくなり、ぎこちない時間が過ぎていった

「帰ろう」との彼女

その時、僕は、負けそうになる気持ちを奮い立たせて

「つっ付き合って欲しい」


「ごめんね好きな人がいるの」

そんなので終わった…

「おごるよ」
「ううん、いい」と
彼女は、テーブルに350円置いて
帰って行った

初恋が、終わった

僕は、派手じゃないし、そんなに目立つ娘じゃ無いけど、優しい彼女が、 好きだった

中学最後の夏休み、彼女と地元の夏祭りに行ければ、楽しいな~と
春から考えていた

早く、告白しよう告白しようと想いながらも

忙しい、部活があるなんて、自分に言い訳をしていた

本心は、タダ単に
フラれたら恥ずかしいと思っていた、だけだと思う

日々は、どんどん過ぎていき 
中間テスト、梅雨、三者面談、そして期末テスト

もう日にちが、ないと思って、
期末テストの最終日、夏休みは、目の前

僕は、彼女に手紙を渡した

「明日の放課後、喫茶Rowaruに来てと」

………

で結果 フラれた

しばらくして僕は、店を出ようと席を立ってレジに向かった
財布を開くと、彼女におごろうと思って入れた
とっておきの1,000円ピン札があった

でもコーヒー代は、小銭で払った
なんか、その彼女のために用意した、1,000円札は、使えなかった

家に帰り、その1,000円札は、彼女の写真と共に机の引き出しの奥にしまっておいた

中学を卒業して高校3年生になった頃
彼女に彼氏ができたと、風のウワサで聞いた

僕は、家に帰ると、引き出しから1,000円札を取り出し

喫茶Rowaruに行った

たった3年前しか経ってないけど、名古屋のおしゃれカフェを知った僕には、
喫茶Rowaruは、古びた外観の喫茶店、看板も壊れかけていた

僕は、コーヒーをブラックで
と頼み 彼女の事を思い出しながら、苦いコーヒーを飲んだ
そして、彼女のために使うつもりだった
1,000円札を店員に渡した

なんか
「終わった」
と思った…

僕は、18歳になっていた

外に出た僕は、
「もう18だし、R18の成人映画も見れるんだ!Rが取れたんだ」と
喫茶Rowaruを振り返ると

喫茶Rowaruの看板は、壊れて
僕と同じように
Rが取れていた

残った文字は、owaru
僕は、犬山のお婆ちゃんが大好きだった

小さい頃から、僕が何をやっても、ニコニコして見ててくれたし

お母さんに怒られた時も、
「ひでくん、ひでくん、こっちおいで」
とかばってくれた

小学校の修学旅行は、京都に行った
少ない、おこづかいの中で
友達とかは、お土産で木刀とか、「京都」って描いてあるペナントを買っていたけど

僕は、そんな物にあまり興味もなく
いろいろ物色していたら
数珠型の指輪が目に入った
300円…

あっ!!お婆ちゃんのお土産に、ちょうどいい!
と思ってお土産にした

お婆ちゃんは、その、お土産を涙を流して喜んでくれた

孫に初めてもらった、お土産だったかららしい

その後、ウチの姉や親戚の子達も、修学旅行や旅行のたびにお土産を、お婆ちゃんに、渡していたけど

お婆ちゃんは、晩年
「ひでくんは、やさしいねぇ~ひでくんだけ、いつも、お土産買ってきてくれるわ」
と他の親戚の子達の事をすっかり忘れていた

お母さんには、
「あんたは、要領が良いねえ」なんて言われたけど…

中学生になって行動範囲が広がった時も
春日井の家からケッタに乗って、片道1時間くらいの、犬山のお婆ちゃんの家によく遊びに行った
そんな時も、お婆ちゃんは、ニコニコ出迎えてくれた

高校、大学に入ってあまり行けなくなったけど
正月は、必ず顔を出した

大学を卒業して、横浜から名古屋に戻って来てしばらくした時

お婆ちゃんがお風呂で転んで骨を折ってしまった

僕は、その時、フリーターだったから、行けるときは、出来るだけ、
お見舞いに行った

入院して1ヶ月くらいした頃、お婆ちゃんが

「ひでくんは、やさしいから、カバンの中に100万円あるで、持っていきゃ~」
って言われた
一緒に行ってた、お母さんが
「そんなのあれせんよ~」と

僕は、「いいよ、そんなのそれより早く良くなって」

その次の日

お母さんが、僕に
「あんた、もう、お婆ちゃんのところ行かなくていいからね」
って言われた

「なんで?」って聞いたら

「ちょっとボケてきてるし、リハビリもしなくちゃいけないから」

僕は、ちょっと
「?」
ってのがあったけど

その時、引っ越しとかあってバタバタしてたから(横浜から帰って来て、在所暮らしから、ひとり暮らしのため)行かなくなった

それからしばらくして


お婆ちゃんが亡くなった


僕は、そのうち元気に退院すると思っていたのでかなりショックだった

お葬式が終わって、しばらくした頃

母親になぜあの時
もう見舞いに来なくていいよ
と僕に言ったの?と聞いた

すると

母親は
「あの頃から、お婆ちゃんは、けっこうボケてきて、かなり攻撃的に、なっちゃって、あんたが帰った後に今の子は誰だ?って言うときもあるし、カバンの中に100万円あるよ、とか、ダイヤの指輪があるで、あんたに、やるわ、なんて言って…お婆ちゃんに、そんなの無いよって言うと、あの看護婦が盗んだんだわっ!!と、大騒ぎして…
…最後の方は、娘の私の事も、よくわからなくなって…
あんたが、このまま見舞いにきてると、お婆ちゃんのそういう姿を見て、あんたが、お婆ちゃんのこと嫌いになるかもしれーせん、あんたは、お婆ちゃんの事、大好きだから、最後まで、お婆ちゃんの事を嫌いになって欲しく無かったんだわ………だって……私のお母さんだから…」

って、
言われた

母親って凄いよな

僕は、今でも

犬山のお婆ちゃん大好きです
正露丸信者です!!

ほぼ何にでも効くと思ってます

ウチの親戚一同も、信者です!!

臭いを嗅ぐだけで
たいていの腹痛は、治る

ただ、ワシが小学生の頃
父親の車で旅行の帰り
熱が出て、ぐったり
その時
親戚のおじさんの家によって寄ったんだけど
ワシは、熱で車から降りれず
「寝てます」
と寝てたら
おじさんが家から出て来て
車のドアを勢いよく開けて
「なんだ!風邪か?正露丸飲め!!治るから」
って言われた時は、
心の中で

「風邪は、治らんだろ」っと
ちょっとイラッとしながら寝てた事を思い出します