お疲れ様です、ダディーです。
合格発表を待っている中、試験について色々なことを考えるので、
いっそブログの形でまとめて、頭から吐き出してしまおうと思い、
司法試験について色々と書いてみようと思います。
今回は、司法試験を受験するにあたって求められる力ってなんだろうな、というテーマです。
まずは、司法試験ってどんな試験なのかから、考えてみます。
〇司法試験は、弁護士・裁判官・検察官(まとめて法曹といいます。)になるための試験です。
ここからわかるのは、単なる知識勝負の試験ではないということです。
あくまで、裁判で戦い、あるいはそれに判決という形で勝敗を決める仕事に就く人たちの試験なので、
法律を知っていることより、それを使って事件を解決できることが求められるからです。
なので、試験でも、知識力以外も求められます。
〇司法試験では、ざっくり言えば、法解釈力と事案解決力が試されます。
これは、上の話の続きですね。
法曹には、法律を解釈する力と、これを目の前の事件に適用して解決する力が求められるので、これが試験でもきかれるわけですね。
ちなみに、法曹には、証拠から事実が存在するかどうかを考える事実認定力も求められますが、
これは、法科大学院等で先行的に勉強して、本格的には合格後の司法修習で習得することになります。
〇司法試験は、国家資格試験でありながら、合格者人数が決まっている”相対試験”です。
司法試験は、毎年合格する人数がだいたい決まっています。
なので、一定ラインを超えることより、受験生の中で上位何割かに入ることが求められます。
ちなみに、現状合格率は3割強?ぐらいなので、平均よりちょっと上を目指せばいいことになります。
正直、すべての科目を人並み+ちょっとできれば十分合格すると言われています(それが難しいんですが…)。
〇司法試験は論文式8科目、短答式3科目を計4日間かけて解答します。
論文式は、原則として、事例問題について文章で(A4(1枚23行)×平均5、6枚)解答する試験で、
憲法・行政法・民法・商法・民訴法・刑法・刑訴法の必須7科目と、
労働法や倒産法、経済法などの選択科目から1科目を、
必須7科目×2時間+選択科目1科目×3時間=17時間かけて解答します。
短答式は、マークシート式の試験で、
民法・憲法・刑法を、
民法(75分)+憲法・刑法×50分=175分で解きます。
4日間もあるので、体力や精神力が求められます。
受けたからこそ思いますが、結構辛いです。
2日目が終わった段階で、「これがあと2日も続くのか…昨日今日のミスをとりかえせるのかな…」とか思います。
自分がストレス耐性低いなと思う方は、メンタル管理も重要になると思います。
では、実際に試験問題を解くにあたって求められるのはどんな力なのか。
先に思いつく限り書き出してみようと思います。
・問題文を読んで事案を理解する読解力・想像力
・事案の法的問題を分析する分析力(論点抽出力)
・法規範を事案の事情にうまく当てはめるあてはめ力・発想力
・文章力・表現力
・論理的思考力
・法的知識力
・常識力
・膨大な量を処理する処理力
上で言っていた法解釈力は法的知識力や分析力に、事案解決力はあてはめ力や文章力などに該当すると思います。
一般的に司法試験が難しいと思われているのは、法的知識が恐ろしく膨大に必要だと思われているからだと思います。
確かにそれは間違いありません。
六法の条文を丸暗記、とかは全然しませんが、
それぞれの条文の言葉(文言)の意味、要件や効果、関連する別の条文との関係、関連する判例の内容などなど、
覚えることはたくさんあります。
でも、上で言ったように、司法試験は単なる知識勝負ではありません。
そもそもどんな事案なのか(読解力)、その事案では法律上何が問題なのか(分析力)、法律を適用するとどういう結論になるのか(あてはめ力)に加えて、
これをうまく文章で表現しなければいけませんし(文章力)、矛盾のない、筋の通った議論を展開しなければいけません(論理的思考力)。
また、時々、法律ばかりに執着すると常識から逸れた結論を導き出そうとしてしまうこともありますが、それもよくないです(常識力)。
そして、2時間では解くのが困難な問題量に対処できる処理力。
知識以外の色々な力が求められる試験なわけですね。
これらを、日々の勉強や論述の練習を通して磨いていくことになります。
では、日々の勉強において求められる力とはどのようなものがあるのか。
これも先に書き出してみると
・記憶力
・理解力
・コツコツやる力・反復力
・計画力
・まとめ力(整理整頓力)
・自分の能力を客観視する力
・情報検索力
(・社会問題に対するアンテナ)
記憶力はご想像の通りだと思います。これは必要です。
受験生は、論文式試験対策として、法的論点ごとに書くべき内容をパターン化した「論証パターン」を覚えます。
これをどれだけ正確に覚えられているかが結構大事になってきます。
また、各法的論点に対する十分な理解(要は、教科書や参考書の説明を理解できること)も必要です。
※ちなみに、司法試験業界では「悪しき論証パターン」なんて言われることもありますが、これを真に受けて論証パターンは完全なる悪だと勘違いして、論証パターンを用意しない、覚えない方もいらっしゃるらしいです。
でも、個人的には、論証パターンは、時間簡略化のためにも、正確な内容を書くためにも必須だと思っています。
「悪しき」なんて言われるのは、自分が使っている論証パターンについての理解が足りないせいで、本来使うべきでない場面、そのままの内容では使えない場面で、機械的に論証パターンを書いてしまう受験生が多いことにあると考えています。
使い方を知らなければ、どんなにいい道具もうまく使えないのと同じで、論証パターンには十分な理解が必須です。※
それから、個人的に一番大事だと思うのが、コツコツやる力です。
上でも言った通り、勉強する量は膨大です。だからこそ、一夜漬け的な勉強法ではなかなか歯が立ちません。
それに、勉強したことの大半を記憶しなければならないわけですが、当然1回では覚えられません。
何回も忘れて、何回も覚え直す、これを繰り返すしかありません。
だからこそ、時間をかけてもコツコツと目の前のものを理解し、覚えていく…
そんな力が大切になるわけです。
計画力が必要なのも同じ理由です。
まとめ力も同じです。勉強した内容をうまいことまとめることができないと、忘れたことを覚え直すことができなくなります。
自分の能力を客観視する力は言わずもがなですね。自分に何が足りないかわからないでやみくもに勉強していては、どれだけ時間があっても足りません。
勉強で必要な情報をうまく探せる(情報検索力)と、勉強効率がぐっと上がります。
また、勉強というかは微妙ですが、例年、憲法などを筆頭に社会問題を扱う問題が出ています。
知らなくても解けなくはないのですが、その問題に対する理解があれば、より説得力のある文章を書くことができると思うので、アンテナを張っておく意味はあると思います。
加えて、勉強とは関係ないけれど、受験生に求められるのは、
上で言った体力と精神力。
周りの受験生と勉強会をしたり情報交換したりできる程度のコミュ力。
受験の情報や就活の情報を仕入れる情報収集力。
(受験に関係ない内容の法科大学院の授業は力8割にする、などのしたたかさ。)
長期間の勉強の疲れや試験でのプレッシャーに対抗するための、法曹になりたいという意欲
などでしょうか。
これは、私がぱっと思いついた内容なので、ほかにも必要な力はあると思います。
これを読まれた方が、司法試験をどのような試験と思うかはわかりませんが、
一つ言えるのは、思っているほど難しい試験ではないということです。
たくさんの力を挙げましたが、大半の受験生は多くの力が不十分なまま試験に突入します。
そして、相対試験なので、その中でちょっとできればいいだけです。
それなりにコツコツ勉強できる、そして、文章を書くのは嫌いじゃないという方なら十分です。
後は、法曹になりたいという意欲があればOKです。
是非、法曹という仕事に興味のある方には、恐れず司法試験の道を選んでいただきたいです。
長くなってすみません。
ではでは。