ブラックジョークです

ブラックジョークです

読書感想 性格が悪いのを治そうと努力してうん十年、治らないので開き直った奴のブログ。

いらっしゃいませ!

   このブログに書かれている内容を許せたら、あなたの度量は海よりも大きい!

   許せなくても、普通だから大丈夫。
   読書メーター も面白いかも


マイペースに書いていくので、よろしくお願いします。

Amebaでブログを始めよう!
若い芸術家の肖像 (岩波文庫)/ジョイス
¥1,029
Amazon.co.jp

 ジョイスの『若い芸術家の肖像』を読むことにした。

 岩波の大澤正佳訳と、新潮の丸山才一訳を比較してみた。最初の数頁を読むと大澤訳の方が良い。丸山才一訳は流れを塞き止めている感がある。ジョイスが書いたものをそのままに訳したという感じではなく、丸山才一の感性を出そうとしているように見える。作家ならば当然といえば当然なのだが、作品の訳としては失敗しているように思う。イギリス文学が好きな、特にジョイスが好きな丸山才一だからこうなってしまったのか。


 丸山才一の小説以外の本を読むと、知識量が膨大で詩の才もあるように見えてくる。なんでも知っている素晴らしい人かのように思える。しかし、小説を読むとさっぱり面白くない。これはなんだろうか。知識があるだけで、創造物を作るタイプの人間ではないのではないだろうか。評論を書いた方が良い人ではないか。大層なことを言っても、知識の裏付けがあっても、できたものが面白くなければ意味が無い。丸山才一自身は自分が面白くないということに気付いていないのではないだろうか。知識があり過ぎるから、周りの人々は有難がって読むけれども、素晴らしいものだと思わなければならないと思うのだろうけれども、実際に面白いと思って読んでいる人はほとんどいないのではないだろうか。

 面白くなくともブランドとして認知されていれば有難がる人々がいて、勘違いしていたとしても本人の方で自負を持って恥ずかしげもなく「今までの自分の考え方はあっていたのだ」などと言えてしまうのだ。俺ならば「自分の考えはあっていた」なんてことはアイロニー以外では言えないだろう。「こういう一つの考え方もあるのだと思うようになった」くらいがせいぜいだ。そういうところのバランス感覚が欠けているから、丸山才一の書く小説は面白くないのではないか。詩的であったり、掛詞であったり、知識を背景とした行間だったりを読ませることは作品に必要だとは思う。しかし、それがメインになっている作品は衒学的で面白くはない。丸山才一は何処かで「泥にまみれたまだまだ足りない人間です」というような体でいるけれども、学者ぶるのではなくてユーモアを知っているように思っているけれども、それは違っている。そういう装いをしているだけで、実際にはブッキッシュなだけだ。その実ひけらかしたいということがよくよく伝わり、臭くて読んでいられない。または読んでいられたときも、こちらには傷も残らない。嫌なものだ。


 しかし、一方で彼の知識には頭が下がる。「良い」という本はだいたい良いものだと思う。こちらが知らない本も多い。そういう「知のストック」として、今で言うところの共有ファイルのような、クラウドの共有部分のような使い方をして上げるのが、正しい利用法だろう。そうすれば、本当に有益な人だ。小説などよりも評論や対談に触れて、次に読む本を探すのに利用すればいい。

 そういう意味では、凄い人物だろう。


 丸山才一の癌は、面白いものを書かないのに持ち上げられすぎているところだ。持ち上げられていなければ、こんなことは思わなかった。よく勉強した素晴らしい人だと思っていただろう。

 ワーグナータイプなのに、ファウストタイプと勘違いしている。周りに指摘できる人もいない。それが不幸かもしれない。



     $誤読のススメ 3行読書ブログ

     読書メーター に飛んで本棚を見ると簡単に一覧が見られます。

     にほんブログ村 本ブログへにほんブログ村 本・書籍

     クリックすると多くのブログがあるランキングサイトへ飛びます。

     投票したくない場合は、検索エンジンから行ってみてください。

     面白いブログがたくさんありますよ^^


     $誤読のススメ 140文字読書ブログ ツイッター  誤読のススメ 3行読書ブログ RSSはこちら