クサヤと聞くだけで、その匂いを思い出して顔をしかめる人もいると思う。しかし、最上品といわれるアオムロのクサヤはまことに絶品。焼き立てを手でちぎり、日本酒や焼酎の肴にすると、もうこたえられない・・・という人もいるようだ・・・
こんな珍味が生まれたのも、江戸時代、幕府の年貢が厳しかったからというから、何が幸いするか分からない。
新島や大島で、塩作りは盛んだった。しかし、米はあまり取れず、米の代わりに塩を年貢として納めていた。
また、これらの島では、砂地の干し場に恵まれ、干物の製造が盛んだった。しかし、年貢の取立てが厳しく、塩干物に使う塩の量まで制限されていた。
塩を節約するため、干物を作るにも一度塩漬けにして残った汁を何度も繰り返し使った。すると、その塩汁は、肴から溶け出したタンパク質などが発酵して独特の味と匂いを持つようになった。
そして、その汁に漬けたあと、天日干しにした魚を江戸に送ったところ、江戸のグルメの間でたいへん珍重され、やがて普通の干物より高値で取引されるようになった。
徳川300年、庶民の苦しんだ年貢の取立てが、好結果を生んだ唯一の例といえるかもしれない・・・
