ガタンッ。
衝撃で僕は目覚めた。
どうやらどこかに着いたようだ。
降りた場所には小屋がありその中から大きな川が見えた。
タイとラオスの国境だ。
どうやらここでVISAの発行や確認をするらしい。(ラオスは日本人の場合VISAは必要ない)
そういえば以前タイ→カンボジアをバスで行った時も
VISAの発行→出国審査→入国審査と
陸路で国を横断する時は3回ほど乗り降りしないといけない。
3回の乗り降りぐらい簡単に聞こえるかもしれないが実際は審査に並んだりバスを待ったりで3.4時間かかる。
その時何を話したとか何をしてたとか
ほとんど記憶がない。
ただただタバコをふかし時間が早く過ぎないかと思っていた。
入国審査が終わり1時間程たってやっとバスが来た。
日本でもよく見る観光用の大型バス。
人も少なかったので一人で2席使えた。
ついにいがぐり君ともおさらばだ。
R子が「このバスに乗ってバスターミナルまで行って
その後V.I.Pバスに乗り換えるんだって」と教えてくれた。
そこから30分後バスターミナルに到着。
そしてついにV.I.Pバスが目の前に!!
何と寝台バスだ!!
「ここから12時間寝っ転がって行けるなんて最高じゃないか!」
何よりここまでしんどかったから本気で嬉しかった。
いい場所を取るためにさっさとバスに乗車した。
寝台は二段ベットになっておりサイズはシングルベットぐらいあったがそこに番号札が2つ。
そして座席指定もされていた。
どうやらこのシングルサイズの席に2人で寝ないといけないらしい。
「どこがV.I.Pバスだよ」
これが旅ならもうやりたくない。
本気でそんな事を思ったぐらいだ。
しかしまだ僕は一緒に旅をしている友人と隣だったから良かったものの、
たくぅ(以下T氏)は180センチを超えるブラジル人の男性と隣だったので大変だったであろう。
後で聞いた話だが
「襲われるかもしれなくてほとんど寝れなかった」
と言っていた。
そんな大げさな。と思うかもしれないが
僕の友人は一度タイのマッサージ屋で
ゲイに襲われかけた事があるので
あながちそれぐらい危機感を持ってて間違いではないと思う。
T氏には申し訳ないが僕はようやく寝れる。
ブランケットをかけ横になる。
しんどかったからこそ何より嬉しかった。
しかしその喜びは一瞬で終わる事になる。
左脇に冷たいものを感じた。
「氷でもあるのか?」と思うぐらいの冷たさだった。
カメラのライトをあてよく見て見ると
クーラーの配管が左脇あたりに通っていてそれがキンキンに冷えていたのだ。
そこから1時間ぐらい寝れずに苦しんだ。
「もーやだ。」
心の中で何回も思った。
こんな生活をしていると
「お前どんな家庭で育ったんだよ?」
と思うかもしれないが
僕はどちらかというと普通の家庭で育ったと思う。
サラリーマンの父親とパート勤めの母。
僕とは真逆な細くて貴重面な弟がいる。
特に父親は静かで真面目な性格だった。
そんな父親と僕は車で警察から逃げた。
後ろからサイレントを鳴らしパトカーが追ってきてたが次のカーブで巻ける。
そんな時まさかのエンジンが止まった。
どんどん車のスピードが遅くなり
僕は助手席で「早く!早く!」と叫び
父親は焦りながら何回もキーを回すがエンジンはかからない。
そして車は止まった。
「あー、終わったわ」
その時パッと目が覚めた。
どうやらトイレ休憩でバスが止まっていたらしい。
確か朝4時ぐらい。
あまりいい夢ではなかったので
僕はそのまま外に出てトイレに行く事にしたのだがトイレらしき物がなかったのでバスの横で立ちションをした。
立ちションをしていると隣に女性が来てズボンを下ろししゃがみこんだ。
そしてその女性は僕の隣で野ションをする。
東南アジアでは日本の常識なんて一切通用しない。
普通じゃない事が毎日普通に起きている。
実は僕自身も一度海外のトイレで痛い目を見ている。
以前タイ→カンボジアに行く際
休憩時にトイレに行ったんだが
用を済ました後に気づいたことがある。
「ティッシュがない!!」
そしてトイレの中を見渡すと
日本にはないものがある事に気づく。
温泉の時入る前に体を流すような
水を溜めてる場所とオケがあった。
足湯ぐらいのサイズと言ったらわかりやすいかもしれない。
「こっちの文化では手でそのままケツを拭いて水で洗うのか?それともこの水溜まりにケツを突っ込むのか?」
いつバスが出るかもわからなかったので
その時僕は冷静さに欠けていた。
悩みに悩んだが僕には手でケツを拭くことは出来なかった。
ケツをつけようと思ったがどっちにしろ拭くものがない。という理由でやめた。
仕方がないのでクソも吹かずにトイレを出て
「ヘルプミー!ティッシュプリーズ!」
冷たい目線が僕のケツに突き刺さる。
あの時ほど本気で助けを呼んだ事はなかった。
僕にとって初めて海外の洗礼を浴びたんだと思う。
だから海外に初めて行く人にこれだけは伝えときたい。
「スマホ持つよりティッシュ持て」
続く。

