日本での話になります。

真っ先にここに書きたかったことだったのですが、感動が大きかったあまり、整理する時間がなく、伸ばし伸ばしになっておりました。


千葉でのセッションで、ボランティアさんがた私も含め、本当に感激して泣いたセッションだったんです。


千葉で飼育放棄でつれてこられたラブというスピッツ系の犬の話です。

首輪がボルトで付けられているため、首輪を変えたいけど、誰も触れない犬だったんです。


もともと、違う犬を保護するつもりで訪れた飼い主さんだったんですが、どういうわけか、その目的の犬がおらず、変わりに・・・・・ということで見せられたのがラブだったそうです。


職員も触ることができず、触診さえできず、注射もうけさせることができず、いままでにどういう注射をうけているかのレコードもない。。。。。触れない犬でした・・・


獣医さんにも断られ、健康診断すら受けられない子でした。噛みつくんです。

手に対する恐怖症があり、この犬を引き受けた飼い主さんも、思いっきり噛まれ、数針縫うほどの怪我をされてます。

手に噛みついたときは離さなかったらしく、噛んだ状態で、首まで降るという凶暴な噛まれ方だったそうです。


ふつうはこの時点でシェルターに戻す・・・・・・でしょ・・・・・

ところが、この飼い主さん親子(母と娘さん)は、違ってたんです。私たちが間違っていると考えられ、私にコンタクトを取ってこられました。


たまたま、日本へのセッションで帰国することが決まっていたので、引き受けたときにもとにかく喜んで頂きました。


日本でも多くのトレーナーさんに頼んだそうですが、注射さえ受けてるかどうかわからない噛みつき犬を見るだけでもやってくれる人はいなかったそうです。

私も噛まれるのを覚悟して犬を見たんです。


どうやってシェルターから連れてきたんですか?との質問に、犬をお菓子で釣ってるときに、首輪に鎖をつけたそうです。それ以来、その鎖はそのままずるずると引きずった状態で、家まで連れて帰り、そのまま、庭先の棒にくっつけて、散歩もその鎖を根元からとって、犬に近づくことなく、散歩させていたそうです。


私はこの犬にあったとき、どれくらいの恐怖心があるのか見るために、まず、散歩で興奮する瞬間に飼い主さんに、スリップリードをつけてもらいました。それからは私が散歩をさせ、「座れ」というと座りました。おいでというと、来るんです。で、私がしゃがみ込むと、ラブは私に近づいてきて、手をペロペロと舐めました・・・・・


飼い主さんが驚いて、「なぜ犬がこうも違うのか・・・・」ということで、また、考えを改めたそうです。

この親子は、犬のためにたくさんの本を読まれてました。

やさしく接することで、愛は必ず伝わる・・・・・とかなんとかいう本を数冊読んだと言われました。


私はこの親子に、私がこの犬に座れとか、指示を出すことは「愛」ではないとお考えですか?

とたずねました。


安楽死寸前のところで、この犬と縁があり、この犬を引き取った・・・・・捨てられて、どこからも貰い手がない犬・・・だと、職員さんに聞いたときに、この犬を引き取る・・・って決めたそうです。


千葉で保護活動をされているボランティアさんたちでさえ、「あの犬を?????」という、、、それくらい曰くつきの犬だったようです。


尻尾を振っているから喜んでいる・・・・と判断する、ごくごく普通の飼い主さんのところで引き取られたラブは、多く誤解されていたようです。


私は一個一個のラブのボディラングエッジを、ラブの心理はこうです、ああです・・・・と説明しました。

もちろん、一度のセッションで、噛みつかなくなるわけなんかありません。

この子がどう育ったのか、何をされてきたのか、また、子犬時代はどうだったのか、もちろん、先天性のものも考えられます。


これをどう対処するか・・・は、トレーニングではなく、リハビリなんです。一回、2回のトレーナーのセッションをうけたら治る・・・・ものでもなく、毎日のリハビリです。


私が日本に在住してるのであれば、毎日、ご自宅をうかがうことができますが、(千葉だったら)、アメリカにもどる以上、飼い主さんに今までやってこられたことの間違いを正し、今後、こういう風にやっていってください・・・・ということを2回にわけてセッションいたしました。


2回目のセッションで、私が初めてラブの体をさわり、そのあと飼い主さんにやってもらったとき、、、、飼い主さんが泣きながら「ラブちゃんの毛を初めて触れた・・・・・こんなに柔らかかったんだ~~~」って、お母さんもおお泣きで、体をさすってらっしゃったときは、ボランティアさんたちの見学者含め、全員が涙を流してました・・・・


ラブは触られることの恐怖と闘いながらも、ときおり、リラックスした顔をみせ、笑ってるようにキラキラしてました・・・


普段、絶対に泣かない私も、ラブの眼に涙が見えたときは、ジーンときました。

私と飼い主さんは唸り、恐怖におびえるラブに、無心で、平常心で体を触りまくります。


ラブも初めてマッサージをされたように、ときおり、うっとりしてる様子をみせますが、周りの人が少しでも動いたり、音があると、また緊張をして・・・・・を繰り返し繰り返しでした。


当然、私が触るより、飼い主さんに触られることが気持ちいいようでした。


一回目のトレーニングで、ハウスのトレーニングをしてからは、あの噛みつき犬がハウスのコマンドでクレートにはいり、車での移動も可能になったということで、東京でのチャリティーウォークにも参加されました。


飼い主さんが自分の手で自分の車にのせ、東京に来られたときは、私もキツネにつままれたような気持ちでした・・・・「できたの????」って、信じられませんでした・・・・・


なにより、私とあった瞬間に、飼い主さんが変わりました。私はそこをずーっと心配してたんです。

私と会う前の飼い主さんは、犬の鼻が手に当たっただけで、悲鳴があがるほど、ラブを怖がってました。

「あの恐怖心が飼い主にある限り、進歩は望めない・・・・」と、私は思ってたんです。


ところが、クレートに入れて、東京にやってきたときの飼い主さんは、別人でした。

ラブの引っ張りもきちんとやめさせ、匂い嗅ぎも、土蹴りも、きちんとラブに命令してたんです。


チャリティーウォークでのラブは、他の参加者も驚くほど、リラックスしていて、楽しんでいました。


それから、私がこちらへ帰国して数日・・・・嬉しいメールが届いてます。

なんと、ラブが飼い主さんの顔を舐めるようになり、散歩の前は体を触れる・・・・っていうんです!

やっと、絆ができてきて・・・・そういう話をたくさんメールに書いて来てくれました。私もメールを読むのが楽しみで、ニタニタして喜んでいたんです。


ラブも飼い主さんも、やっとバランスがとれてきたな~~~~っと思った矢先です・・・・・

さっきメールが来ました。


ラブが、、、、、死んだそうです・・・・・・


突然倒れて、「どうしたの???」と近づいたら、静かに息を引き取った・・・・・そうです・・・・


ラブはまだまだ、受け入れて検診してくれる獣医さんおらず、これから・・・・健康診断や注射、受けられるという希望の光が見えてきた矢先・・・・・・なくなってしまったそうです。。。。


何の病気に侵されていたのか・・・・・高齢であることはわかっていましたが、今まで、どういう治療や病気をしていたか・・・・それすらまったくわからないのです。


私の方が取り乱すところでした・・・・・が、意外にも飼い主さんのメールで励まされてしまいました。


ラブの死を悲しむのではなく、ラブから教わったこと、出会った人に感謝して死を受け入れてます・・・・・ってメールに書かれてました・・・・・


このラブは、一体、何を伝えたくて、このご家族と縁があったのでしょう・・・・・

不思議でなりません・・・・


この犬の凶暴性を目にしたとき、100人いて、100人が「シェルターへ戻した方がいい・・・・」と判断するような犬でした。


職員さんたちでさえ、安楽死は絶対・・・・だと思ったでしょう・・・・


私もこういう飼い主さんと出会えたことは、ほんとに嬉しくなって、感動は今でも残ってます。

千葉のボランティアの皆さんが、みんなで涙をながしていた状況も、いまでも忘れられません。。。。

もちろん、初めてラブを触れた飼い主さんの喜びの涙も、いまでも忘れません・・・


あの親子は、素晴らしい方です。できるだけのことは今後もやっていく約束をして別れたんです・・・・・


残念でなりません・・・・・