ある晩のこと。

 

 -- コツン・・・、コツン・・・・コン・・・、-----


その音は小さく、気を遣った音だった。

どこからやってきているのかは、

なんとなく、視えていた。

 

 あの廊下の向こうから、入ってくるんだ。


 1階は、猫達が好きで利用している部屋があって、

 自宅の工事が終わってから、聖道が通ったから、

 イヤな気が入って来られなくなった代わりに、

 こういう子(馬など)が、

 入ってきてくれるようになったんだ。


わたしは、鮮麗された粒子の行動を理解した。

心の中で、わざわざ自分に会いに着てくれたのかな。

『ありがとう』と唱えた。


 その瞬間。ドアをすり抜けて、廊下の馬が現れた。

  

 --- ブルヒヒヒッ!----

  『どうして、泣いているの?』


   その晩は、茶色い大きな馬だった。

  

       ◇