あの日のこと。


 幼かったわたし。

 『あなたは何?どうして本の中から現れたの?

  なぜ、光っているの?』

   と

 問うと、


『パスポートを持っているからさ。』

   と

 言ってきた。

 

 『パスポート?

  ・・・それを持っていると、本の中を移動できるの?

  あなたは、旅行者なの?』

   と

 聞いてみたら


『あぁ、そうなんだ。遣い方さえ気をつければ楽しいものだ。

   と

 言ってきた。


 『いいなあ。いつか私にも出来る?

   と

  伺ったら


『訓練すれば、ね。僕のことが視えた君になら出来るよ。

 では、また話そう。』

   と

 次の本まで歩いていき、文章の下へ消えてしまった。


    ◇