ある日のこと。


目の前に、開かれた本の中心に、

 光る男の人が立っていた。


   光った姿で形どられた彼は

  形のよいつばの広がった帽子をかぶり、

 気候のよい場所で生まれたのか、

 軽いジャケットを着ているように視えた。


 身だしなみはよく、言葉遣いもとてもきれい。

私は光っている彼が、あまりに美しい存在だったものだから、

ずっと見ていた


『これは偶然なんだ。にしても、とても珍しいことだ。』

   と

 一人でぶつぶつ言う彼。


『本の中の人間では、なく。実際に手にとって読む人に

 姿を見られるとは・・・。』

   と

 なんだか不覚な印象だった。



   ◇