ある日のこと。

  

   うつむきながら歩いていた視線の先には、

   砂や土、石畳しか見えなかった。


  そこへ、

  きれいな細長い脚と、磨かれた革靴を履いた

  “だれか”が、目に入った。


 顔を上げると、

 食堂前の芝生を囲う石畳の上を

      ひとりで歩くわたしの目と鼻の先に、

 いつか視た彼女の姿。