数の子たちが すごす。学校は、どんな所か・・・。
シンプルな建物です。
エレベーターやエスカレーター、機械的なものは置いてありません。
階段があるのかどうか、ですが。
3段の小さな階段があります。
人間が言うほどの“長い廊下”は、ありません。
しかし、数の子たちにしてみたら“長い廊下”は、あります。
彼らは、人間よりもサイズが極めて小さいので、
将来の夢を、人間の世界の何かになる。と、
決めている子たちにとっては、巨大な世界です。
シンプルな造りだといいましたが、
どこまでシンプルか。というと、
まず、カーテンがかかっていないのです。
窓らしきものはありません。
(※これはあくまで、
数の世界の中で一生を全うする子たちの部屋:教室です。
将来の夢が、人間の世界で使われる“教科書の頁になる”とか
“時計の文字盤に入りたい”とか、“バッテリーのメーターになりたい”とか
夢が決まっている子たちが、すごす部屋ではありません。)
◇たち人間の世界にあるような物が、普通にないのが、
彼らの日常でもあったりします。
子供の数の部屋(教室)には、カーテンと窓がありません。
窓はありませんが、広い窓枠はあります。
全面土作りで、やや黄色く白い壁です。
午前中は、お陽さま のライト(シャワー)が、
広い窓枠から入ってきます。
お陽さまが、『あつい。あつい。』 というのを、
3が、7と一緒に、ごあいさつします。
このとき 3は、とても素直で、
『いつもきらきら(ギラギラ)あせっかき、
まいにち、晴れて。いい天気。』
と、
喜び唄います。
7は、
『ぱきぱき(乾燥した)大地が、
(お陽様のシャワーを受けて)わらってる。』
と、
クールな性格の7が、ふきだして
ひかえめに笑うのが、◇は好きです。
≪かわいい子だなあ。もっと、自然な笑顔が見たいなあ。≫
と、
常々思います。
成長過程の数の部屋(教室)には、進級と同時に
カーテンがつきますが、窓はまだありません。
理由は、どこからでも学校へ帰ってこれるように。とのこと。
といっても、成長過程の数の子は、なかなか登校しません。
広い窓枠は、直射日光や遮光を避ける為の
特別なカーテンが使用してあります。
成長過程の数の子たちは、
学校にまったく来ないので、殆ど学校ですごした
思い出は皆無に等しいです。
ところが、何らかの事情で、
学校に来る子も、います。
それは、
人間の世界で言われている、“不登校児童”や
“成績不十分の補講学生”とは、違います。
かなり
稀に、ですが。
学校の部屋に、本を読みに来る 数の子が、
います。
こういう静かに・黙々とタイプの数は、
大人の数の先生達が、
よっぽど気を遣うタイプの1つです。
コミュニケーションはしにくいかと思いますが、
あえてする必要もないのが、この時期の特徴です。
それに、
その子のことがあまりにも気になる
大人の数の先生がいたとしたら、まず
ワンクッション置くでしょう。
その数は、きっと頻繁に通っていることでしょうから、
大人がいつも心の準備をしておけば、
突然、歩み寄って脅かさずに済むでしょう。
数の世界は、基本的に
親身に、熱心な教育の世界です。
独りぼっちをつくらない・孤独を生ませない、
ふかい理解と愛に満ち溢れた社会なのです。
◇