『続々・愛しの姫君』8【ドンヘ】 | SuperJuniorウネ小説さくやのブログ

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傷んだお魚が大好物です( ´艸`)





『続々・愛しの姫君』8




ばばちゃんのサンデーローストは、今日もとってもおいしそうだ。
こちらに背をむけているばばちゃんに気づかれないように、肉のとなりのニンジンを人差し指と親指でそっとつまんで口の中に放りこむ。と----、

「おはよう、お寝坊兎さん」

「…っ!」

じーちゃんの陽気な声が、オレの喉をつまらせた。

「えーっと…、もうすぐヒョクチェもくるよ!」

じーちゃんとばばちゃんはもう朝の食事を終えて、じーちゃんは銀食器を磨いている。
ばばちゃんはコンロにかけた小鍋の中のトロトロのイチゴを木杓子ですくってから、ひとつうなずいてコンロの火を止めた。

物欲しそうに見つめるオレに----、

「味見をするかい?」

「うん!」

ばばちゃんが言うのへ、いそいでうなずく。

ヒョクチェはばばちゃんのイチゴのジャムが好きで。
ジャムになる前の煮たやつを熱々のまま食べるのも大好き。

「…ドンヘや、兄さんの分とジャムにする分がなくなってしまうよ」

もちろん、ヒョクチェだけじゃなくて、オレも大好きだ。

ばばちゃんはオレにヒョクチェのことを話すとき、たまにヒョクチェを”兄さん”と呼ぶ。
…そりゃ、ヒョクチェは兄さんの”乳兄弟”というヤツだから、オレよりも兄さんで間違いないけど。

でも、なんか癪だし。
”ヒョン”って呼べばいいのか”オッパ”って呼べばいいのかわかんないから、”兄さん”なんて呼ばないけど。

「…食べ終わったらドンヘに苺摘みに行ってもらわないとね」

「まかせて!」

だって、ちっちゃい頃から”ヒョクチェ”は”ヒョクチェ”だもん。

キッチンに射し込む朝の陽は、もう高く。
ここはとってもやさしい----、オレの居場所----。





「…あれ?おひめさまは?」

手ぶらでもどってきたヒョクチェに声をかけると、ヒョクチェはオレの手ごとスプーンでイチゴのカケラをすくって食べてから、

「あとで食べるってさ」

気のないように言って、結局足りなくて小鍋に直にスプーンを突っこんで食べはじめてしまう。

「お行儀わるいよ」

「おいっ、おまえつまみ過ぎだろっ!」

「…あとでつんできてあげる!」

さぁ、だからはやく、ばばちゃんのサンデーローストを食べよう----。






自分だけおなかいっぱいになると----、やっぱりウェンが気になった。

「…おひめさまはだいじょぶかなぁ?」

「女の体は、お母さんが食べられなくても大丈夫なように出来ているんだよ」

ばばちゃんはやさしく言って----、

「あとでお肉と野菜をスープにしてあげましょうね」

それでも心配そうな顔をしてしまっていたのか、そんなオレにもやさしく言った。

「…ドンヘ」

「ん?」

ヨークシャープディングにソースをつけながら頬ばっていたヒョクチェが、つまらなそうにオレの名前を呼ぶ。
まだ怒ってるのかな?ヒョクチェのほうがぜったい多くイチゴを食べたのに。

怒られたら言いかえしてやろうと思ってじゃがいもを飲み込むと----、

「おまえ、ドレスは?」

「へ?」

ヒョクチェは全然別のことを言った。

「…おまえはここの女主人なんだから、ちゃんとドレスでシウォン様をお迎えしなきゃなんねーんじゃね?」

「…へ?」

それって----、

「ここの”お姫様”は、おまえだろ?」

それって、シウォンはすぐに戻ってくるの?----オレのところに。

「ドレスで待ってれば、シウォン様戻ってくるんじゃね?」

ヒョクチェが目もとにやさしい笑いじわをうかべて、オレの皿の肉の最後の一切れを、オレの口に放りこんだ----。