『サンタさんとルドルフ』【ウネ】 | SuperJuniorウネ小説さくやのブログ

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SuperJuniorのドンヘの妄想を小説風に書き散らかしてます

ウネ多め
傷んだお魚が大好物です( ´艸`)




改めまして…
新年のご挨拶を申し上げます♡


元旦はスマホからの更新で…、やっぱりスマホだとそっけなくなっちゃいますね
あーんなこととかこーんなこととか、いろいろ書きたいことがあったのですが^^;

とにかく今年も
細々とでも、みなさまに忘れられないように更新していけたらと思っております



と、いうわけで(←謎の接続詞ヲヲ)
新年のご挨拶は、すでに完結したお話【サンタさんとルドルフ】の番外編になります(笑)

本年もどうぞよろしくお願いします(^_-)☆









    『今年の、サンタさんとルドルフ』



今年も12月24日を一年繰り返して、本当の12月24日になりました。
クリスマスイブ----、サンタとトナカイの仕事納めです。

「今年もお疲れさまでした」

ちょっとよそよそしく改まって正座して頭を下げるのが、おれとルドルフの仕事納めです。
今年の12月24日はよく晴れてとても配達がしやすかったので、大きなトラブルもなくこの日を迎えることが出来ました。(小さいのはありました。…えぇ、いろいろ)

「ルドルフ」

名前を呼ぶのも慣れました。

「んー?」

おれの使い古しのマフラー(去年クリスマスプレゼントにあげた)を大事そうに首から外しながら、ルドルフがおれを屈託なく見上げます。

「…」

「なーに?ひょく?」

「…旅行行こっか?休暇」

クリスマスから次の12月24日が始まる1月1日までの1週間が、サンタとトナカイの年末休暇になります。

「りょこう…?」

無意識に小首を傾げたルドルフの中で、『りょこう』が『旅行』に変換されるまで、待って----、

「行く!行きます!!」

つぼみが花開くように頬笑んだドンへに、笑い返しました----。





「ゆー、きーーーー」

勢いをつけて雪の中に飛び込んだルドルフが、おれに手を伸ばします。
しょーがなく助け起こそうとしたおれの腕を引っ張って、ルドルフがおれを柔らかな雪に招きました。

「あははーーー」

雪まみれになったおれを、雪だるまみたいになったルドルフが、笑います。

今年は一年、雪のないクリスマスイブを、過ごしたから----、

「スイスーーーー!!」

休暇は、遊覧船に乗って列車に乗って----、雪のある場所に来ました。

「すごいねー」

「あぁ」

目映い雪の照り返しの中で笑うルドルフが、眩しくて目を細めると、

「ひょく…?」

刹那----、なぜかルドルフは不安そうに眉を下げて、

「…貸してあげる!」

遊覧船でふざけて奪いあったサングラスを、おれに優しくかけました----。





「ただいまー」

予約したコテージはこじんまりとして質素でしたが、清潔で居心地がよさそうでおれもルドルフも満足しました。

初めての部屋に「ただいま」と慣れ慣れしく挨拶して、ルドルフが我が物顔でベッドに飛び込みます。

「奥がオレね!」

----わかってる

ルドルフは壁際じゃないと眠れません。

「もー!片付けなんてあとでいいじゃん…」

早速トランクを開けて備え付けのクローゼットに服を掛けだしたおれに、枕を抱いたルドルフがまとわりつきます。

「おまえも掛けろ」

「…あとでいいよー」

「ハンガー全部使っちまうぞ?」

「…いいよー、オレはひょくの服着るもん」

----よくない!

よくない、のに----、それ以上怒れなくて、背を向けたくせに背中でおれの右側に寄りかかるルドルフの頭を、反対側の手で撫でました。

「…ひょく?」

ルドルフが驚いて振り返ります。

「あ…、いや…」

ルドルフがなぜか眉を下げたので、なにか気の利いたことを言おうとして----、言えなくて。

「…夜ごはん、なににしようか?」

たぶん困った顔をしたおれに、ルドルフが気の利いた助け舟を出してくれました----。





「おいひーね」

夕飯はパスタにしました。

コテージの予約の時に食材も用意してもらえるシステムを利用したので冷蔵庫の中はゴージャスだったし、遊覧船に乗る前にスーパーで買い物もしたので、結構本格的なものを作ることができました。

「…食べないの?ひょく」

口いっぱいに頬張るルドルフに見蕩れていて、手が止まっていました。
誤魔化すように口の中にパスタを放り込んだ、おれに----、

「ひょく…」

「ん?」

「大事な、話?」

やっぱり眉を、下げて----、でも今度は誤魔化さずに、ルドルフが向かいの席からおれをまっすぐに見つめます。

「…うん」

結構パスタが上手に出来たから、温かいうちに食べて、それから言おうと思っていた----、というのは、言い訳で。

「おれ、今回海外交換になると思う」

今日一日、何度も----、ルドルフの笑顔に邪魔されて言い出せなかった言葉を、用意した通りに一息に言います。

まだ発令されていませんが、サンタクロースには海外サンタとの交換プログラムがあって、どうやらおれが選ばれたらしいと、先日カンイン兄から内々に連絡がきたのです。

伝えるときに、思わず目を瞑ってしまって----、ルドルフの表情を見ることが、できませんでした----。







「はい」

短い時間だったと思うけど----、おれにはなかなか長く感じる時間が、流れて。
意外としっかりした声でルドルフが返事をして、おれは閉じていた瞼を上げました。

ルドルフと離れることは、本当はまだ実感できてなくて、想像も、できなくて。
ただ、どうやってルドルフに伝えようか、そればかりを悩んでいました。

----おれがいなく、なったら…

泣いて暴れたらどうしよう、とか(…ルドルフは前のサンタさんの時の前科があるので)、トナカイを辞めると言い出したらどうしよう、とか。

でも、実際は----、拍子抜けするほど、冷静でした。

「…そんな顔、しないで」

どんな顔を、していたのか----、ルドルフがテーブル越しに手を伸ばして、おれの頬を優しく撫でて慰めます。

「2年経ったら、帰ってくるから」

「うん、…まってる」

頬を撫でるルドルフの手の甲を、両手で包んで----、約束の代わりに、その優しい手のひらに口づけました----。






「2年なんて、すぐだよ!」

ルドルフが、笑います。

----待っててね


今年の、おれとルドルフは----、やっぱりしあわせに、過ごします----。