チョビと笛と映画と小説と地図
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『海・空・君・僕』

僕は海が嫌いだった。
理由は分かっている。
でも、話すほどたいしたことじゃない。
特に夜の海はダメだ。独りでいると吸い込まれそうになる。
1度腰まで入ってみたが、爪先に砂が入ったのが気にくわず、すぐに引き返した。
僕のいるところからは、海と空は繋がっているように見えた。

「空ってね、本当は真っ白なのよ」

僕より50センチほど低いところから、彼女は言った。

「知ってた?」

僕は首を横にふった。

「よかった」

彼女は、僕が知らないことを嬉しそうに話すのが好きだった。
だから、僕は時々わざと知らないふりをして彼女の喜ぶ顔を見たりもした。

「空って本当は真っ白なのに、海がこんなに真っ青だから色がついてるように見えるのよ」

彼女が笑うと、決まって白い歯が見えた。
僕は、彼女が何を考えているのか、求めているのか、分かるのが怖かった。
たとえ分かったとしても、僕には何もできないからだ。
彼女の体に触れることさえ勇気のいることだった。
僕はいつも彼女の体の代わりに、彼女が座っている車椅子の腕を握っていた。

「あなたは何色?」

ふいに彼女が言った。

「え?」

突然の質問に、僕は驚いた。
そんなこと考えたこともなかったからだ。
少したってから、僕は口を開いた。

「分からないよ」

「どうして?」

「…君は?何色なの?」

彼女は空を見上げながら黙っていた。
風が、彼女の髪をかき分けながら海へ向かって行った。

  彼女を抱きしめたい。
  彼女を抱きしめたい。

「あなたの色」

海はとてつもなく青かった。
そして空は空は昨日のソーダ水よりも白く、公園の噴水よりも青かった。

 彼女を抱きしめたい。
 彼女を抱きしめたい。
 …でも、壊れやしないだろうか。

「僕の色は、きっともう霞んでいるよ。君にはもったいない」

精一杯だった。
今にも溢れそうな水を必死で掴んでいるような、そんな気分だった。

「そう…」

彼女は少し寂しそうな顔をしたが、笑っているようにも見えた。

「明日は晴れるかしら」

彼女はいつも最後にこう言うのだ。
僕もいつも通り答える。

「ああ、きっと晴れるよ。また明日」

それが最後だった。
次の日、あのとてつもなく青い海に、彼女の白い歯が浮いていた。
今なら言える。
僕の色はきっと君の色だ。
やっぱり空は海のせいで青くなっていた。
ただ、昨日よりは暗く僕の心よりは、ずっとずっと白かった。

 君を抱きしめたい。
 君を抱きしめたいよ。

「また明日」

今の僕には、それだけがすべてだ。

小説について

これは小説ではない。
それは断言できる。
改行もバラバラだし、起承転結もない。
これは小説ではない。
でも、それならなんて言っていいか私には分からない。
だから、便宜的に小説って勝手に呼ぶことにする。
これからいろいろアップしていく小説と呼ばれるものは、どれも便宜的な小説と呼ばれるものになるだろう。

解説も解説にならないような、そんな解説。
というか、私の書くものに解説なんて必要あるのか。
読んだ人がそれぞれの感想を持ってくれればそれでいいし、どういう話でどういう内容かなんて、私が決めることじゃない。
だから、解説というものに、ほとんど意味はない。
でも、これを書いた意味はある。
多分、理由もある。
当時の私が書きたかったものだと思うから。
「当時」と言ったのは、これを書いたのが、今の私じゃないからだ。
『顔のない男』以外、ここにアップするであろう小説らしきものは、私が高校生の頃書いたものだ。
具体的にいつ書いたかは忘れたけど、大学に入ってから書いたものじゃないことは確かだ。
当時、私が何を思って、何を言いたかったか、今では想像もできないけれど、その時の私が存在してることが分かればそれでいいと思う。
もう、今では絶対に書けないものもあるだろうし、今書いたほうがいいものになりそうなものもたくさんあるだろう。
でも、できるだけ、その当時のままの形で紹介できたらと思う。

そして、これを読んで、どう感じるか何を想像するかは読んだ人次第だし、それを私自身が聞くことが楽しみでもある。
小説よりは、短編に近い形なのだと思うので、暇は人は挿絵なんか描いてくれたら、かなり喜んでしまうと思うけど、どうだろう?
おっとここにこんなスペースが…

チョビと笛絵描き

さてと、なんか無理やりな感じになってしまったが、ここにアップできそうな小説っぽいものが見つかったら、また書こうと思う。
昔の私は一体何を考えていたのか、いっちょそれを探す旅にでも出てみよう。

あ、HPもよろしくね。


チョビと笛と地図

退屈な沈黙~ある晴れた日の午後の出来事~

ある晴れた日の午後。
白いテーブルには、飲みかけのコーヒーと一冊の本が置いてあった。
なんの変哲もない
ただの飲みかけのコーヒーと一冊の本だ。
なのに何故か、僕はそれから目が離せなくなった。

「僕に何か用?」

沈黙。

僕は足の爪に入った砂と返ってこない返事が一番嫌いだ。
少しの間、僕達の睨めっこは続いたが、最初に僕から口を開いた。

「分かった、負けたよ」

僕は椅子に腰かけて、彼女達(あるいは彼等)の返事を待つ。
この沈黙は、女の子の買い物に付き合うのと同じくらい退屈だ。
(僕は前に一度だけ、すばらしく退屈な沈黙を経験したことがある)
風が本のページを軽くなぞる。

「誰?」

丁度34ページ目にきたあたりで、後から声がした。
風が僕の横を通って振り返る。
そこには1人の女が立っていた。

「私に何か用?」

なんだか変な気分だ。
さっきここで、僕が彼女達(または彼等)に同じ質問をし、しかも僕は、今その返事を待っているのだ。
同じ空間に同じ疑問を持ったヒトが2人。
そして、それに答えなければならないヒト(+α)が2人。
僕はその両方に属している。
本当におかしな気分だ。
だけど、少しワクワクした気分だ。なんとなく。
前にも言ったけど
僕は足の爪に入った砂と、返ってこない返事が一番嫌いなんだ。
彼女がそうだと限らないけれど。

「いや、ただなんとなくね。理由はないんだ」

「理由がないの?」

「ダメかい?」

彼女が僕を見る。
そして、そのまま何も言わずに僕の横に座った。
多分彼女は、僕が来る前までこの席に座っていたのだろう。
少し座り心地が悪そうに見えた。
まぁ、そんなことはどうでもいい。

「ダメだとは言わないわ。私が決めることじゃないもの」

確かにそうだ。

「だけど…私なら理由がないことはしないわ」

「何故?」

「だって、後で理由を聞かれた時、答えられないのは悔しいもの」

少しの沈黙の後、僕達は目をそらした。
さっきと比べると、なかなかいい沈黙だった。
よほど
“実は僕も返事を待っているんだ”
と言おうと思ったが、彼女との会話を無駄にしたくなかったのでやめることにした。
彼女は素敵な人だった。
少なくとも、僕が今までに会った人の中で一番素敵だった。

「コーヒー冷めちゃった」

本心からそう言ってるのかそうでないのか、僕には見分けがつかないけれど
その言い方は食後のデザートよりもあっさりとしていた。
そして彼女は、残ったコーヒーを飲み干して
一瞬ひきつったような顔をしたが、また元に戻して笑ってみせた。
その一瞬に、僕は本当の彼女を見たような気がした。
返事はまだもらってない。
だからこれを理由にして、また彼女に会いにこようと思った。
ちゃんとした理由がある。
理由はある。

僕は席を立って、また歩きだした。
どうしてここに来たかなんて忘れてしまっていた。
でも、彼女に会えたことに比べたら、どうでもいいことだったに違いない。
そういういことにしておこう。
たとえ今日が雨であっても雪であっても、曇りであっても
午前であっても夜中であっても
僕は彼女に会っていたような気がする。
そして同じことを言うだろう。

「僕に何か用?」

「私に何か用?」

ある晴れた日の午後。
他の人にしてみればどうでもいいことかもしれないし
気付かない人だっているかもしれない。
だけど
僕にとっては全てだった。
たぶん。

そんな、ある晴れた日の午後の出来事。

ある日の会話

以下の会話は、チョビと友人煉埜のある日の会話です

塚原=煉埜
中嶋=チョビ

として見てください。

《会話~顔文字について》
塚原 コレもはやらそうと思うんだよ
塚原 (._. )ダメカナー
塚原 ほらカワイイ (笑)
中嶋 目小さいな(笑)
塚原 それがいいんだって(笑
中嶋 これはそうでもないな(おぃ
中嶋 いいのかい(笑)

塚原 なんか 半角カタカナに似合うんだよ
塚原 (._. )ナンダカナー
中嶋 顔だって分からないよね、一瞬
中嶋 前のやつのほうがいいな(・∀・)

塚原 ホン(・∀・)ト!?
中嶋 うん、これのほうがいいw
塚原 愛着があるよね。笑
塚原 自分で言うなってね。笑
中嶋 これのほうが煉っぽいよ(笑)
塚原 キチント(・∀・)サン!!!
中嶋 今、その顔文字登録してた
中嶋 (・∀・)

塚原 笑
塚原 (・∀・)
中嶋 (・∀・)
塚原 (・∀・)
塚原 あ
中嶋 ハ(・∀・)イ
塚原 コレ登録してないや
中嶋 これって?
塚原 (._. )
塚原 コッチ 笑
中嶋 それか(笑)
塚原 コレもたまに使うことにする。笑
塚原 今ユリオカ超特急を思い出した
中嶋 煉といるとき用だからね(笑)これ(笑)
中嶋 なんで??(笑)

塚原 ラッ(・∀・)シャイ
中嶋 あぁ、なるほどね(笑)
中嶋 それっぽいな(笑)

塚原 でしょ
塚原 スゲー
塚原 あのかおでてきて 今日ねれないよ(*´ェ`*)ポッ
中嶋 なんでだよ(笑)
塚原 他でも使ってよ~(笑)煉といるとき用だからね(笑)これ(笑)ってさぁ
中嶋 ゆりおかはそんないい顔じゃないでしょうに(笑)
塚原 ツメタクナイ?笑
中嶋 いいのか(笑)
塚原 ゆりおかはね ひかがなで書くと別物じゃん
中嶋 いや、なんか著作権的なもんでwあたしよりも煉っぽいしw
塚原 いやいや ゴリ押ししてる=使ってくれ だろ?笑
中嶋 ユリオカっていっぱつ変換するとユリ丘って出てくるんだもん(;ω;*)
中嶋 まじか(笑) じゃぁ、使うよ(笑)
中嶋 絶対に、みんなに突っ込まれると思うけどね(笑) 煉埜かよって(笑)

塚原 アタス、ゆりおかってうってF7をオ(・∀・)ス
中嶋 なるほそ(笑)
塚原 言われるかね~。笑
中嶋 言われるだろ(笑)なにげに、みんな使ってないだけで、煉のだって思ってるハ(・∀・)ズ
塚原 ツカワレなきゃ意味ナイヨ(._. )
中嶋 それは分かりにくいな~(笑)
塚原 笑
塚原 (._.)
塚原 コレだと なんか違うんだよね
中嶋 ピンとコ(・∀・)ナイ
中嶋 まぁ、そだね(笑)

塚原 (._. )コレダヨ
塚原 この ショボさがいいw
中嶋 なるほど(笑) 使って行ってよ
塚原 誰もつかわないだろーけどな。笑
中嶋 そんなことないだろ(._. )
塚原 。゚+.(・∀・)゚+.゚イイ!!
中嶋 いいのか(笑)
中嶋 使っていくたびに愛着でるんだろうね(笑)

塚原 (*゚ー゚)(*。_。)(*゚ー゚)(*。_。)ウンウン
塚原 てか
塚原 登録した
塚原 (._. )
塚原 (._. )
塚原 (._. )
中嶋 あたしも登録した(笑)
中嶋 (._. )
中嶋 (._. )
中嶋 (._. )

塚原 いい
塚原 絶対いい(笑
中嶋 (._. )(._. )(._. )オカアサン
塚原 何個もあるとカワイイじゃん
中嶋 んだね(笑)
塚原 (._. )チョビサーン
中嶋 いや、それはダメだろ(笑)
中嶋 (._. )チョビ って合うけどね(笑)

塚原 (._. )エミチャン(._. )
中嶋 いやいや、照れるから!!(笑)
塚原 (._. )テレルナヨ
中嶋 なんか、(._. )これで、名前言われると、怖くね?(笑)
塚原 こわくないし!笑
中嶋 なんか、ストーカーっぽくね?(笑)
塚原 あー
中嶋 (._. )ヒトミチャン
塚原 オモカワイイじゃん
塚原 おもしろくてかわいい
塚原 オモカワ(._. )
中嶋 (._. )ナンデニゲルノ?
塚原 ヤベー
中嶋 おもかわか(笑)
塚原 コエーかも!
中嶋 こえーでしょ(笑)
塚原 (._. )ナンデワカッテクレナイノ?
塚原 (._. )ボクハコンナニスキナノニ
中嶋 (._. )コンナニスキナノニ
中嶋 笑

塚原 ワラ
中嶋 かぶった!!(笑)
塚原 (._. )カブッタトカ
中嶋 なんで分かってくれないの?の後はこれだよね(笑)
塚原 うんw
塚原 (._. )キモイトカイワナイデ
中嶋 (._. )ボクキモクナイ
塚原 (._. )トイレコワクナイヨ
中嶋 こえぇよ、これ(笑)
中嶋 (._. )ツイテキテ

塚原 あわせる文字にあわせて変化すんなこの顔文字www
塚原 ツイテキテはこえーよ!w
中嶋 そだね(笑)
中嶋 (._. )ドントコイ

塚原 (._. )アンシンシテ
中嶋 いけねけよ!!(笑)
塚原 (._. )ダイジョウブダヨ
中嶋 うん、言えばいうほど、怖いな(笑)
塚原 笑
塚原 つかっててオモシロイよw
中嶋 自信なさげーー!!Σ( ̄ロ ̄lll)って感じ(笑)
中嶋 そだね(笑)

塚原 (._. )マカセテ
塚原 まかせらんねーよ
中嶋 任せなれないね(笑)
塚原 (._. )包茎ナンダ
塚原 (._. )セックス
中嶋 それっぽい~~~(笑)
中嶋 それは信じるわ(おぃ
中嶋 キモイ!!(笑)

塚原 (._. )クツガナイ
中嶋 セックス(._. )シヨウ
塚原 キモイ!w
中嶋 なんでだよ(笑)
中嶋 あわれすぎだろ(笑)<くつがない

塚原 (._. )カーンチ
中嶋 あわれ\(*`3´)/
塚原 ヒサシブリだな!w
中嶋 (._. )カチーン
塚原 笑
中嶋 結構使ってるんだけどね、あたし(笑)
塚原 カチーンわらった!w
塚原 (._. )スコーン
中嶋 なににカチーンなんだろうね(笑)
中嶋 むしろ、何をカチーンなんだろうね

塚原 笑
中嶋 使い勝手いいかもね(笑)
中嶋 以外と(おぃ

塚原 絶対おもしろいんだけど!w
塚原 (._. )センパーイ
塚原 アサクラー(._. )
中嶋 いやいや、もっと元気だろ(笑)
塚原 笑
中嶋 使っていこう(笑)
塚原 つかっていこう!
塚原 (._. )ツカッテネ
中嶋 とりあえず、いろんなBBSで使っていこう
塚原 メルマガもコレについて発行するよ。笑
中嶋 あ、それいいね(笑)
塚原 でも この使い方 一瞬では理解できないと思うんだけど。笑
塚原 まじで
塚原 (._. )カーンチ ていったあとの
塚原 (._. )カチーン はわらったけど
中嶋 笑
中嶋 分かりづらいかもね(笑)

塚原 今この会話をみてたらわかるんだろうけど
中嶋 最初パッとしなかったし(笑)
中嶋 そだね(笑)

塚原 使っていけばイケルんだって
塚原 (._. )イケルヨ?
塚原 (._. )タダイマ
中嶋 オカエリ(._. )
塚原 (._. )セツゾクキレタヨ
塚原 (._. )カチーン
塚原 笑
中嶋 まじか(笑)
中嶋 いくなってことだね

塚原 笑
塚原 つかうけどね
中嶋 使っていこう
中嶋 飯食うよ。そろそろ

塚原 (._. )ワカッタ
中嶋 ヒマ(・∀・)ガンバ
塚原 (._. )ムリ・・・

ね?(何
がんばってるでしょ?(笑)
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何があってもうちらガン(・∀・)バル!!

解説『顔のない男』

これは、駅のホームで思いついて、構成まで考えて、ずっと書いてなかった、一応
小説って感じのものです。
私の書くものっていうのは、短くて、詩的なものが多いのですが、これも小説とは
呼べる代物ではないんですけど、一応小説ってことにしときます。
慣れてないので、最後のほうが、ちょっとわけわからなくなりましたね。
もっと勉強が必要です。


さて、解説ですね。
読んで分かるようにはなってるんですけど、裏の部分を解説してみようと思いま
す。
最後男が、どうして、とても美しい光を放って死んだかってところですね。
これは、2通りの考えがあると思うんですけど、
まずひとつは、男が死ぬことをとても嬉しく思っていたってことです。
顔のない人間は、いろいろ苦労をしてそうですから、自殺を考えることもよくある
だろうと思います(想像ですけど)
だから、この厳しい現実から逃げるっていうことで、光が美しかったってことです
ね。

ふたつめは、嬉しいからっていって、色が綺麗だとは限らないってことですね。
悲しいときに綺麗かもしれない、寂しいときに綺麗かもしれない。
人の感情を色で表すと、嬉しいときが綺麗だと思うのは、私のような俗な人間の考
えることだからです。
もしくは複雑な感情かからみあって、心で葛藤している時が一番綺麗なのかもしれ
ないってことですね。
人の想像力には底がありませんから、死ぬ時に、何を思って死ぬかなんてのは、本
人も、それを考える人も十人十色です。
だから、男が何を思って葛藤していたとか、何を考えてたとかは、読んだ人の想像
力にお任せします。

まぁ、私としては、後者のほうで考え、物語を書いていたわけですから、読んでい
る人が、いろいろな感想を持ってくれれば嬉しいです。

とまぁ、こんな感じの解説(*´ェ`*)ポッ
これから、もうちょっと手直しとかしたいですけど、それを発表する機会はあるか
わかりません(笑)
もっと、長く書いて、発表できる場ができたら、しようと思います。

今はぁ~これがぁ~せいいっぱぁい~(カリオストロの城のルパン風に)

ってことで、まぁ感想とかあったら、コメントしてくだされば幸いです。
それでは次回をお楽しみに。

小説『顔のない男』

その人は、駅のホームに立っていた。
いつもの駅、少し肌寒くなった秋の夕暮れの中で、ひとりで立っていた。
以前から噂には聞いていたが、僕が実際にその人を目にしたのは、これが初めてだ
った。
格好から、その人が「男」だというのが分かった。
男は、グレーのスーツに紺のネクタイを締め、黒い革の鞄を持っていた。
多分仕事帰りなのだろう。
そして男は、そこが男の世界の全てであるかのように、その場所から一歩も動かな
かった。


男には顔がなかった。


僕が、顔のない人間がこの世に存在するという事実を知ったのは、3年前のことで
ある。
「人間の神秘、顔のない人間現る」
こんな文句で新聞に取り上げられた。
顔のない人間たちは、これまで世間の人々から隠されていたらしい。隠された存
在。秘密の存在だったのだ。
それが、今度の発見により、世間の目に触れた。
その数は、全国で約2万人にも及んだ。
当時、このあまりにも大きなニュースに、どのテレビもこの話題で持ちきりだっ
た。
政府は、彼らの数があまりにも多いことや、マスコミの多大な影響からか、急遽、
顔のない人間に関する法律を作った。
激しい差別や、人々の中傷の中で、彼らは隠された存在から、ひとりの人間として
認められたのだった。
それから3年。
もう、さして珍しくない彼らの存在に、今では誰も目をとめなくなり、話題にもさ
れなくなった。
しかし、そんな顔のない男を、今日初めて、僕はこの目で見たのだ。


顔のない人間の周りには独特の色がある。
彼らには表情がない。
口がないから、言葉も発することができない。
人とのコミュニケーションの手段として、僕が彼らを知らなかった長年の間に、彼
らは彼らの独特の進化をとげたのだ。
顔がない代わりに、感情が色として表に見えるようになったのである。


僕は、数ヶ月前、久しぶりに会った友人が、仕事先で顔のない男を見たという話を
していたのを思い出した。
「いやぁ~ビックリしたよ。噂には聞いてたけど、本当にいるんだね。顔のない
 人間って」
「見たの?」
「見たよ。取引先の会社で。働いてた」
「へぇ…どんなだった?」
「どんなって、テレビでやってた通りだよ。顔がないんだよ。」
「顔がなくて、仕事ってできるの?」
「できるんだよね、これが。話さなくてもいい仕事だと、誰よりも優秀らしいよ」
「そうなんだ。同僚とかとやっていけるのかな」
「なんかね、感情が色になって表に出るから、なんとなく分かるらしいよ。俺が
 見たやつの周りにも、なんとも言えない色がついてた」
「色…?」
「知らない?」
「いや、知ってるけど、想像がつかない」
「なんかねぇ…こう全身からにじんでるんだよね、色が。こう、もや~っと…」
「分からないな」
「これは見ないと分からないだろうな。俺だって騒がれてた時は全然分からなか
 ったんだから」
「どんな色だった?」
「う~ん…それもうまく表現できないな。いろんな色が混ざってるんだよ」
「ふ~ん…なんかキレイそうだな」


今なら、友人の言っていた言葉が理解できる。
ホームに立っている顔のない男の周りにも、独特の色がにじんでいた。
それはあえて言葉で表現するならば、曇って少し赤みががった薄い色だ。
だが、少なくても、僕が想像していたような綺麗な色ではなかった。
それについては、友人も同じことを言っていた。


「いや、それがさ、全然綺麗じゃないんだよ」
「そうなの?」
「うん、むしろ、汚いっていう言いかたも変なんだけど、なんか嫌な色なんだよ
 な」
「嫌な色?」
「見てると気が滅入るっていうか、そんな色なんだよ」
「そうなのか…」
「見なきゃよかったと思ったよ、正直」
「そんなに?」
「まぁ、言いすぎかもしれないけど、そんな感じだった」
「でも、それってそいつらの感情なんだろ?その時はそういう感情だったってこ
 とじゃないの?」
「そうなんだけどさ…。でも、自分の心が周りにバレバレなんだぜ?
 俺らだって、嫌々仕事してる時ってあるだろ?もし俺が顔のない人間だったら、
 同じ色してんのかなって思って少し怖くなったよ」
「なるほどねぇ」
「顔のない人間じゃなくてよかったって心底思ったよ。あいつらってどういう気
 持ちで生きてんのかな」


この話を聞いてから、僕は自分が顔のない人間だったらと考えるようになった。
自分の感情が周りの人にすべて色として伝わっていたら、どういう気持ちなんだろ
う。
そして、そんな人間だったら、僕はどんな色をしているのだろう。
きっと、彼らよりも、くすんだ汚い色をしているんだろう。
それを想像したら、なんだかとても怖くなった。


そんなことを考えながら、僕は、もう一度、顔のない男のほうを見た。
その色は、なんだかさっきよりも少し薄暗く、汚くなったように見えた。
その時、ホームに電車が来た。
たくさんの人が電車から降りてくる。
顔のない男のほうをチラッと見た人もいたが、何もなかったかのように男の前を通
り過ぎる。
僕は電車に乗り込み、また男のほうを見た。
男は電車が来たというのに、じっとして、まだ自分の世界の中に留まっている。
どうしたんだろう。
僕は思い立って電車から降りた。
もう少し、その男を見ていたくなったのだ。

こういうこともあるだろう。僕だって、電車を1本遅らせたい気分の時がある。彼
だってきっとそうなんだろう。
そう思った。

ホームにいた人たちは、さっき来た電車に全員乗り込んだらしく、ホームは僕と顔
のない男の2人だけになった。
男はこっちに気付いていないようだったが、ずっと見ていることがバレたらなんだ
かバツが悪いので、僕も動かないようにじっとしていた。
その状態でしばらくの時間がたった。


そんな時、一瞬、男の周りが明るくなった。
フラッシュをたいたような光を放ったのだ。
そして、光が去った周りには、色が残った。
それは、僕がこれまでに見たこともないようなとても美しい色だった。
もう、色と言っていいのか分からないような、幻想的で、神秘的な、言葉では言い
表せないような色だ。
僕はしばらくそれに見とれていた。
こんな色になることもあるのか…。
さっきまでの、あの嫌な感じの色はなんだったんだろう。なにか嬉しいことでも思
い出したのだろうか。
とにかく、こんな綺麗な色なら、ずっと見ていてもいいと思った。
こんな色を放てるなら、顔のない人間でもいいかもしれないとも思えるくらいだっ
た。


また人が増えてきた。
みんな男がとても綺麗な色をしているからか、チラチラと目をやっている。
それはまるで、そこにいる人々が皆、心の底から幸せになれるような、そんな色だ
った。
今度友人に会ったら、この話をしよう。
顔のない人間の色も、そんなに嫌なものでもなかった、と。
気分が滅入るような嫌な色だけではない、とても綺麗な色を見たのだ、と。

ホームに次の電車が近づいてきた。
快速電車だ。
この電車は、この駅にはとまらないので、もう少し彼を見ていられると思い、少し
嬉しくなった。
今日はとてもいい日だ。
自分でもいけないと思う、ストレスをためやすい性格や、嫌な部分を少しで忘れら
れる時間だと思った。
少なくとも、僕にはそう思えた。
そして、また、男の美しい色を見るために、男のほうを見た。


その瞬間
顔のない男は、通り過ぎようとしていた電車に、飛び込んだ。
一瞬の出来事だった。
飛び込む瞬間、彼は僕のほうを見たような気がした。そして、今までで一番美しい
色で輝き、そして飛び込んだ。
その時の色は、これまでの色よりもいっそう輝いた、とても、とても、美しい色だ
った。


彼は即死だった。


僕は、あまりにも一瞬の出来事で、頭が混乱していた。
男が電車に飛び込んだおかげで、1時間ほど運行が止まったが、頭を整理するには
丁度いい時間だった。
ただ、嫌な気分はしなかった。
人が死んだのを目の前で見たというのに、嫌な気分がしないのは、やはり、彼の最
後の色があまりにも綺麗だったからだろう。


人は死ぬ。
それは誰もが分かっていることだ。
だが、その瞬間の感情は誰にも分からない。
何故、彼がこの時、あんなにも美しく光ったのかは分からない。
きっと誰にも分からない。
ただ、死というものが、自分が思ってるようなものではないのかもしれないと、彼
の最後を見て思った。

その日、どのニュース番組でも彼については何も語られなかった。
ただ、人がひとり死んだだけだ。
それが、顔のない男だったというだけだ。
そしていつか、あそこにいた誰もが、彼を忘れるだろう。
僕だっていつかは忘れるかもしれない。
ただ、彼が放ったあの美しい光だけが、ずっと僕の脳裏に焼きついていた。