～ 希望の詩 ３・１１～
声が出なかった、あの日。
泣くことさえ、忘れてしまった、あの時。
大自然の脅威に、人は無力だと思い知らされた。
人は何でも出来るなんて、心の中で思っていたんだろう。
だから、目の前にある自然の怒りとも思える光景を
心は、まったく受け入れることが出来なかった。
家族が消えた・・・
友が消えた・・・
恩師も仲間も消えた・・・
いったいどこへ行ったんだぁ・・・
家も、車も、職場も消えた・・・
代わりに目に見えない死の粒が降ってくる。
親しい人の魂が自分を呼んだ気がした。
親しい人の思い出が、時と共に焼き付いて、
見えないはずの笑顔が目の前に甦る。
変わり果てた故郷だけれども、
心は、この土と空気と空に繋がっている。
だから、生まれ故郷は離れられない。
そう思った時、涙が津波となって押し寄せた。
憎くて怖い津波が自分の中から出てこようとは
思いもよらなかった・・・。
溢れる涙が止まらない・・・
「内なる津波」は、やがて、前を向いて歩くことを
教えてくれているんだと気が付いた。
涙が少しずつ減り、笑顔が少しずつ増え、
鉛のような足が、一歩ずつ前に踏み出すことで、
確実に大地を感じるようになった。
過去ばかりに目を向けていた日々が
気が付けば前を向いて歩いている。
決して過去を忘れたわけではないけれど、
生かされている自分には、前を向く使命が
あるんだと思うようになった。
・・・あれから、３６５日。
多くの人が私を支えてくれていることに気付いた。
みんなしっかり私を見つめてくれている。
励ます人の目はしっかり前を見ている。
勇気をくれる人の目もしっかり前を向いている。
・・・あれから、３６５日。
悲しいことも、苦しいこともたくさんあった。
でも、大切なことに気付くこともできた。
中でも、一番の発見が勇気をくれた。
それは・・・
人の目は前向きに付いている！！
誰一人後ろ向きには付いていない！
神が人間を創るとき、
いつも前向きに歩くことを願って
目を前だけに付けたんだ
後ろを振り返ってばかりでは進歩、前進できない。
３・１１プラス３６５日。
今、確実に前を向いて歩いている
生かされた自分は前を向くしかない。
この世に生まれた以上は前進するしかない。
このことは、人類すべての命題なんです。
仕事に挫折しても、
愛する家族を失っても、
体が傷ついても、
大切な我が家を失っても、
大好きなあの人と別れても、
余命宣告を受けても・・・
人間は前進することが使命なんです。
今日から、３・１１プラス３６５日。
これからの１年、さらに一歩一歩前を向いていこう。
３・１１は日本人にとって多くを学ぶ日になった。
食べられることへの感謝。
あらゆるモノへの感謝。
この地球への感謝。
そして、何より、
支えてくれている人々への感謝。
忘れない・・・
３・１１・・・＜感謝の日＞
