キム・ソヒョンとチェ・ジョンヒョプ、偶然出会った瞬間

 

今もカメラの前で震えるキム・ソヒョン、俳優という肩書が重く感じるチェ・ジョンヒョプ

その2人が7月に放送開始のtvNドラマ「偶然かな?」を共にする。弱虫で不器用だった初恋の人に10年ぶりに偶然会い、運命のように絡み合い、再び恋に落ちる物語。偶然と運命の間にあるロマンスの中心に2人がいる。

 

 

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tvN「偶然かな?」の撮影が終わってだいぶ経つと聞いた。二人は久しぶりに会うの?
キム・ソヒョン そうだ。2022年の冬、とても寒い時に撮影に入って昨年の春に終わった。かれこれ1年半前だ。編成までかなり時間がかかった。
チェ・ジョンヒョプ もう1年半も経ったの?「偶然かな?」の撮影が終わってtvN「無人島のディーバ」に日本のTBS、放映になったドラマが二つだ。それでもこうやって宣伝を兼ねて久しぶりに会えたから嬉しい。
 

最近はどう過ごしてるの?
チェ・ジョンヒョプ 久しぶりにゆっくりしている。朝起きて次の作品の台本を読んで、午後は運動しに行って。今は「偶然かな?」の初回放送を指折り数えて待っている。
 

「指折り数えて待つ」だなんて、ラブレターのような詩情あふれる表現だ。
チェ・ジョンヒョプ 本当に指折り数えて待っている(笑)。皆が一生懸命苦労しながら撮った作品が、やっと実を結ぶのだから。それに3か月間もフヨンというキャラクターで生きてきたから愛情もあって。
キム・ソヒョン ドラマが終わると、徐々に離れていくこともあるが私たちは時々会っていた。出演していた人たちが龍山区や城東区など割と近くに住んでいる。会うと「あの時の撮影って本当に良かったよね?」と言い合って、その時の余韻がまだ残っている。

 
「偶然かな?」はウェブトゥーンが原作のドラマだ。ドラマ「また、オ・ヘヨン」「ビューティーインサイド」を演出したソン・ヒョンウク監督と新鋭のパク・グロ作家で期待されている。二人が参加した経緯は?
チェ・ジョンヒョプ タイトルに惹かれた。偶然出会った初恋の話。なんとなく学生時代を思い出した。
キム・ソヒョン 初めて台本をもらった時は、ウェブトゥーンを見ていなかった。台本を見てみたら、くすぐったい感じがしてワクワクした(笑)。何かすごいエピソードがあるとか刺激的なわけでもないのに、たくさんの方が面白いといって読んでいるのは大変なことなんだ。それだけでもやってみたいと思った。今じゃないと、こんな青春モノを残すのは難しそうで。
 

そうだね。あと何年かしたら学生を演じるのはちょっと気まずいかもしれないから。
チェ・ジョンヒョプ 実際にそうだった。30歳で制服を着ると気まずかった(笑)。それでいつも口癖のように言っていた。ロッテワールドに制服を着て遊びに来たおじさんみたいだって(笑)。
 
 
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「偶然かな?」は初恋の話だ。二人の初恋の思い出は?
チェ・ジョンヒョプ そうだなぁ、初恋は何と言うか。その時代を思い出す言葉というか。初恋という言葉を定義づけるのはちょっと曖昧でしょう。初めて好きになった人かもしれないし、初めて付き合った人かもしれないし。僕が思うには初恋という言葉を聞いてすぐに思い出す人だと思う。
キム・ソヒョン ドラマを通して初恋のファンタジーがたくさんできたよ。だから初恋といえば、制服を着た初々しい時代の感情のようでもあるし。「偶然かな?」で取り上げた初恋はリアルな感じでよかった。
 

初恋のお年頃、19歳の二人はどんな学生だった?
キム・ソヒョン ちいさい頃から演技をしていたので、学生時代の思い出はあまりない。19歳の私は「九手(아홉수アホプス- 9のつく年齢は演技が悪いとされる迷信)」と思えるほど苦しい成長痛を経験した。成人になる前の過渡期というか? だんだん自分を失っていく感じがした。小さい頃は「自分はどんな人だと思いますか?」と聞かれたら即答できたが、いつしか言葉が詰まり始めた。「私ってどんな人なんだろう? 私は何が好きなの?」と深く悩むようになった。二十歳を過ぎて徐々に克服できた。それまで行ったことのない席にも行ってみたり、新しい人たちにも会っていくうちに自分の好みが分かるようになった。持ち味もハッキリしてきて。
チェ・ジョンヒョプ 壮絶に生きた。高校時代を南アフリカで過ごした。卒業、言葉の問題、人種差別、孤独と戦いながら、自分がやりたいことを模索していた時期だった。その時からジムに通った。運動をしながら自信がついたし。その後、現地でモデルの仕事を始めた。

 
そこでやっとやりたいことを見つけたんだね。
チェ・ジョンヒョプ いいえ。外国の人は僕よりもっと大きくてスタイルがいい。一歩を歩いても歩幅が違った。何度もオーディションに落ちて苦い経験をした。今思うと南アフリカが求めるルックスではなかったようだ。結局、韓国に戻って来た。こうやって俳優になったことで欲しい物を見つけたような気もするし。このすべてが偶然なのかなとも思うし。
 
 
だとしたら「偶然かな?」に出会ったのが縁だね。チェ・ジョンヒョプ演じるフヨンは、明晰なファイナンシャルプランナーという設定だ。フヨンはどんな人物だと思うか?
チェ・ジョンヒョプ フヨンは賢い。でも実はそうでもない。感情を表現することもできず、どこか不器用なところがある。そこが味気ないように見えたり、辛らつで冷ややかに見えることもある。ところが、愛にあふれるホンジュに出会ってますます彼女に染まっていく。次第に心の壁も崩れていく。
 
 
キム・ソヒョン演じるホンジュは、アニメーション制作PDで、愛に疑いを抱いている。高校3年生の時から好きだった初恋の人が、何も言わずに海外に行ってしまい辛い別れの後遺症を患う人物で。
キム・ソヒョン ホンジュは愛が多い。愛が多いゆえに傷つきやすいタイプ。家族もいなくて一人ということもあり「この人がいなくなったら私は一人になってしまう」という恐れが大きい。純粋で突拍子もない面もある。10年ぶりに会ったフヨンでさえ「どうしておまえはこうも変わっていないんだ」と言うほど学生時代で止まっている。
 
 
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ホンジュとフヨンのような友達がいたら?
キム・ソヒョン たぶんホンジュとは親友になりそうだ。ホンジュは明るくて友達も好きだが、べたべたしない。執着がないというか。だからますます気になると思う。
チェ・ジョンヒョプ フヨンとはあまり親しくならないと思う。合わない部分が多くて(笑)。
 

JTBC「わかっていても」でヤン・ドヒョク役を演じた時、自分とキャラクターのシンクロ率が50%だと言っていた。温かくて優しい面があるドヒョクとは違って自分は明るくあまり笑わないと。「偶然かな?」のフヨンとのシンクロ率はどう?
チェ・ジョンヒョプ 30%くらい? それで表現するのが難しかった。心配も多かったし。運よく周りに明るいキャラクターが多くて楽しく撮影することができた。頼れるところがなかったら、本当に寂しかったと思う。

 
年を重ねていくと人生の優先順位の中で愛は後回しになっていく。「仕事に追われて今はそんな時ではないから」などと、ドラマが進むにつれて同じ疑問がずっと消えなかった。愛するのに良いのはいつなのだろう?
キム・ソヒョン 自分を愛する準備ができた時? それでやっと他の人を愛することができるのではないか? 自尊心もなく誰かに会ったら大変な恋愛になるだろうから。
チェ・ジョンヒョプ 自分が誰かを守ってあげられるようになった時、僕が誰かに頼りきっている時。実は相対関係にある。お互いにプラスな出会いならいいし、泥沼のような出会いになってはいけないでしょう。

 
だとしたらドラマ「偶然かな?」が言いたいことは何だろうか?
チェ・ジョンヒョプ 縁というのは、いつ訪れるか分からないということ、偶然が何かの始まりになる可能性もあるということ。
キム・ソヒョン だから後悔のない選択をしろってことじゃないかな? 生きていくうえで選択の瞬間は何度もあって、どんな選択も正解はないから。「偶然かな?」で人物の選択を見て「私ならあの状況でどんな選択をするだろう?」と考えてみるともっと面白いだろう。「私はソロ」のように(笑)。
 
 
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撮影の3か月間、お互いを一番近くで見ていた。お互いの印象はどうだったか?
チェ・ジョンヒョプ ソヒョンはちょっと冷たい人と思っている人がいた。それは違う。本当に温かい面が多くて明るくてポジティブ。
キム・ソヒョン それに思ったより面白いでしょ。
チェ・ジョンヒョプ 思ったより…···は面白いね(笑)。
キム・ソヒョン ジョンヒョプオッパは笑顔でしょ。今までの写真やSNSを見ても、笑っている写真しかない。でも、意外と落ち着いて慎重な面がある。撮影現場でも一人だけの時間が必要な人。一人で音楽を聴いているのをよく見かけた。
 

日本のTBS「アイラブユー」が大成功を収め、日本ではチェ・ジョンヒョプの人気が高い。「ヒョプ様」というニックネームもできて。日本での活動はいろいろな面で新しい経験だったと思うが。
チェ・ジョンヒョプ ぜんぜん違う。まず、撮影現場が韓国と違って不思議だった。韓国はまず、広くフルショットを撮ってバストショットあたりに入ってもう一度撮る。それでシーン別にカット数がそんなに多くないけれど、日本はワンシーンを60~70カットぐらい細かく切って撮る。俳優たちが70カットを撮っている間、自分も同じように演技して感情を維持する。今までそんな経験がないので、それが一番面白かった。それに韓国より僕を知っている人が多くて驚いたし(笑)。
 
 
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以前は「俳優という肩書がまだ尊くて難しく感じられる」と言っていたことがある。あれからずいぶん経った。いくつかの作品を経て今は変わっただろうか?
チェ・ジョンヒョプ 今も同じだ。まだ「こんにちは。俳優のチェ・ジョンヒョプです」とすぐに出てこない。いつもは「チェ・ジョンヒョプです。ああ、はい、演じる人です」と言ったり、「無職です」と言うこともある。海外に行く時、書類の職業の欄に「No Job」と書く。それほど「俳優」は僕にとって難しい言葉だ。実際に撮影がない時は無職だし(笑)。

 

 

 

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6歳でデビューし40以上の作品に出演した。今もカメラの前で緊張する?
キム・ソヒョン 緊張する。今もカメラに慣れていない。厳密に言えば、カメラの外でスタッフと話す現場の雰囲気はいい。ただ、カメラの前に立つとやはり緊張するし、うまくやらなくてはというプレッシャーがある。台本リーディングも緊張する。手に汗をかいて心臓もドキドキして。誰も分かってくれなくて悔しい(笑)。でも、この緊張感が嫌いではない。長くやってきたからといって、楽というわけではないから。
 

さきほど「19歳から20歳になる時、成長痛を経験した」と言ったが、すでに20代も半分を過ぎた。30歳は大丈夫か?
キム・ソヒョン 大丈夫だと思う。今までうまく勝ちぬいて来たし、意外に強い面もある。インターネットの「辛い時に克服する方法」をほとんどやってみて自分に合う方法を見つけた。ミニチュア作り。紙を切って貼って色を塗る作業があって、それが自分に合っていた。可愛いものが好きなのもあるし。ミニチュアを一つ作るのに一週間ぐらいかかる。何日もかけて作っているうちに気持ちが整理され、いつの間にか大変なことが忘れられた。
 
 
ストレスはどうやって解消するの?
チェ・ジョンヒョプ 運動をしてサウナで汗をかく、そして一緒にゲームをする集まりがある。友達4人とフェイスタイムして顔を見ながらゲームをするとストレスが解消される(笑)。
 

この撮影が終わったらパソコンの前に座る予定? それとも久しぶりに会ったから、一緒に夕食を食べて帰る?
チェ・ジョンヒョプ 今日はちょっと疲れたから。まずは家に帰ってから……(笑)。
キム・ソヒョン そうしよう。私も家に帰ってちょっと寝よう。今日一日頑張ったから、今日は早く横になろうっと!(笑)