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はじめに


AM3:00


気がつけば剃刀を持っていました



眉を整える用に買った、日本剃刀


自殺を考えたことは、今までに何度もありました


でも今回は少し違いました。




今までは「自分が死んだら誰が悲しむだろう」とか「みんなショックになるかな」とか、誰かが自分のことをどう考えてくれるだろうって、そんなことを考えてました。


5月16日



衝動でもない、なにか考えの届かないようなところで、体が行動を起こそうとしてた



僕は絶望の中にいました



外でサッカーをするみんなを横目に、教室で自由帳に絵を描いていた小学校


バスケ部を辞めて、授業をサボって、音楽に出会った中学校


いじめっ子を先生に伝えて、その子を退学に追いやって、まわりから「裏切り者」と呼ばれた高校


音楽に救われた事


大好きな子の親に「もう娘に会わないでほしい」と言われた事


両親が僕の就職活動に影響をでることを懸念して、離婚をしていない事


そんな中でも、親友と呼べる友人ができた事


バレンタイン、大好きな彼女の家まで大雪のなか自転車を駆けた事


朝までお酒を飲みながら、俺達は絶対成功してやるぞと語り合った事


昨年の夏、幼馴染と生まれて初めて海を見に行った事




一生懸命生きたとは言い難いけど、素敵な友人に恵まれて、生きてやるぞって思っていました。

気がつけば、泣きそうになりながら震えていた。



家族が寝静まった夜、21年の人生が、そのとき、まさに終わろうとしていました。