雫雫が好き 雫の軽さが好き 一粒の雫をじっと見るのが好き 葉の先の丸く透明な雫が好き 雫のなかに入り込むのが好き 雫が表面を流れ落ちる瞬間が好き 傘を回して雫を撒き散らすのが好き 首に雫が落ちたときの君の表情が好き 君の首をつたう雫が好き
櫛 (オマージュ)櫛が好き 7年前母にもたされたピンクの櫛が好き 半年間の髪の毛を絡ま せて溜め込んだ櫛が好き 櫛に溜まった髪の毛を掃除するのが好き 櫛で漉くときに落ちる髪の毛の儚さが好き 櫛で漉くときに頭部に残る髪の毛の逞しさが好き 櫛で漉くときに見る生えかわる髪の毛の希望が好き 櫛を掃除するときに気付く人のうつろいが好き できれば木製の櫛が好き ※この詩は切込隊長BLOG『ある冬の朝の光景』へのオマージュです。
星空星空が好き 冬の透明な気温の星空が好き 降ってくるような星空が好き 星空をかすめた流れ星の気配が好き 何万光年という時間を詰め込んだ星空が好き 星空の星と星のあいだの暗闇が好き 星空で考えた星座の物語が好き 星空を見上げたときの君の口の開き加減が好き
水中メガネ水中メガネが好き 水中メガネの便利さが好き 水中メガネで見える世界が好き 鼻に残る水中メガネと海のにおいが好き 誰かが置きわすれた水中メガネの存在感が好き 夏に片付け忘れた水中メガネの存在感が好き 水中メガネと共に置き忘れたあの夏が好き 水中メガネをかけた君の日に焼けた顔が好き
ばあちゃんばあちゃんが好き ばあちゃんの焼いた太刀魚が好き ばあちゃんのさばいた太刀魚の刺身が好き ばあちゃんに叱られてるじいちゃんが好き 近所付き合いの上手なばあちゃんが好き ばあちゃんの炊いた茶粥が好き ばあちゃんに叱られることもなくなったじいちゃんの寂しげな表情が好き ばあちゃんのいなくなってもの足りない台所の空間が好き 最近ばあちゃんに似てきた君が好き