こんにちは。今回のエントリーは若干長くなりますのでリラックスしてお読みください。


今更ながら"FOOD, INC."を見ました。


"FOOD, INC."について知らない人はこちらを参照ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AF


このドキュメンタリーは、そもそも製作者側が自分たちの食べている食べ物の出所に興味を持ったところから始まり、企業にインタビューを断られながらも、食料品・スーパーマーケット業界の実情を隠しカメラなどを使い追っていったり、食中毒などの被害者等へのたくさんのインタビューをもとにして出来ています。


残念ながら、日本のiTunes Storeではダウンロードできないようです。ツタヤにあるのかな?その辺はちょっと分かりません。


ので、ここにサマリーを載せておきます。載せますが、非常にショッキングな内容なので、食事の前には読まないでください。また、私はこのドキュメンタリーがあまりに衝撃的で、非常に飯がまずくなりました。そしてアメリカに住んでる読者の方もそうなると思います。しかし私はその責任は一切取りませんので、自己責任で読んでください。


はい、ではまずはコーン。


このドキュメンタリーによると、アメリカ政府はとにかくコーンの栽培を全面的に支持しており、「なるべくたくさんのコーンをなるべく効率よく作れ」と全ての農家に言っています。現在アメリカの国土の約30%でコーンが生産されており、この作品の中に出てきたその映像はすさまじいとしか言いようのないものでした。その結果コーン(と、豆)はスーパーマーケットにある(平均で)4万7千種類の商品の90%に何らかの形で入っており、アメリカ経済の中枢といえる役割を果たしています。


そして、後述しますが、当然価格は非常に安くなっており、メキシコの150万人からなるコーン農家はアメリカからじゃんじゃん入ってくる激安コーンに競争で勝てずに廃業せざるを得なくなります。


次に鳥です。


鳥については始めにファーマーからストーリーが始まります。結論から言えば、鳥ファーマー達は超かわいそうです。鳥の買い手である企業はあまりにも巨大で、ボリュームを要求してくるため、そことの契約が切れたら基本的には廃業です。そのため買い手側の要求を断るという選択肢がファーマー達にはありません。
少し話がそれますが、このドキュメンタリーによれば、約30年前は5つの企業が牛市場全体の約25%をコントロールしているに過ぎなかったのが、現在では4つの企業が市場の80%を占拠している超寡占業界になっているそうです。同じことが、豚・鳥業界でも起こっており、また、ブッシュ政権時代の政府の要職についていたのは、各業界の大ボスたちであったとのことです。本来規制をしたり、管理・監督する立場にある人間たちが、逆に業界に都合の良い様に法を動かしていたというのも事実のようです。


話を元に戻します。そういった強大な鳥バイヤー達に鳥ファーマー達は価格を下げることと、より多くのボリュームを要求されるため、設備投資を強要されます。そのため一般的な鳥ファーマーは5000万円ほどの借金がありますが、それにもかかわらず年収はわずかに180万円程度だそうです。


そして鳥達は30年前に比べて半分の日数で3倍の大きさに化学肥料などをつかって育てられており、決められた大きさになった時には、太りすぎで骨や臓器が追いつかず、動くことも出来なくなり、また、何%かは病気などで死んでしまいます。鳥ファーマー達はその死んだ鳥を集めて捨てるところから毎日が始まります。ノイローゼになりそうな話です。


そして鳥を殺して捌いている人たちのインタビューもありましたが、映像を見ていると、彼らはまるでじゃがいもの皮を剥いているかのような手つきでバンバン鳥の首を切り、お尻のところから臓器を引っこ抜いていました。


そして牛と豚に行きます。


ドキュメンタリーも半分くらい終わろうかというところで、ついに世界最大の屠殺場についてやります。これも凄惨な光景です。当然ながら正式なステップを経ての撮影でなく、隠しカメラによる映像の為、私の誤認もあるかもしれません。どうやって殺しているかは詳しく知っている人がいたらその人に直接聞いた方が正確かもしれませんが、私の目には、豚達は機械で殺されていました。とりあえず、殺すための部屋だか箱の中のような所に誘導され、そこの両側の壁がプレスされ、圧殺されているようにも見えました。その間に聞こえる豚の悲鳴が非常に痛々しかったです。そして殺された豚達はそのままベルトコンベアに乗せられバンバン捌かれていき、最後はひき肉になって箱詰めにされて出荷されていました。


さて、ではどんな人たちがそこで仕事をしているのでしょうか?それは先ほど挙げたメキシコの廃業農家の人達です。彼らは基本的に不法滞在ですので、企業のやり方には文句が言えません。完全なる奴隷です。そして、アメリカでも問題になっているこの不法移民ですが、現オバマ政権では、これらの不法移民を雇って何千億という巨万の富を築いている企業側を罰しないで、これらの移民達を捕まえて、あたかもアメリカ人の失業問題に対して施策を講じているように見せています。もはや何が正しいのか分からなくなってきます。


さて、その後にオーガニックの話などにも触れますがあえて飛ばします。次はMonsantoの話です。Monsantoについてあまり親しみがない方はこちらを参照ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88_%28%E4%BC%81%E6%A5%AD%29


とにかくおっかない会社です。世界の90%以上の遺伝子組み換えプラントはモンサントの種から来ている。そして、その遺伝子の組み換えコードを特許化して、それに顧客達が違反しないように元米兵や警察官、刑事など100人前後を私設の刑事藩として抱えており、違反者は例え裁判に勝てないのが分かっていたとしても、いやがらせとしてメッセージを送る目的で訴えたりすることでも有名らしい。当然法律に関する費用は億になったりするし、裁判には6年とか普通に掛かったりするものもあるらしい。もはや暴力を超えている。作者は、モンサントの戦略をマイクロソフトを例に出して説明している。彼の言葉を引用すると、



「マイクロソフトはそれをPCの市場でやった。ほとんどのPCに知的財産によりなんらかの縛りを付けて独占する。それを種子の部門でやったのがモンサントだ。」


Monsantoは2010年のFobes誌によりthe company of the yearに選出されている。


最後にコメントになりますが、この作品はドキュメンタリーという性質上、何かをクリティサイズするのが基本なので、表現はオーバーになっていることも十分考えられます(映像には驚愕する)。ので、あまり真に受けない方が良いのかも知れません。


とりあえずこんなのがざっくりした"FOOD, INC."の内容です。日本の皆さんもちょっとショッキングな内容ですが、TPPによる関税の撤廃で外国から安い食料が押し寄せる可能性が高くなってきた昨今、我々の食卓にはこういった得体の知れない商品が並ぶ可能性は非常に高いです。なんにせよ、非常に話題になったドキュメンタリーでたくさんの賞も取っています。食料の話を知っておくことは、そうは言っても重要なので、もし強いメンタリティーをお持ちであれば、一度見てみることを推奨します。