【第156話あらすじ】「なつよ、あっぱれ十勝晴れ(156)」◆最終週◆~最終回~ 嵐の翌日、復旧作業に追われていた。荒れ果てた天陽の畑では靖枝(大原櫻子)がジャガイモを掘り起こしており、なつ(広瀬すず)と泰樹(草刈正雄)も手伝う。照男(清原翔)と砂良(北乃きい)も散らかった小屋で落胆していたが、再び一からやり直すことを決意。一方、麻子(貫地谷しほり)から次回作について電話を受ける坂場(中川大志)。再び、皆日常の中でせわしなく自分の道を切り拓いていくのだった。 (Yahoo!テレビより引用) |
昭和50年(1975年)――水害に襲われた山田家のジャガイモ畑を、なつと泰樹は手伝っています。
泰樹はなつに、こう語りかけます。
「なつ、わしが死んでも悲しむ必要はない」
「じいちゃん、何言ってんの」
「天陽と同じじゃ」
「どういうこと?」
「わしの魂もこの大地に染み込ませておく。寂しくなったらいつでも帰って来い。お前が大地を踏みしめて、歩いていればそれでいい」
「わかった」
「それに、わしはもうお前の中に残っておる。お前の中に生きている。それで十分じゃ」
「おまえはよくやったななつ、おまえはよく東京を耕した」
送り出した泰樹の言葉とともに、アニメを開拓し続けたなつ。そんななつに、泰樹は告げます。
「いつでも東京へ帰れ。わしはいつでも、お前とともにおる」
幼い頃のように、なつはこう言います。
「じいちゃん、大好き」
「ええ?」
泰樹は、ここでひっくり返ってしまいます。なつが心配すると、子供のように無邪気に笑うのでした。
なつもつられて、「もぉ〜」と笑い転げ、隣でひっくり返っています。
イッキュウさんは、洗濯物を干す富士子にお礼を言いつつ、電話を取ります。
電話してきたのは、マコさんでした。マコはいつまでそちらにいるのかと聞いてきます。
またいつまでいるか決めていない。そう返すイッキュウさんにマコさんは少し慌てた様子。
というのも、次回作の企画が、同じ時間の同じ枠で決まりそうなのだとか。
『クオーレ』(『母をたずねて三千里』、『愛の学校クオレ物語』原作)の本を片手に、マコは相談したいと言います。
なつと相談して、なるべく早く帰るというイッキュウさんに、マコもなっちゃんにもよろしくと告げます。
本当に小さなことですが、本作の夫は妻に無断で物事を決めません。
マコは、なつとの東映時代を思いつつ、ニッコリ微笑んでいます。
そんなイッキュウさんに、仕事の電話かと尋ねる富士子。イッキュウさんは、なつを休ませたいと言います。
「イッキュウさんもでしょう?」
「いやあ、僕はもう、退屈で」
「えっ?」
「あっ、いやあの、ここがっていう意味じゃないです」
最終回でも出たぞ、残念なイッキュウさんだ( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
本音と建前の区別が絶望的に苦手で、こういう余計なことをポロリと言ってしまう。なつはそのフォローをしてきましたね。
富士子は流して、一通り笑います。寛大なのです。まぁ、家族のフォローで鍛えられたのかもしれんね。
「イッキュウさん、これからも、なつをよろしくね」
照男と沙良は、牛舎建て替えの話をしています。照男は、復旧をしてからだと告げます。そしてアイスクリーム屋をどうするのかと砂良に尋ねます。
照男は、母と妻の小遣い稼ぎだとアイスクリーム屋を見下さない。そういう男だべな。
砂良は、ちゃんと宣伝から考えてやり直すと言います。
義妹・夕見子の強烈なダメ出しを反省点にしているんですね。あの嫌な女、気取った奴とは思っていないと。寛大だべした。夕見子の濃い性格を理解しているんだな。
「まだまだ、私らも先は長いもね」
「そうだ」
猟銃を嫁入り道具にすると宣伝した日を思い出す、そんな夫妻です。
「これからもよろしく頼む」
「こちらこそ、お願いします」
二人は協力して、後片付けをするのでした。
明くる日、千遥と千夏は帰ることになりました。
空港までの送迎は夕見子。なつと千遥、千夏と優は、東京での再会を誓います。
それだけでなく富士子と剛男とも、来年の再会を誓うのです。
照男と砂良は毎年来るよう念押しし、菊介も会いに来いと言います。恒例の悠吉はこうです。
「わしが元気なうちに来てくれ」
これはちょっと切ないけれど、それも自然現象です。
千遥は挨拶し、泰樹にお礼を言います。
「気ぃつけてな」
「さようなら。いこっか」
あと何回、こういう見送りができるのかわからない。だからこそ、大事にしたい別れです。
「来年必ずね、必ず待ってるからね!」
なつと富士子は車に手を振ります。
千遥はこうして東京に帰りました。
『なぁに、すぐに私を超える料理人になるでしょう――。』
父ナレがそう見送ります。
ここでの皆の顔が素晴らしい。特に富士子。歳月を感じさせる顔です
東京の風車プロダクションでは、電話が鳴っています。
事務所も大きくなっている。アニメや声優ブーム、スターを送り出すと父がナレーションで告げます。
思えば咲太郎は、そういう男だった。自分が前面に立つというよりも、誰かを支えるプロモーター。適材適所です。光子も新文化を送り出す姿を見せています。
川村屋は文化を支え、背中を押す伝統。運命的な夫婦でしたね。
松井と島貫は、泥棒だという新作にお互い向いていると言い合っています。
そうそう、こいつらは盗品騒動で咲太郎逮捕のきっかけを作ったんだった。あのおっさんが今や売れっ子声優です。
世の中にはセカンドチャンスがあるし、咲太郎はそれを作った。感無量ですよね。
魔女なら私だとここで言う蘭子も、かつてはレッドパージでくすぶっていたっけ。
レミ子は何をやればいいのか?と言いますが、さっちゃんが、売れっ子で予定がびっしりだと言います。少年役のスターなんですね。
レミ子は咲太郎に片思いしていたこともあった。さっちゃんも。
二人とも恋には破れたけれど、幸せそうですし、咲太郎のもとで自分の人生を生きていますからね。
そういうカタチで支え合う。そんな人間関係がある。恋愛だけでなくて、もっと大きな関係が本作にはある・・・かもね😝
光子は、新作も決まったからお祝いをすると言います。
「おお〜、いいね!」
そう言う咲太郎、決まってます。すっかり兄貴分です。
「じゃあ、母ちゃんの新しいおでん屋に行きましょう!」
そう来たか。亜矢美さんの新生ムーランルージュ、スピンオフで見られるかな?
すごく気になります。
なつとイッキュウさんは、十勝にいます。雄大な大地を歩きながら、イッキュウさんは、いつか奥原三きょうだいの戦争を描きたいと言います。
過酷な運命に負けずに生きる子供たちを、アニメーションで描くこと。
「テレビ漫画か?」なつにと聞かれ、イッキュウさんは映画になると見通しを語るのです。
およそ12年後、その夢は叶うと父ナレが言います。
ここで、なつが空襲に遭い、信哉に手を引かれて、プールに飛び込み助かる場面がアニメで入ります。全編が見たくなる、そんな出来です★
あの夜、焼けて命を落としても、そういうものだと語られたであろう、そんな女の子。瓦礫と骨の中に混ざってもおかしくなかった女の子。
しかし生き残ることができた。
だからこそ、なつはここにいるのです。
そのころ泰樹は、十勝の大地を見渡しています。
「ここからまた、始まるんだね。私たちの開拓は」
なつはイッキュウさんにそう語りかけます。
泰樹は十勝の大地に横たわり、風を感じています。それから目を閉じるのでした。
その表情は老人のようでいて、無邪気そのものの少年のようでもあります。
十勝の風を浴びてなつは語ります。
「私たちもまた、何もない道を歩いてゆきたい」
「きみと出会っていなければ、僕の未来はきっとつまらないに違いない」
「もお、いいこと言うねえ」
「率直な感想だよ」
「私もきっと、あなたと出会っていなかったら、こんなに面白くなかったと思うわ」
カチンコすら鳴らせない。ちょっと変わった青年だったイッキュウさん。
彼との出会いが、なつの運命でした。
ありえないようなことを、本当のように描く。
ありえないことのように見せて、本当のことを描くこと。
そんなアニメ論を語ったこと。そこからのプロポーズ。農場で転んだシーン。優をいつくしむ場面。
「なつと優と、家族になれてよかった」
「これからよ。これからも一コマ一コマ、家族の夢を、描いていきましょう」
「また大変なことが待っているかもしれないけれど」
「それでも、また始めましょう」
「……うん」
そう語り合う両親に、優はこう言い、間に収まります。
「ママとパパ、ソラとレイみたい。それはだめぇ〜優ちゃんも!」
「じゃあ、行こうか」
『日本のアニメーションが、世界に誇れるほど成長していくのはこれからです。
その未来に向かえよ、なつよ。なつよ、朝ドラよ、101作目に続けよ』
父ナレがそう語る中・・・物語の幕がおります。
【完】