【第152話あらすじ】「なつよ、千遥よ、咲太郎よ(152)」◆最終週◆ 小学校に入学する優(増田光桜)のため富士子(松嶋菜々子)が上京してきた。なつ(広瀬すず)が優の入学の準備をしていると、富士子が最近、泰樹(草刈正雄)が元気がないとぽつりと話す。一方、「大草原の少女ソラ」は放送から半年が経ち徐々に人気番組になっていた。マコプロでは、皆寝不足と疲労と闘いながら必死にアニメ製作をしている。なつと坂場(中川大志)の机の上も仕事が山積みで…。 (Yahoo!テレビより引用) |
昭和50年(1975年)――レイが、育ての父に決意を語る。そんな場面を見終えて、富士子は思わず涙しています。
その様子に驚く優。そうそう、大人も泣くことを子供はこうして学んでゆくのです。
「なつとじいちゃんを思い出してね」
イッキュウさんはこうきました。
「泰樹さんに電話してみたら?」
しかし、なつには確信がありました。
「いい、大丈夫。なんか繋がれた気がした」
確かめなくても、繋がりあう――そんな二人です。
あのシーンに目を潤ませていた泰樹は、翌日、久しぶりに遠出をしました。
杖をついて歩く。すれ違う男女は、いかにも当時の若者らしいファッションです。
向かう先は、雪月でした。雪次郎が出迎えます。
「泰樹さん、お一人ですか?」
ここが本当に優しい場面でして。彼は家族や同行者の保護があるかどうか、まず確認するのです。
それからすぐに支えて迎え入れます。
老人が出歩くなとダメ出しするとか。そういうことはなく、保護の姿勢を打ち出しています。
草刈正雄さんだけではなくて、山田裕貴さんの演技も、泰樹の加齢を表現しているのです‥多分😝
本作の優しさはこういうところにあります。子供や老人、妊婦、病人、負傷者といった弱い立場の人を一切邪険にしません。
さて、その雪月ですが。メニューは増えています。
しかも、当時のレトロで可愛らしいトッピングです。今のコーヒーチェーン店ではまず見かけないデザインですよね。
ドレンチェリー(サクランボの砂糖漬け))のトッピングもありました。
あれは現在ではまずいとされることも多く、時代遅れという印象すらあるもの。
『半分、青い。』では、萩尾家の和子がクッキーで使っておりましたっけ。
時代考証が細かいと感じたものですが、あの製菓考証は本作でも生きております。
雪之助の伝統に、雪次郎が新要素を付け加え、それを知将・妙子と軍師・夕見子が認めているのでしょう。こういう場面から、本作に生きる人々が見えてきます。
泰樹は、夕見子から亜矢美がいると聞いたと告げます。
が、その亜矢美は既に退職していて旅立ったとか。
そこはかぶき者だからさ。強い、やっぱり元気だな。でも戻ってきますよね。
雪次郎は亜矢美の不在を残念がりますが、目的はそうではありませんでした。
「あれじゃ、ばあさんいるか?」
それじゃ、それ、とよババアーッ!
雪次郎は承知し、あのばあさんを呼んできます。
「はぁ、とうとう私に会いたくなったのかい〜。私が恋しくなったってことは、お迎え近いのかい」
強い……。今朝も強いぞ、とよババア!
「あんたは死神か」
そう突っ込まれると、ジェスチャーつき天使スマイルを浮かべ、天国に行けると言い切る。
それがとよだべさ。思えばずっと強かった。泰樹がそっちにはお迎えが来ないのかと聞くと、これだ。
「何度か来たけど、追い払った」
開拓者一世は強い。しぶとい。くたばらない。
そんな武将めいたことを語り出すのでした。
「なしたのさ、私が好きなら好きって言えばいい❤︎」
しかもコレだよ。
「……口が裂けても言えん」
「したらなんなのさ?」
この大将同士、明治の若い頃からそういう感じだったんでしょうね。
泰樹は、とよになつのテレビ番組を見たか?と聞きます。
「ああ、漫画かい」
とよはこう来た。野上もそうですが、この世代は漫画とアニメの区別云々、あいまいですからね。「あれのおかげで大儲け! なっちゃんには足向けて寝られないわ」
こう来ました。作品評価以前に、アピールを語ります。そこは商売人ですから。
それに特定企業だけでなく、地元がこうして潤うのであれば、いいんでないかい。
「昨日見たか?」
「昨日だったかい? ああ、見た」
とよは、泰樹もレイと父の別れに感極まったのか? と聞きます。富士子も、イッキュウさんも、そう解釈しておりましたっけ。
けれども、泰樹が思い出したのはもっと大きなことでした。
開拓に励んでいた日――何度もああいう朝日を見た。
この土地を捨てようと思っても、朝日を見ると勇気が湧いて来た。
ここであきらめてなるものか!
「そういう朝日を、なつが見せてくれた……」
あの夜明けの感動を、動く絵で描く。なつが描いてくれた。
とよも同意します。
「なつはそういうものを作っとるんじゃ」
パフェを食べながらそう語り合い、開拓者一世は微笑みあうのでした。
その背景には、天陽の絵があります。包装紙の原画の中には、なつをモデルとした少女が描かれているのです。
梅雨を迎え、『大草原の少女ソラ』は大詰めです。
妥協できず、スケジュールは遅れに遅れ、放送前日ギリギリに仕上がることが続いています。
マコプロの電話がなりました。
テレビ局の藤森です。
「マコちゃん、どうなってんだよ、演出呼べ! 納品前日で開き直ってんじゃねえのか!」
そう怒鳴り散らす相手に、マコは「出払っている」と断言します。居留守ですね。
マコはきっぱりと言い切ります。視聴者の期待に応えるためには、手抜きできない。そのために、ギリギリなのだと。そんな彼らを支えているのは、よいものを作るプライド。
「穴は開けないから、よろしくお願いします」
ここで石沢が、マコのことを気遣っています。マコも、チームに気遣いをしています。
イッキュウさんには、伝えない。苦情を現場に伝えないことで、作品の質を守るのです。
「こうなったら、私も腹をくくるわよ」
そう言い切るマコは、とてもカッコいいい
原画袋を抱え、雨の中、町田が走っています。
そしてドサッ!
「あー!」
水たまりの前で転倒してしまい、原画は水の中に落ち、なんと全滅!使い物にならなくなってしまいます。
外注も、もう限界……。マコプロでやり直すしかない。そんな絶望的な状況になっています。
茜は絶望しきって、もう無理だとこぼします。
チェックで手一杯なのに、一からこれを描くなんて、絶対できない。
なつが手伝うと言っても、なつもギリギリじゃないかと茜は反発します。
「二十四時間、寝ないでやっているようなものじゃない!」
「それでも、やるしかない!」
なつはそう言い切ります。下山は、子供はお義母さんに見てもらってでもいいと理解を示します。
イッキュウさんが、動きを抑えると提案すると。これもなつが一蹴します。
「抑えない。みんなの腕もあがっている、力を合わせればいける! 待っている人たちがいるの。この作品を楽しみに待っている人が。その人たちを絶対に裏切らない!」
マコも腕まくりしつつ、手伝うと言い切ります。下山も、腕が鈍っていると謙遜しつつ、助けると言います。
なんだかすごい顔で考えていた神っちは、ここでこう来ました。
「みんなで町田を助けてやろうぜ! 町田がいなけりゃ、成り立たないんだ!」
彼は町田をかばっています。町田のことは、同じ担当の石沢が叱り飛ばしただけで、マコプロでは彼を責め立ててはいません。
彼も疲れていて、雨がひどかった。責める暇があるのであれば、次の対策を練るべき――そういう思いやりと合理性があります。
ここで神っちは、茜の肩を抱いて慰めています。茜もパニックになったことを反省しているから、そのフォローですが……夫の下山が、流石にたしなめます。
「ドライヤー、干すもの!」
結論が決まったら、マコプロは素早く動き出します。
この背景やセットも素晴らしい。それぞれの机には、設定画だけではなく、ファンレターや家族の描いた絵が飾られています。
「はい、いっちょあがり!」
そんな言葉も響く中、リカバリが続くマコプロ。なつは慌ただしく早朝帰宅しました。
「ただいまー!」
朝の支度のために、一時帰宅し、また会社に戻るのだと。そのことを聞き、富士子は驚いています。
優をそっと起こし、学校は楽しいのかと尋ねるなつ。
「うん! みんなソラ見てる! 大好きだって!」
「じゃあママも頑張らないと」
そんな『大草原の少女ソラ』は、いよいよ最終回です。
レイの土間レミ子と、ソラの白本知香子。
二人がアフレコしています。背後では、咲太郎と光子も見守っています。
本作の作り込みのよさは、さらに背後で他の声優も打ち合わせをしているとわかるところです。
雪月の場面でも、総大将の背後で雪次郎たちが接客演技をしていましたもんね。♪
イッキュウさんは、絵ができていなくて線画だけだと断ります。声優さんの仕事ってすごいな!
青年になったレイが戻ってきて、それをソラが迎えるシーン。
少年少女の声から、大人になった声にすること。そう指示をされて、二人は演じます。
「レイ!」
「ソラ!」
感極まった声で、互いを呼び合うのでした。
その声を脳裏に浮かべつつ、青年になったソラとレイの絵を描くなつ。
『なつよ、『大草原の少女ソラ』も、いよいよ最終回だ――。』
近づく最終回に向けて、父ナレがそう呼びかけるのでした。
次回に続く。